毎日の食卓にちょっと一品、野菜が主役の和え物(あえもの)があると献立のバランスがぐっと良くなります。下ごしらえをしておけば、短時間で簡単に作れる和え物は、作り置きがきき、お弁当のおかずにもとても便利。ほかのお料理に使いまわすこともできます。
和え物は家庭料理の基本です。最初の手間を惜しまなければ、味付けの幅も広がります。

【下ごしらえ】野菜をさっとひと茹で

和え物用の野菜は、買ってきてさっとひと茹でしておきます。しなっとなりやすい葉物野菜は、すぐに使う予定がなくても、さっと茹でておくと美味しく便利に保存できます。

根っこの近くは野菜の旨味が詰まった場所。泥を丁寧に落としたら、切り落としは最小限に。十文字に切り込みを入れておけば、しっかり火が通ります。よほど鍋が小さくない限り、野菜は切らずにそのまま茹でましょう。風味や栄養が逃げません。

基本は沸騰したお湯に少量の塩を入れ、塩茹でにします。緑色がきれいに保てます。野菜の茹で時間は種類によって異なりますが、硬い根っこのほうからお湯に入れます。歯ごたえを失わないように気をつけましょう。

野菜を冷ましながら下味を加えると、薄味でも美味しく調理できます。茹で野菜を氷水に移すときは、お醤油を少し垂らします。これは「醤油洗い」と呼ばれることもあります。急速に冷ますことできれいな緑色を失わない「色止め」ができますし、臭みをとりながら下味もつきます。保存もきくようになるので便利。

アスパラやソラマメは、色が変わりにくいのでザルに広げて冷ましても良いです。日持ちさせるには、小さく切らず、水気を絞りキッチンペーパーで巻いて冷蔵庫に入れます。2、3日は大丈夫です。

野菜がしんなりしてても心配ご無用!50度ぐらいのお湯に30秒ほど根元からつけて下さい。よほど古くなってない限り、葉っぱの先までシャキッと生き返ります。

【味付け】揃えておきたい調味料と、調理道具

<調味料>
塩・藻塩(もしお)・カボスの汁または柚子の汁・薄口醤油・純米酢・昆布だし・本みりん・ごま・ごま油・オリーブオイル・七味・ホワイトペッパー・米みそ

<調理道具>
すり鉢・すり粉木

ちょっとこだわりの調味料と、使い分けのコツとして、和え物はシンプルな料理なので、調味料や香辛料が美味しさを大きく左右します。こだわりの逸品を揃えておくと、味付けの幅も広がります。

【お塩】平釜で炊いた海の塩、藻塩(もしお)、岩塩、山椒塩

塩もバラエティに富んでいます。すこしこだわって、いろいろと試してみましょう。日本は酸性土壌で海に囲まれた土地ですので、野菜の葉は柔らかく甘みがあります。海の塩は基本的に日本で生産されたどんな野菜の料理にもよく合います。

普段使いの調理用とは分けて、ここぞというときの味付け用のものを揃えてみると料理の世界がぐっと広がります。私は、結晶がしっかりとした粗めの塩がお気に入りです。

藻塩は旨みが強く濃厚でコクがありますので香りの強いオイルと好相性。うま味調味料を卒業したい方には、藻塩がおすすめ。

【お酢】純米酢・カボスの絞り汁・柚子の絞り汁・そのほか酒粕酢やフルーツで作った酢(お酢にフルーツを添加したものとは別)

和食で一般的な純米酢の他に、カボスや柚子の汁を絞って冷凍したものを常備しておくのもよいアイデアです。フルーティーで甘みのある果汁は、酸味の苦手なかたでも美味しくいただけます。酢ものは、緑野菜の色を変えてしまうので、食べる直前に和えましょう。

【辛味】生唐辛子・ホワイトペッパー・七味・山椒・韓国の唐辛子・わさび

唐辛子と一口に言っても、加工の仕方で風味が全く違います。生唐辛子はパンチのある爽やかな辛味と香り。韓国の唐辛子は甘みが強く、辛味は後からじんわりと。山椒も、醤油漬けにしたものと乾燥させたものとでは風味がそれぞれ異なります。いろいろ試して、お気に入りを集めるのも楽しいですよ。

【本みりん】

野菜に旨味が足りないときは、隠し味程度にみりんを加えるとバランスが取りやすくなります。わたしは、野菜の味を生かすため、砂糖をなるべく使わないようにしています。健康を気にしていても薄味になかなか馴染めないというかたは、まずは砂糖を控えて、本みりんに変えてみてはいかがでしょう。

基本のレシピ【ほうれん草の胡麻和え】

ほうれん草の胡麻和えは、家庭料理の定番です。ポイントを押さえるだけで格段に美味しく仕上がります。

  1. 上記の下ごしらえ編で紹介した通り、ほうれん草を塩茹でします。ほうれん草の茹で時間は根っこから入れて5秒、葉っぱまで入れて追加で5秒。短い時間でさっと湯がくのがポイント。食感や風味が残ります。
  2. 軽く炒ったゴマをすり鉢ですりつぶします。
  3. 冷水にとり、色止め・醤油洗いを。その後、ほうれん草を絞ります。水っぽくならないようにしっかりと。
  4. ゴマとほうれん草を和え、香りの良い薄口醤油で味を整えたら出来上がり。

【春菊とニラの香り和え】

上記の要領で、ニラと春菊を茹でます。半量ずつのニラと春菊を、海の粗塩・醤油漬けにした山椒・乾燥させた山椒・ごま油で和えました。香りよくご飯のお供にもおすすめの和え物です。

旬の番外編【ワカメの和え物】

生ワカメの季節が始まったばかり。そう、今が「はしり」です。海辺に住んでいるかたなら、朝方取りに行くということもあるかもしれません。ワカメの和え物はこれからの季節の楽しみです。歯ざわりも風味もよく、生ワカメは、塩ワカメや乾燥ワカメとは一味違った美味しさです。

さっと湯がいたワカメはキッチンペーパーを敷いてタッパーに入れれば3日は美味しく食べられます。以前紹介した、梅みそのソースと和えて朝の一品に。

鮮やかで香り高い梅干しを味わい尽くす!

和え物は、旬の野菜を簡単に楽しめる時短レシピです。お野菜もたっぷり楽しめますのでぜひお試しくださいね。