ボンジョルノ!イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回はボリュームたっぷりなイタリア料理を美味しく食べるための、ちょっとユニークなイタリア人の習慣についてご紹介します。
実際にイタリアに暮らしていると、日本とは違うイタリア人の食生活の習慣に遭遇します。その中でもちょっとユニークな習慣は「海の食材と山の食材は別々に食べる」というものです。

古くから伝わるイタリアの「食べ合わせ」

前菜とパスタ、メイン料理までコースで食べる正式な食事の場合、特に顕著です。レストランのメニューも、魚介類の料理、肉料理をきちんと分けて書かれている場合がほとんどです。

イタリア人は、ボンゴレを食べるのなら、必ず前菜は海の幸で、メインも魚介類を選びます。ハム類などの前菜で始めるときは、パスタは肉系でメインもお肉を食べます。

違う種類のたんぱく質を一緒に食べ合わせると消化に時間がかかる、とイタリアでは信じられているのが理由です。

ボリュームたっぷりのイタリア料理のコース料理を、胃持たれせずに美味しく食べる方法だというのが、古くから伝えられているイタリア人の考え方なのです。

フルーツとお肉の組み合わせでおいしいイタリア風おかず!

また、日本とは違うイタリアならではのお料理に、果物とお肉を組み合わせたおかずがあります。特にこれからの季節、フルーツをそのままで食べたり、お菓子にするだけではなく、お料理のおかずとして野菜のようにお肉と一緒に煮込んだ料理が食卓に登場します。

一番代表的なのは、豚肉とリンゴの組み合わせです。たとえば、いつもの豚肉のロースト肉にりんごを加えて一緒に煮ると、独特の甘酸っぱい風味と香りが加わって、さっぱりと美味しく仕上がります。これはすでに中世のころから作られていたという北イタリアの地方の伝統的な料理です。

イタリアは果物が豊富なので、リンゴだけではなく、プラムや梨、栗、オレンジ、干しぶどうなどを料理に使う地域もあります。その土地土地でたくさん取れる果物を、上手に料理の食材としても使うのです。果物は料理を美味しくするだけではなく、お肉を柔らかくする効果もあるので、一石二鳥ですね。

ピザとスパゲッティだけではなく、いろんな食べ方があるイタリア料理。いろいろ試してみてはいかがでしょうか?

パスタやピザだけではない奥が深いイタリア料理

日本でバブルのころに起きたイタリア料理のブームも、今では日本人の食生活にすっかり定着した感があります。モッツァレッラチーズや生ハムのような本格的なイタリアの食材も、日本にいても比較的簡単に手に入るようになりましたね。

その一方で、イタリア料理というとアメリカ経由で日本にやってきたスパゲッティやピザのイメージが、まだまだ根強く残っているようです。

イタリアはアルプスの麓にある北イタリアから、アフリカの対岸にあるシチリア島まで南北に細長いために、地方によって使う食材もまったく異なります。イタリア料理という料理は存在しないと言われるくらい、地方によってそれぞれ特徴的な郷土料理があって、大切に受け継がれてきています。

イタリア料理のシェフを中心に活動を行っているイタリア料理協会は、もっとより多くの人にイタリア料理を普及させることも目的として活動を行っています。

ちなみに9月17日は「イタリア料理の日」でした。イタリア語で料理を意味する言葉「クチーナ」の語呂合わせの日、より多くの人にイタリア料理を紹介することを目的として、日本イタリア料理協会によって制定された記念日です。