こんにちは。大きな肉塊、大きな器、無料の大盛り(!)など、なぜか大きなものが好きな調味料研究家の松本葉子です。前回に続いて塩の使い方をご紹介したいと思います。今回は「大きな塩」です。
ここでいう「大きな塩」は、岩塩の塊やそれを大きめに砕いたもの、または海塩でも大きく結晶させたもの。いわゆる「塩ひとつまみ」ができない大きさの塩と思ってください。

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ピンクの塩はお豆腐に…カラフルな天然塩を使って食卓を演出してみませんか?

砕いて使う?挽いて使う?それともそのまま使ってみる?

上の写真の中の小石みたいな塊はヒマラヤの岩塩で、ローズソルトやブラックソルトなど。板はピンクソルトです。

ソルトミルの中は、オーストラリアのデボラ湖の塩、ガラスの器の中は、日本産の天然海塩でおそらく最も大粒だと思われる与那国島の塩。

これらの大きな塩を使う時には、料理にふりかけるなら、小石級は金槌などで粉砕するか、おろし金ですり下ろす、5ミリ程度の粒ならソルトミルやスパイスクラッシャーで挽いたり、砕いたりすることになります。

コショウなどのスパイスと違い、塩は粉砕したてだから香りがたつというものではありませんが(ブラックソルトは匂いが強く感じるけど)、塩砕きや塩挽きは食卓のパフォーマンスとしてはなかなかのものですよ。

また、大きな塩をそのまま使う場合は、食材で塩の塊を拭くようにして塩味をつけたり、塩の板の上で食材を焼いたり。あるいは、大粒の塩を料理にトッピングして食感を楽しんだりできます。

そんな「大きな塩の使い方」の例を次に紹介していきますね。

ガリッとした歯触りも美味しさを加速します

上の写真は鶏モモ肉に大粒塩をのせてオーブン焼きにしたもの。オリーブオイルとハーブの香るパリパリの皮の上で塩がガリっと砕けて美味しいですよ。

また肉に塩で下味をつける時などは、細粒の塩を使うと塩味が入りすぎることがありますが、大粒を使うとそれが防げます。

トップの写真は、プチトマトに与那国の塩を添えたものです。写真用にちょっと多めに添えていますが、たった一粒だけでもキラキラと光って綺麗ですし、熟したトマトと固い塩の食感の妙も楽しめます。

イタリアのパン、フォカッチャにはつぶ塩がのっていることが多く、あれって良いアクセントですよね。同じように楽しめて、もっと簡単にできる塩トーストもおすすめです。

フォカッチャ風にするなら厚切りのパンに格子状に切れ目をいれてからトーストするのがいいですが、個人的にはあまり厚くないハードトーストをカリリと焼いて使うのが好きです。

上の写真で使っているのは南仏カマルグの大粒塩で、プロヴァンスのオリーブオイルとの相性が抜群。ワインがぐいぐいすすんでしまいます。

大きな塩の真骨頂? 岩塩板は利用価値大!

岩塩板の使い方は、大きくわけて2つ。

まずは食材をのせる皿としての使い方です。写真のように白身魚の薄造りをのせると、余分な水分を岩塩が吸い取って魚のうま味が凝縮。程よく塩味もつきます。

写真では山葵を添えていますが、先にスダチの切り口で岩塩板を湿らせてからそこに刺身をのせるのもおすすめです。

ただし、水気があると塩分が溶けやすいため食材に塩味が付きすぎることがあるので、のせておく時間が長くなりすぎないよう注意して。

白身魚のほか、イカやタコの刺身も岩塩板にのせると素材の甘さがひきだされるし、鶏わさなんかもいいですね。

もうひとつの使い方は、岩塩板を網などの上でゆっくりしっかり熱してから(急激に熱すると割れるらしいです。ご注意!)その上で食材を焼くこと。

食材の余分な脂を落とせるし、良い塩味もつくし、なにより見た目がおいしそう。野外バーベキューの時に使うと盛り上がりますよ。

直火ではなく輻射熱で火が通るので肉や魚介類も堅くならずに焼き上げられるのがなにより。椎茸なんかの野菜類を焼くのもアリです。

岩塩板は汚れたらぬるま湯で洗うか表面を削りとれば何度でも使えます。

調味料としてはもちろん、調理器具やインテリアにもなる大きな塩。ちょっと使ってみたくなりませんか?