京都出身の調味料研究家・松本葉子です。日本屈指の茶どころ・宇治に親戚がいるため、子どものころからお茶といえば宇治茶でした。
立春から88日目、すなわち八十八夜は「緑茶の日」「新茶の日」。今年の八十八夜は5月2日です。今回は八十八夜にちなんで、命の息吹を凝縮したように瑞々しく香り高い宇治の新茶のお供にぜひ味わってほしい地元民御用達の茶だんごと、新茶を使ったスイーツをご紹介したいと思います。

可愛くておいしい宇治銘菓・茶だんごをご存じですか?

宇治茶を使った菓子にはクッキーやアイスクリーム、チョコレートなど多くの種類がありますが、昔から地元で愛されているのが茶だんごです。宇治の中心部には茶だんごを売る店が何軒もありますが、だんごの大きさや風味は店ごとにかなり異なるので、ぜひ食べ比べて好みの茶だんごをみつけてください。

左はほうじ茶、右が抹茶のだんご。どちらもかなり小さめです

上の写真は、わたしのお気に入りであるJR宇治駅の近くにある「宇治川餅」の茶だんご。こちらのお店の茶だんごは着色料や添加物は一切使用せず、厳選した宇治抹茶をたっぷり用い、熟練の職人さんが手作りしています。

色からも想像できるように、香りも味もきわめて濃厚。甘さ控えめでほろ苦さが心地よくもっちもちの食感、これぞ茶だんごといった趣なんですよ。

新茶のお茶請けにもぴったり

茶を練り込んで作る茶だんごは、抽出したお茶には含まれない非水溶性のビタミンや食物繊維などが摂取できるのも魅力です。

ちなみに、こちらの茶だんご1串には茶葉約十枚分の抹茶が練り込まれているそうです。まさに「食べるお茶」といってよいのではないでしょうか。

<参考サイト(茶の生産量比較、栄養成分等)>
全国茶生産団体連合会/全国茶主産府県農協連連絡協議会

新茶の風味を凝縮した、きらめくゼリーを作ってみましょう

新茶の味わい方として、ゼラチンや寒天で固めてみるのもおすすめです。スイーツとして味わう時には和三盆で甘みをつけると品よく仕上がります。加えて、新茶の茶葉を添えると良いアクセントになり、より「お茶を食べている」気分に。

また、甘みではなく塩味をつけて、肉や魚料理のジュレソースとして、あるいはサラダのドレッシングに使うと、フレッシュな味わいが楽しめます。

そして、上質の新茶はなかなか高価ですから、茶殻も「食べて」しまいましょう!

茶を抽出した後の茶葉に塩を加えてフライパンで乾かすように煎るとふりかけ風に。昆布やかつお節、胡麻などを加えてもよいでしょう。

醤油とみりんを加えて煮て佃煮風にすると風味豊かな箸休めになります。熱いご飯とともに、お茶漬けに、あるいはチャーハンの具にしてもおいしいですよ。

左はふりかけ風、右は佃煮風

緑茶・新茶たっぷりのおとなパフェの作り方

抹茶パフェ、ほうじ茶パフェなどは定番人気のスイーツですが、自分で作ればおいしさもひときわ。材料を吟味して作ってみませんか?

店で食べるパフェは甘すぎて…という方にもおすすめです。

材料は、新茶、茶だんご、新茶ゼリー、それに煮小豆とアイスクリームを使いました。新茶ゼリー以外の煮小豆、アイス、茶だんごなどを自家製にするなら、どれも思いきって甘さ控えめで作ってみてください。新茶の味わいが満喫できるはずです。

【作り方】

  1. 好みの器に煮小豆と新茶ゼリーを入れる
  2. よく冷やした新茶をひたひたに加える
  3. 茶だんごとアイスクリーム(新茶の茶葉を混ぜ込むか振りかける)をトッピング

※トップ写真では陶器の器に、下はグラスに盛り込んでみました

緑茶は、日本の食文化において重要な位置をしめるだけでなく、さまざまな栄養成分を含んでいて、健康増進のためにも役立てたい食品です。

新茶が登場するこの季節だからこそ、お茶を「飲む」だけではなく、「食べる」ことにもチャレンジしてみることをおすすめします。

<販売情報>
宇治川餅本店
京都府宇治市宇治妙楽180-4 電話番号0774-22-8328