こんにちは!アレルギーっ子ママライターで管理栄養士のchienoです。長い夏休み、子どものお昼ご飯の支度の次に気になることといえば、宿題の山。特に自由研究って何を自由に研究するの!? と筆者も子どものころから思っておりました。
自由研究は非日常的なものでなくても日常で「あれ?なんで?」と思ったことにスポットを当てると準備がしやすいですよ。今回はカット後のりんご・なし・もも・バナナ・アボカドを使い、「どの方法で変色防止できるのか?」をテーマに、自由研究スタイルでご紹介したいと思います。

身近な食材で研究できて、そのあと食べられる、二度おいしい自由研究!

カットしておいた食材をお弁当で持って行ったら食べるときに変色していた…。また、変色するから先に切っておけずに食事途中でママがキッチンへ切りにいかないといけない…。なんて経験はないでしょうか? すぐに食べられたらいいけれど、いつもすぐに食べられるわけじゃないし。この研究はそんなときに使えるかもしれません。

【用意するもの】
りんご 1/4個
なし 1/4個
もも 1/4個
バナナ 1/4本
アボカド 1/4個
ラップ(10cm角) 5枚
はちみつ水(水100mlにはちみつ小さじ1/2を溶かす)
塩水(水100mlにはちみつ小さじ1/2を溶かす)
レモン水(水100mlにはちみつ小さじ1/2を溶かす)
小皿等果物を置ける容器

【実験方法】

1.各食材を一口大(約2×2cm)に素早くカットし、次の5つのパターンで経過を見る。

・そのまま常温保管
・ラップをして冷蔵庫保管
・はちみつ水にくぐらせて常温保管
・塩水にくぐらせて常温保管
・レモン水にくぐらせて常温保管

※注意:カットするまな板・包丁は別のもの(または毎回洗浄)を使用すること。

2.時間経過(今回は5分・10分・20分・30分を設定)ごとに写真を撮る。

3.30分後に変色状態を観察し、各食材に適した保管方法を導き出す。

30分では変色せず120分観察に変更

30分で研究が終わればちょうどいいかな? と思っていましたが…

上の写真は、30分経過。ほとんど変色せず、判断がつかないというまさかの状況に! こんな時は慌てず、焦らず延長戦です。120分まで観察しました。

上の写真は120分経過。少し変色しましたね。

りんごの変色防止には塩水

りんごの変色防止は、塩水が適しているという結果に。明らかに塩水で変色が抑えられているのが分かります。

なしは変化が見られず

全体的にどれもあまり変化がありません。なしは変色するのには120分以上かかるため、食事のデザートにするぐらいなら食事前にカットしておいても問題ないと言えます。

ももは非常に変色しやすい

すべてにおいて見事に変色しています。とくにはちみつ水の変化が顕著に見受けられます。ももは非常に変色しやすいので食べる直前に切ることをおすすめします。

バナナはラップで変色防止

全体に変色していますが、意外にもラップで冷蔵保管が変色防止になっているように感じます。ももと同様、食べる直前に切ることをおすすめしますが、どうしてもカットしておきたい! というときにはラップして冷蔵保管してみてください。

アボカドは変化が見られず

全体的にどれもあまり変化がありません。アボカドは変色するのには120分以上かかるため、調理の際はカットをギリギリまで待たなくても問題ないと言えます。

食材が変色する理由は「酸化」

以上が実際に実験をした結果のみからの考察となります。筆者はもっと顕著に結果が出ることを予想していたので正直この結果には驚きました。

食材の個体差や微妙な保管状況などさまざまな原因があってのこの結果ですので、必ずしもこの結果通りにならないかもしれませんのであらかじめご了承ください。

そしてとても大切な注意点があります。今回の研究はあくまで変色防止にのみスポットを当てたものです。結果が良かったからと言って、必ずおいしく食べられるかというと、そうでないこともあります。塩水を通したももやバナナ、レモン汁を通したりんごとなしは、言葉では表現できない斬新な味でした。

また、食品化学的な観点からご説明しますと、食べ物の変色は『空気中の酸素がポリフェノール等の植物酵素に反応』して起こります。『酸化』が原因ですので、それを防ぐポイントは3つ。

・酸素に触れさせない(ラップで包む)
・低温で保管(冷蔵室へ入れる)
・酢や塩、レモン水、はちみつ水にくぐらせる

これらが酵素の活性を抑える一番簡単な方法です。お店で売られているケーキのトッピングなどのフルーツは、変色していません。その理由は『ナパージュ』。ゼリーのような物質で覆って酸素に触れさせていないからです。そしてケーキは低温で保管されています。

また、酵素の活性を防ぐには、はちみつ以外にも濃度の高い砂糖水、サイダー水、果物缶詰の液なども、酸素とくっつくことを防ぐので変色防止に役立ちます。

果物に含まれるポリフェノールは水に溶けやすい性質があるので、レモンやはちみつがなくても水にくぐらせるだけでも変色防止につながります。

昔に戻った気持ちで子どもと自由研究を楽しみましょう!

いかがでしたか? 筆者は数十年ぶりの自由研究でドキドキわくわくしながら観察していました。思った通りの結果にならなくても、それはその時の研究の結果ですので、本やネットで調べた結果と違うということを書いて堂々と学校に提出しても構わないと思います。

実験するまでの子どもとの打ち合わせや実験準備、ともに経過を見守る観察時間、実際の観察結果をママと一緒に共有できる時間こそがとても素晴らしい経験となります。

毎日忙しいワーママの皆様も、少しの時間だけ童心にかえって子どもたちと一緒に自由研究を楽しんでみませんか。