食・栄養ライターの清原修志です。前回はおからパウダーならではの使い方として、ハンバーグの「つなぎ」としての利用法をご紹介しました。ハンバーグだけでなく、肉団子やいわしのつみれなど、挽肉・すり身料理にも応用できますので、ぜひお試しください。
今回は、従来の「おから」料理を「おからパウダー」で代用したものを2品ご紹介します。

ボソボソしない!チーズと溶き卵が決め手の「洋風卯の花」

前回の記事はこちら
便利な「おからパウダー」のおいしい使い方!煮込みハンバーグに【レシピ付き】

1品目は「卯の花」ですが、普通の和風の卯の花にしてもあまりご参考にならないかと思いますので、今回は洋風の卯の花をご紹介します。和風の卯の花をボソボソするからと好まない方も、これならいただきやすいと思います。

〈材料・4人分〉
豚挽肉…200g (合挽肉でも牛挽肉でもツナフレーク缶でも可)
玉ねぎ…中1/2個
にんじん…中1/2本
グリーンアスパラ…3本
油…大さじ1
水…1カップ
スキムミルク…大さじ4 (水とスキムミルクは牛乳1カップ、あるいは無調整豆乳1カップでも可)
鶏がらスープの素…大さじ1/2
塩…小さじ1/2 (鶏がらスープの素はメーカーによって含まれる塩分が大きく異なるので、塩の量は味見をして加減してください)
こしょう…少々
くるみ(無塩)…(刻んで)大さじ4
冷凍刻みパセリ…大さじ1 (以前ご紹介した冷凍庫の中で作る刻みパセリです)
おからパウダー…2/3カップ
ピザ用チーズ…1/3カップ
卵…1個(2個でも可)

〈作り方〉
1.フライパンで豚挽肉、みじん切りの玉ねぎとにんじん、小口切りにしたグリーンアスパラを油で炒める。

2.スキムミルクを水で溶いて加え、塩、こしょう、鶏がらスープの素を加えて煮込む。
*鶏がらスープの素はメーカーによって含まれる塩分が大きく異なるので、塩の量は味見をして加減してください。

3.具材が柔らかくなったら刻んだくるみとパセリを加える。

4.おからパウダーを加えて火を通し、ピザ用チーズと溶き卵を加え、絡めるように混ぜ合わせる。
*おからが煮汁を吸い、しっとりした感じになるよう、パウダーの量は微調整してください。

5.器に盛り付けて完成。

いかがでしょう。ピザ用チーズと溶き卵を最後に加えてまとめることで、ボソボソしない、しっとり感が出ます。従来は副菜扱いである卯の花に、ひき肉やチーズ、卵などのたんぱく質食材を加えたことで、主菜と副菜の合体した料理になりました。

これなら、洋風卯の花のほかは、きのことワカメたっぷりの具沢山味噌汁などを添えれば、バランスの良い献立になると思います。

野菜のみじん切りがおっくうだとか時間がないという場合は、例えば冷凍ミックスベジタブルを使うとか、鍋にカップ野菜スープの材料を入れて沸かしてその中におからパウダーを入れて作るなどという方法もありますよ。

卯の花を作る場合、小さな雪平鍋よりもフライパンを使ったほうが、混ぜやすく便利です。フライパンは、スパゲティやそうめんなどの乾麺を茹でるときも茹でやすくて重宝します。

卵は1個でなくても2個でもよいと書きましたが、卵を2個以上使うときは、1個ずつ小さな器に入れて新鮮であることを確認してからボウルに移したほうが良いです。そうしないと新鮮な卵に傷んだ卵が混ざる恐れがあり、もったいないことになってしまいます。

B級グルメ「ゼリーフライ」を「焼きゼリー」に!

埼玉県行田市のご当地B級グルメに、「ゼリーフライ」というものがあります。時々テレビ番組等マスコミでも取り上げられるので、ご存知の方も多いかと思います。

ゼリー、ゼラチンが入っているわけではありません。おからと茹でたじゃがいもに、にんじんやねぎなどの野菜を加え、コロッケのようにまとめて素揚げしたものです。「小判(銭)の形にまとめるから銭フライとなり、それが訛ってゼリーフライになった」など、名前の由来は諸説あるようです。

今回はこれをおからパウダーで、揚げずに「焼きゼリー」にします。

〈材料・4人分〉
豚挽肉…100g (合挽肉でも牛挽肉でもツナフレーク缶でも可)
玉ねぎ…中1/2個
油…大さじ1
塩…少々
こしょう…少々
じゃがいも…小4個
水…1/2カップ
鶏がらスープの素…小さじ1/2
塩…小さじ1/3
おからパウダー…1/3カップ
卵…1個
小麦粉…適宜
油…大さじ1

〈作り方〉
1.豚挽肉とみじん切りにした玉ねぎを油で炒め、塩とこしょうで調味する。

2.皮を剥いて適当にカットしたじゃがいもを鍋に入れ、水、鶏がらスープの素、塩を加え、水気が飛び、じゃがいもが柔らかくなるまでゆでる。
3.(2)がゆで上がったら木べらで粗くつぶす。

*細かくつぶすほうがお好みの方はマッシャーをお使いください。
4.(1)と(3)、おからパウダー、溶き卵を混ぜ合わせ、バットに移し、粗熱を取る。
5.(4)を小判形にまとめ、表面に小麦粉をつけて、油を中火に熱したフライパンで焼く。

6.器に盛り付けて完成。お好みでソースをかけてお召し上がりください。

いかがでしょう。この2品はおからパウダーでなくおからでも作れる料理です。お好みでどちらでもお使いください。

おからを生み出す「町の手作り豆腐屋さん」へ行こう!

豆腐を作るときの残りカスであるおからが食用として使われる機会が少なくなってきていることが残念で、前回と今回で3品の料理レシピをご紹介しました。

おからを目にする機会も少なくなってきましたが、おからを生み出す「町の手作り豆腐屋さん」も、急速に町から消えているように実感しています。豆腐がこの国からなくなることはないと思いますが、地元に根付いた個人店がなくなり、どこにでもある大手チェーン店ばかりが目立つようになると、町の個性が失われるような気がしてなりません。小さな店を愛することこそ、食文化を守ることにつながるように思います。