“ミッキー”と呼ばれ親しまれているイカをご存知ですか? 体のわりに大きめの、まるでミッキーマウスの耳のようなエラをもった小さなイカです。福岡県では「テルコイカ」と呼ばれています。名前を聞いてピンとくる方は、なかなかの食通ですね。あまり流通しておらず、水揚げされた時にだけ市場や近隣の魚屋さんの片隅でひっそりと売られています。お値段は20杯ほどの一盛りで250〜300円とリーズナブル。
昭和のレディのような名前は、テル子さんが発見したから!…ではありません。小さなテルテル坊主に似ているからという説を聞いたことがあります。
正式には「ミミイカ」といいます。「テルコイカ」以外にも、地域ごとにユニークでかわいい名前が付いていて、食いしん坊に愛されるイカです。

わたが濃厚な、珍味イカ

このテルコイカ、まずはサッと湯がいて食べてみてください。とってもおいしいですよ! ホタルイカが好きな方はきっと気に入ります。濃厚なわたの味と、イカの旨みがしっかりあります。墨をたくさん含んでいるので、イカ墨が好きな方にもおすすめ。

唯一の難点は、10杯に1杯ほどの割合で砂を噛んでいること。食べていて“ジャキッ”とすることもありますが、びっくりなさらぬように。

テルコイカの茹で方

とってもおいしいテルコイカですが、茹で方には少しコツがいります。そのままザブッと茹でてしまうと少し生臭みが残りがち。テルコイカは水分が豊富です。汚れを落とすことも兼ねて、ボウルで塩を振って3〜4分置きます。しっかり水が出るので、水分を流してから再びきれいに洗います。

大きな鍋にたっぷりと水を入れて一気に茹でましょう。沸騰したお湯に強めに塩を入れて、1〜2分。すぐに火が通りますし、あまり茹ですぎるとせっかくの濃厚なお味噌が出てしまうので、手早く茹でるのが大切。墨が多いので茹で汁は黒くなります。

硬い目玉は口に残るので、ホタルイカの要領で外しましょう。茹でると簡単に外れます。

旬のカボスと醤油にかんずり(生唐辛子)を混ぜたもので和えていただきます!

イカ墨を生かしてアヒージョ風に

イカ墨とドライトマトがいい塩梅に馴染みます。煮込んだ汁はパンを浸して食べると二度おいしく味わえます。盛り付けに、イタリアンパセリをのせました。

【材料】
オリーブオイル 大さじ2
にんにく 2片
唐辛子
ドライトマト 3個くらい
マッシュルーム 10個
テルコイカ 1盛り
白ワイン 150cc
塩、胡椒
アンチョビ 3〜5本

●塩選びに迷ったら!●
海の物には海の塩(平釜塩や藻塩がおすすめです)、山の物には山の塩(肉や根菜には岩塩がよく合います)。

【作り方】
1.テルコイカは塩でもみ洗いして水分を出したら、きれいに洗い直して白ワインをまぶしておきます。
2.たっぷりのオリーブオイルに、潰したにんにく、唐辛子、刻んだドライトマトを入れて火にかけます。

3.にんにくがフツフツと泡を出したら、マッシュルームを手で四つ裂きにして入れます。

4.蓋をして、マッシュルームの水分が出て縮むまで放置します(5分程度)

5.塩、胡椒を振ってアンチョビ、テルコイカをワインごと入れて再び蓋をします。

6.煮立ったら完成!

一度食べると、その手軽さとおいしさのトリコになること間違いなし! 魚屋さんで出逢ったときはぜひ試してみてください。