こんにちは。調味料研究家の松本葉子です。以前は取材や旅行に行くたびにその土地の調味料をたくさん買って(だって、次いつ来られるかわからないし)抱えて帰っていました。でも、最近ではネット通販などで、日本各地はもとより世界各国の調味料がカンタンに手に入るようになってきて、とっても幸せです。さて、今回は、調味料の中でも基本中の基本「塩」について書いてみたいと思います。

こんな色のものもあるの!? 塩の色は自然界の神秘

一般スーパーの塩売り場にもさまざまな塩が並ぶようになった最近では、料理用の塩を何種類か使い分けていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

そもそも食用塩は、岩塩、海水、海塩、湖塩など原材料に違いがあり、産地によっても成分が異なるので多種多様。その中で、今回は塩の「色」に注目してみましょう。

比較的手に入りやすい「色のついた塩」を集めてみたのが下の写真です。

一番上の左の丸い容器は南オーストラリアの海塩、一般的な白色です。

四角皿<上段> 左から、ゲランド(フランス)の塩、ハワイのブラックソルト、ヒマラヤのクリスタル岩塩、ヒマラヤのローズソルト、<下段>左から、ヒマラヤのルビーソルト、アンデス(ボリビア)のローズソルト、イランのブルーソルト、ヒマラヤのブラックソルト
*ここでヒマラヤと表記のあるものは、すべてパキスタン産のものでした。

塩の色の傾向は、おおまかに、1)白色系 2)透明系 3)灰色~薄黄色系 4)ピンク~赤系 5)黒系 6)その他(青など) に分けられます。

このうち1)と2)以外の塩について、簡単な特徴と効果的な使い方をご紹介したいと思います。

灰色や薄黄色に近い海塩はシーフードに相性良し

海水を原材料に天日製塩法(塩田式の製塩)で作られた塩はこのような色合いのものが多く、フランスのゲランドの塩もこれですね。

海水の成分が多く残った塩は、やはり海の幸に相性が良いようで、お刺身やカルパッチョ、魚の塩焼き、海藻サラダなどにおすすめです。

ピンクや赤色系の塩は、味と匂いで使い方が違う

ピンク色の岩塩の色は含まれている鉄分に由来するものです。ヒマラヤやアンデスのピンクソルトは、まろやかな味わいでどんな食材にも合いますが、色合いが生きる料理に使うとより楽しめます。お豆腐に添えれば、ほのかな甘味もひきだしてくれますよ。

でも、ピンクが濃く赤に近い色の塩は性質が違うものが多いので注意です。例えばヒマラヤのルビーソルトは、後で述べるブラックソルトに近いものなのでかなりクセがあります。

また写真はありませんが、ハワイのレッドソルトは、ハワイの火山土壌の赤土と海水由来の塩です。伝統的なハワイ料理に使われますが、うまみがあり揚げ物などによく合います。

個性強烈だけど面白い「ヒマラヤの黒」、使いやすい「ハワイの黒」

ヒマラヤのブラックソルトは、まるで温泉のような強い硫黄臭に驚かされます。でもこれを生かしたユニークな使い方ができるんですよ。

例えば、ポテトサラダに少し加えればゆで卵をいれなくてもゆで卵入りの風味に! つまり、あの卵の匂いの代わりになるということ。だから豆腐や豆乳で作る「卵なしマヨネーズ」に使えば卵入りのマヨネーズ風味にできちゃいます。

パキスタンではカレー風味の料理にもよく使われるそうで、確かにこのクセが隠し味になってコクが増すようです。

そして、不思議なことに、熱を加えるとこの匂いは消えてうまみだけが残るので、直火焼きの肉などにもおすすめなんです。

一方、ハワイのブラックソルトは、ハワイの天日塩に少量の活性炭を加えたもので、黒は炭の色です。色はインパクトがありますが、味や香りは優しく、何にでも合わせられます。

こちらの画像は、ハワイのブラックソルトと白胡麻を混ぜたごま塩をアボカドに添えています。普通のごま塩は白い塩と黒い胡麻なので、うちではこれを逆ごま塩なんて言って、おにぎりに使ったりもしていますよ。

フルーツやスイーツにもカラフル塩を添えてみて

スイカに塩、お汁粉に塩など、塩は甘さを際立たせるのにも役立ちます。

そんな時にもカラフル塩はお役立ち。クリスタルソルトやピンクソルトも華やかですし、またイラン南部で採掘されるブルーソルトはサファイアのような色合いが美しいだけでなく、ナトリウム分が少ないので塩辛さが少なく使いやすいですよ。塩アイスにもおすすめです。

使う時は「食用」グレードであることを確認して

カラフルな塩は、料理アレンジも豊かにしてくれますが、注意点も。

ピンクソルトやブラックソルトなどの岩塩では、食用以外(バスソルトやインテリア用など)のものも多く輸入されているので、購入する時には必ず食用であるかどうかを確認してください。

比較的安価で保存性も良いカラフル塩。是非料理に取り入れてみてくださいね!