おいしい「だし」は和食の要だと思っている調味料研究家の松本葉子です。11月24日はその「だし」の立役者というべき鰹節の日。11(いい) 24(ふし)の語呂合わせからヤマキが制定しました。
鰹節を使ってとるだしは香り高く深いうま味がありますが、より簡単にかつおだしのエッセンスを味わえて、調味料的にも使うことができる便利な食品があることをご存じでしょうか? それが「かつお粉」です。

かつお粉ってなに? どこで買えるの? 選び方は?

かつお粉は文字通り鰹節の粉。スーパーなどで手に入ることもありますが、できれば上質の鰹節を扱っている乾物店で買うのがおすすめです。そういう店の自家製かつお粉は原料の鰹節が良いので風味が格別なんです。

写真は私がよく買う店のひとつ、京都の錦市場にある削りたての鰹節が買える店の様子です。

また、「かつお粉」「だし粉」として販売されているものの中には鰯や鯖節の割合が多いものもあるので選ぶ時には要チェック。鰹節以外の節の粉もおいしいのですが、品が良く鮮やかなうま味が出せるということでは本かつお粉が優れています。

そして、本かつお粉でも、店によって粒子の大きさや風味が違うので、いくつか試してみるとよいでしょう。かつお粉大好き人間の私は、常時3種類くらいを使い分けています。

かつお粉の使い方 <基本編>

このかつお粉のパッケージに書かれているように、かつお粉はいろいろな使い方ができます。それにしても、お好み焼きが一番に書いてあるのが関西らしく、単なる煮物ではなく竹の子煮と明記されているのは京都ならではかもしれませんね。

<だしとして使う>
野菜の煮物や肉じゃがなどを作る時に加えてみてください。ベースに使うのは市販の濃縮だしでも、かつお粉をほんの少し加えるだけで、ぐんと味わいが深まります。鍋だしやおでんだしに使うのもおすすめですよ。

味噌汁や煮物、うどんだしの味が決まらない時などは、仕上げにかつお粉を加えるのもよいでしょう。でも入れすぎにはくれぐれもご注意を。ほんの少しでokです。

<ふりかけたり、混ぜたり、まぶしたり>
・ほうれん草のおひたしや焼そばなどに削り鰹のかわりにふりかけて使えます。
・炒り胡麻や刻み海苔と混ぜれば簡単に自家製ふりかけが作れます。
・市販の塩昆布や佃煮の味が気に入らない時にかつお粉を混ぜると印象が一変します。
・お好み焼きやたこ焼きは生地に混ぜ込むほかトッピングにも。
・ポップコーンやポテトチップス、フライドポテトに振りかけて和風味に。

おにぎりなら、具として使うほか写真のように表面にまぶしてもおいしいですよ。

定番の「冷や奴+かつお」も、かつお粉を使えばちょっと変わった盛り付け方が可能。写真はハート型を使いましたが、お子さんの好きなキャラクターをアレンジするのも楽しそうです。

かつお粉の使い方 こんなアレンジも!

<洋風料理に使ってみる>
魚臭さがない上質のかつお粉は、洋風の料理にも合わせやすく、味を深めてくれます。例えば、フリッターの衣に加えると風味が増すし、ポテトサラダに隠し味として加えるのもおすすめです。

<自家製調味料の材料として>
醤油と合わせたり、ドレッシングに加えたりマヨネーズに混ぜるほか、ウスターソースに混ぜて使うのもどこか懐かしい風味になって面白いですよ。

下の写真は、マヨネーズにかつお粉と醤油少々を混ぜて作る「かつおマヨネーズ」。野菜用ディップソースとして活躍します。


<即席味噌汁玉を作る>
是非試してみて欲しいのが、かつお粉を使って作る即席味噌汁玉。好みの味噌に、かつお粉、カット済み乾燥ワカメ、乾燥ネギ、乾燥湯葉などを混ぜて、大さじ1程度ずつ丸めてラップフィルムなどで包んでおきます。

この味噌汁玉1個で1杯分。お椀やカップに入れて熱湯を注げばだしのきいたおいしい味噌汁ができます。1人分ずつ味噌汁を作りたい時や、お弁当やアウトドアでの食事に味噌汁を添えたい時に便利ですよ!

かつお粉を冷凍保存も

多彩な使い方ができるかつお粉は、常備しておけば役立つこと間違いなし。

ただし、空気に触れた状態や温度・湿度が高いところでは劣化しやすいので、保存は袋の空気をしっかり抜いて冷暗所で。我が家では3種類を使い分けていることもあって、それぞれ小分けして冷凍保存しています。

でも開封後はできるだけ早く使い切った方が良いので、そのためにも是非いろいろな料理に使ってみてください。きっと「魔法の隠し味」という表現が大げさでないことがわかっていただけると思います。