食・栄養ライターの清原修志です。皆さんは、おからを普段の食事や料理に取り入れていらっしゃいますか? おからは、お豆腐を作る際に豆乳を絞ったあとのしぼりかすですが、“カス“といえども立派な食材です。また栄養素も含まれますので、是非活用したいものですね。そんなおからの、便利なパウダーを使ったおいしいレシピをご紹介します。

おからパウダーは便利な食品

市販のおからは1袋にたっぷり入っていることが多く、1〜2人の少人数世帯には量が多すぎます。ジップ式ポリ袋に小分けして冷凍しても、解凍したおからはいまひとつおいしくなかったり、おからは料理のバリエーションが少ないなど不便な点もあります。

しかし、「おからパウダー」は、おからと異なり、おからの水分を完全になくし、カラカラにしたものです。冷蔵庫に入れておけば長期間保存が利くし、チャックが付いているので少量ずつ使うこともでき、ひとり暮らしの人でも重宝します。

できたてのおからに比べたら味は落ちますが、解凍おからよりは断然おいしく、しかも冷蔵庫から取り出してすぐに使えるので圧倒的に便利です。

おからパウダーの使い方をご存知ない方は多いかもしれません。実はとても手軽に使える食材なのです。いくつかレシピをご紹介しますので、これをきっかけに、ぜひ使ってみてください。

おから入り煮込みハンバーグ

ハンバーグの「つなぎ」にパン粉を用いることが多いと思いますが、ここではその代わりにおからパウダーを用います。

【材料】(2人分)
牛挽肉…150g
豚挽肉…150g(合挽肉でも構いません)
玉ねぎ…中1/2 個
おからパウダー…1/4カップ
卵…1個
にんにく…1片
塩…小さじ1/3
こしょう…少々
ナツメグ…少々
オリーブ油…大さじ1
水…1/4カップ
バジルまたはローリエ…少々
しめじ…1/2房
ケチャップ…大さじ1/2
ウスターソース…大さじ1/2

【作り方】
1.ボウルに牛と豚の挽肉、みじん切りの玉ねぎ、卵、すりおろしたにんにく、塩、こしょう、ナツメグを入れて混ぜ、おからパウダーを加え混ぜてネットリした感じになったら均等に分け、小判型に成型する。

*タネの感じはユルユルとベタベタの中間のネットリが、仕上がりがジューシーになりちょうど良いので、おからパウダーの量で調整します。玉ねぎはきつね色に炒めてから加えてもよいでしょう。

2.熱したフライパンにオリーブ油をしき、(1)を片面焼き、ひっくり返したら水を注ぎ、バジルまたはローリエを加え、石づきを取ったしめじを加え、5分ほど煮込んでいく。

3.ハンバーグの中央に竹串かつまようじを刺し、透明な肉汁が出てきたら完成。ハンバーグとしめじを皿に盛り、使ったフライパンにケチャップとウスターソースを入れて木べらで底をこそぐようにしながら混ぜたものを皿に塗って盛り付ける。

いかがでしょう。もし、もっと植物性たんぱく質を使ったハンバーグにしたいということなら、このタネに豆腐を加えて「おから豆腐ハンバーグ」にしても良いでしょう。

おからは産業廃棄物?

私が20代の頃、偶然通りかかった町の豆腐屋の前にトラックが停まり、スコップでおからをトラックの荷台に放り入れているところを見かけました。作業のかたは、長靴でおからを踏みつけています。私は衝撃を受けました。おからは食べ物のはずなのに、この扱いは何だろう!?

かつて、おからが産業廃棄物か否かを問う裁判がありました。「おから裁判」と呼ばれています。1999年、最高裁判所は「おからは産業廃棄物である」という判定をしたのです。

おから裁判 産廃情報ネット(PDF)

ほとんどのおからが産業廃棄物として廃棄されているわけではなく、飼料や肥料としても多く用いられているようですが、人が食べる食品として用いられているのはごくわずかというのが現状だそうです。

おからは食品か産廃か FoodWatchJapan

私が子供の頃、「おからの華」という大人気の連続ドラマがありました(放映:1974年10月7日〜1975年12月29日、脚本:花登筺、制作:よみうりテレビ)。全26回の予定が65回に延びるほどの人気でした。中村玉緒さんが主人公で、豆腐屋を舞台にした女一代記です。

毎回冒頭に「おからは豆腐を作る時にできるカスだが、丁寧に調理すれば卯の花という立派な料理になる、自分もおからのような存在だが、努力して人から愛される卯の花、おからの華のような人間になろう」といったニュアンスのナレーションがあり(…正確ではありませんが、こんな内容でした)、 それ以来、私にとっておからは大切な食べ物でした。

食物繊維も植物性たんぱく質も豊富で、その他イソフラボンなど大豆の成分も多く残り、食品としても優秀だと思います。長靴で踏みつけられたおからを見てからは、さらにおからを食卓に上げるようになりました。

次回もおからパウダーを使った料理をご紹介します。