山本海苔店は1月27日、食材に使った老舗の合計創業年が1142年、全長6mという「長い」恵方巻きを完成した。2月3日の節分を前にママサークル向けの講習会で作った。海苔販売の大手として食育を推進。店頭で節分セールを行って行事食文化を継承、促進する。

本社のある東京・日本橋の老舗商品を、恵方巻きの具材に使った。海苔は1849年創業の山本海苔店を、かまぼこは1688年創業の神茂、鰹節は1699年創業のにんべん、卵焼きは1850年創業の日本橋弁松総本店、鶏そぼろは1862創業年の鮒佐を使用。親子連れ10組を本社別館に招き、みんなで同時に巻けるように、海苔約40枚を並べて作った。

講習会は、子連れで通える学習教室を催すサークル「mamaquest」の要望を受け、無償提供した。「恵方巻き作りのワークショップ」の共同開催は2回目。「もちつきは危ないなどと、教育・保護施設で年中行事が取りやめになる中で人気」(島村玲美代表)企画だという。

調理前には山本貴大専務取締役が社史や海苔生産、加工の概要を、クイズを交えて分かりやすく説明。有明・兵庫産の食べ比べも供し、豊富なうまみ成分といった基本価値を伝えた。恵方巻きの具材を通じ、地元企業の宣伝も果たした。

食育活動は日本橋本店の集客を目指して8年前から始めた。千葉県伝統の祭り寿司やおにぎらず、パッカンおにぎり、海苔の葉酸訴求などの講習プログラムをそろえる。

一部メディアで参加を募るほか、百貨店や消費者、外国人観光客からの要望に応えて年10回ほど開催。店頭では現在、節分用のお面、恵方が分かる方位磁石など景品を付けて販売している。

近年は原料不足で品質の悪化も進んだが、商品基準を昨年あらためて厳格化。寒くて海況の良い今漁期は良質といい、「海苔ひとすじ」の価値提案を貫く。

◇日本食糧新聞の2018年2月2日号の記事を転載しました。