伊藤忠食品は惣菜デリカ市場の本格参入へ向け、新たな切り口のソリューションを展開する。色彩心理学に基づくカラフルなメニューで購入意欲を高める独自提案のほか、高機能の調理機器を軸にしたオペレーション改善でスーパーのバックヤードの省人化・時短サポートへ取り組む。競合と異なる視点で集客力のアップや人手不足などの課題解決へメスを入れ、出遅れていた惣菜デリカ事業の強化へスピードを上げる。

同社は今期重点施策の「新分野の育成」の一つに惣菜デリカ事業の強化を掲げ、4月からMD推進本部に専任組織の「惣菜事業部」を新設。この分野で同業大手卸が著しく先行する中、後発の弱みをカバーし得る新たなデリカ戦略の立案へ努めてきた。

その成果を示すものとして、13~14日に東京で開いた総合展示会「FOOD WAVE 2017」で外部へ目指す姿を初披露。ブースを大きく取り、同社が志向する新たな切り口のデリカ提案、スタンダードな惣菜売場のソリューション提案の2本柱で展開した。

新たな切り口の提案は「EAT COLOR DELI(イートカラーデリ)」を戦略テーマに、メニューの彩りの工夫で来店客の視覚と心理に訴える仕掛けを紹介。「その日の気分の色で選ぶ」「目でも楽しめる」デリカ売場を実現することで、女性層を中心に日々の集客力アップへつなげる狙い。

「EAT COLOR DELI」ゾーンが注目集めた

メニュー開発には、色彩のビジネス活用術などのノウハウを持つ東京カラーズの色彩心理学を応用。ブースでは同社監修で食材の3色をコーディネートした「ビーツと枝豆の洋風白和え」「ハーブグリルサーモン」など、カラフルでヘルシーなISCオリジナルメニューを多数提案。デリカ分野に色彩心理の概念を持ち込むのは珍しい試みとあって、来場者の注目を集めていた。

一般惣菜分野では「ONE COOK DELI KIT(ワンクックデリキット)」をテーマに、昨今のSMに共通する悩みであるバックヤードの労働力不足に対応したソリューションを提案。複数メニューの同時調理が可能な高機能のスチームコンベクションと惣菜キットの併用により、店舗オペレーションを大幅に効率化できる仕組みを紹介した。

この仕組みによって省人化や作業時間の集約、原料・資材費の低減を図り、一定の条件下において月間17万円強のコストが削減できる効果を説明。また、独自の惣菜MDや秋冬プロモーション計画などの提案も充実させ、同社がこの分野にかける意欲を見せつけた。

◇日本食糧新聞の2017年6月16日号の記事を転載しました。