宮城県仙台市在住のたべぷろ編集部員からあげまるです。東北では秋になると、「BBQしようよ!」というノリで、「芋煮会しようよ!」という言葉が飛び交います。「芋煮」とは、里芋を含めた野菜とお肉を、鍋でぐつぐつ煮た汁物のこと。この芋煮を河原などの野外で作り、みんなでワイワイやるのが芋煮会です。
芋煮には、牛肉を使う醤油味の「山形風」と、豚肉を使う味噌味の「宮城風」がありますが、今回は宮城風芋煮のおいしい食べ方をご紹介します!

宮城風芋煮には仙台名物「油麩」と「仙台味噌」

東北の秋の風物詩、芋煮会。筆者は宮城県出身ですが、東京に働きに出るまで芋煮会は全国共通の風習だと思っていました。そのぐらい、芋煮会は宮城県人にとって馴染みのある秋のイベントなのです。

お隣の山形県でも芋煮会はさかんに行われていて、「山形風と宮城風、どちらが美味しいか」で小さな戦いが勃発することもしばしば。牛肉と醤油ベースの山形風に対し、豚肉で味噌ベースの宮城風芋煮は、「それって豚汁とどう違うの?」と言われてしまうのですが、実は基本的には同じものです。

ですが、そこに仙台名物の「油麩」を入れることで、「これは宮城風芋煮だ!」と胸をはって言い切ることができます(笑)。また油麩を入れることによってコクが増し、グッと美味しくなるんですよ。

油麩とは、その名のとおり、油で揚げた麩のこと。フランスパンのような形状で、宮城県内のお土産屋さんやスーパーなどで売っています。

県内では油麩を玉子でとじた登米町の「油麩丼」が有名ですが、みそ汁の具や煮物など、何に入れても美味しく、ボリュームもアップする優れものです。

また、宮城風の芋煮に使用する味噌は、仙台味噌がおすすめ。旨味と香りが独特な仙台味噌を使うことで、さらに深い味わいになります。

仙台味噌は、大豆と米麹で作られた赤味噌です。他の味噌に比べて塩分濃度が高く、少量でも味が引き立ちます。大豆のつぶつぶを残した粒味噌と、なめらかに漉した漉し味噌がありますが、粒味噌の方が大豆の香りがしっかり感じられるので、芋煮に好適です。

仙台味噌は、東北のみならず、全国のスーパーで売られていますので、ぜひ一度試してみてください。

宮城風芋煮(味噌味)のレシピ

《材料》6人分
・豚肉 250g
・むき里芋 1パック
・白菜 1/4カット
・大根 1/4カット
・人参 1/2カット
・ごぼう 1/2カット
・こんにゃく 小1枚
・長ネギ 1/4カット
・顆粒だし 適量
・油麩 1本
・仙台味噌 適量
・水 1L

《作り方》

  1. 豚肉、野菜、こんにゃくは一口大、ごぼうはささがき、油麩は輪切りにします。
  2. 豚肉を油で炒め、白っぽくなってきたら、長ネギと油麩以外の具材を入れ、全体に油を回します。
  3. 水を加え、アクが浮いてきたら取り、顆粒だしをいれて里芋に火が通るまで煮ます。(15分程度)
  4. 具材に火が通ったら、火を止めて仙台味噌で味付けをし、最後に油麩と長ネギを入れます。

油麩がしみしみでおいしい!七味をかけて召し上がれ♪

油麩投入後のお鍋がこちら。スポンジのような油麩が、野菜やお肉のだし汁を吸って柔らかくなり、ものすごくおいしいんです!

お椀によそったら、七味唐辛子をかけて頂きます。

ジュワ〜ッとジューシーな油麩、ねっとりホクホクの里芋、シャキシャキのネギなど、たくさんの食感と旨味を味わえる芋煮。宮城県では河原での芋煮会はもちろん、普段の食卓でも愛されています。

とっても具沢山なので、芋煮の他はごはんとお漬け物があれば十分!と、自分はなってしまいます。

近頃は東北以外のスーパーでも油麩を取り扱っているところがあるようですので、見かけた際にはぜひ手に入れて、宮城風芋煮を作ってみてくださいね。