夏のイメージがある食べ物といえば、焼きそば。お祭りの屋台で、はたまた海の家で。あの香ばしいソースの香りが、なんともいえず食欲をそそりますよね。もちろん沖縄にも焼きそばはありますが、食べてびっくり。沖縄そばの麺が使われているのです。

焼きそばに沖縄そばの麺が使われている理由は

沖縄そばの麺を使った焼きそばが食べられるのは、昔ながらの大衆食堂やステーキハウスなど。特にどこかに注意書きがあるわけではありませんが、焼きそばを注文すると当然のように沖縄そばの麺で作られたものが提供されます。

通常、焼きそばに使用する麺といえば一般的に中華麺とよばれるもの。小麦粉に塩、かん水等を加えてこね、延ばして細く切ったものを茹でたり蒸したりして加熱し、保存性を高めるためとほぐしやすくするために表面に油をまぶした状態で店頭に並んでいます。

そして沖縄そばはといえば、なんと材料も作り方もほとんど同じ。沖縄は年間を通して気温と湿度が高く食べ物が痛みやすいため、保存のために茹でた麺に油をまぶして自然冷却したものが沖縄そばの麺として使われているのです。

そう考えると、焼きそば用にわざわざ別で中華麺を用意するのではなく、沖縄そばの麺で代用するというのは納得の理由ですよね。

基本はケチャップ!まるでナポリタンな焼きそば

本土の焼きそばとの違いは麺だけにあらず。味付けや具材に関しても、沖縄独特のアレンジが加えられているのです。焼きそばの味付けといえば基本的にソース、あるいは塩というイメージですが、沖縄の昔ながらの焼きそばの味付けの王道はなんとケチャップ!

紅生姜や味噌汁が添えられていなければ、スパゲッティナポリタンと見紛うほどの鮮やかなオレンジ色が目を引きます。ケチャップ独特の爽やかでまろやかな甘辛さが後を引き、お子様でも食べやすい懐かしい味わいになっています。

食堂花笠(那覇市)の焼きそば

店によってはケチャップにソースなどを加えてオリジナルの味付けをしているというところもあり、より深みを増したリッチな味わいが楽しめるようになっています。

具材は本土と同じく豚肉、キャベツ、にんじん、たまねぎなどが基本となっています、ここにニラが入っていたり、豚肉がポークランチョンミートだったり、ベーコンやツナだったりとバリエーション豊か。

沖縄の焼きそばは「そこらへんにあるもので作ったよ」という、食堂のまかない的な雰囲気が感じられるローカル感あふれる面白さのあるメニューなのです。

塩にソースにしょうゆ、なんでもござれ

最近では、味付けを選べる店も増えてきており、塩味/ソース味/しょうゆ味などのバリエーションがあることも。どの味付けにしても沖縄そばとの相性はぴったりなので、好みにあわせて注文しましょう。

ケチャップ味の焼きそばに、途中で食堂の卓上に置いてあるコーレーグースをかけると、アラビアータ風(?)の味わいの変化も楽しめますよ。

うみちか食堂(宜野湾市)の焼きそば

ちなみに、沖縄本島の北部・中部・南部、そして宮古諸島、八重山諸島ではそれぞれ沖縄そばの麺の太さや形状が微妙に異なるので、自然と焼きそばもご当地感のあるメニューとなります。個人的には、本島北部で多く食されている「平太麺」の焼きそばが気になっています。

沖縄を訪れた際には、普通の沖縄そばもいいけれど、ちょっと変わり種の焼きそばにもぜひ挑戦してみてくださいね。