イタリア在住フードライター鈴木奈保子です。日本では乾燥した状態で手にすることが多いポルチーニ茸ですが、筆者の住むイタリアでは、夏の終わりから秋の初めにかけて、旬の新鮮なポルチーニ茸が店頭に並びます。今回は10月15日「きのこの日」にちなんで、イタリア流の簡単で美味しいポルチーニ茸の食べ方をご紹介します。

松茸のような存在感があるポルチーニ茸

香りも味もよく貴重なポルチーニ茸は、日本で言う松茸のような存在です。傘は半球状で、色は茶色。軸はどっしりとした白っぽい色、または茶色っぽい色です。

ポルチーニ茸は噛むとしっかりとした食感で、生でも加熱しても乾燥させても独特の深い味わいと香りがあります。そのため、イタリアでも旬の時季だけではなく、乾燥した状態で、一年中、私たちの食卓を楽しませてくれます。

また、ポルチーニ茸は美味しいだけではなく、栄養分も満点です。カリウム、リン、鉄、ベータカロチンや葉酸などのミネラル分を多く含む一方で、カロリーは100グラムに対してわずか25キロカロリー。痩せたい人にピッタリなダイエット食品です。

イタリア風にフレッシュなポルチーニ茸を楽しむ、旬ならではの食べ方は、なんといってもステーキです。炭火などで焼いただけの茸に、オリーブオイルと塩を振っただけのシンプルな食べ方が、特にキノコ本来の味を最大限に引き出します。

また、サラダなどのうえに、薄くスライスして食べる方法もあります。香りが格別なポルチーニ茸ならではの食べ方です。

乾燥ポルチーニ茸の美味しく手軽な食べ方

イタリアのお土産で人気の乾燥ポルチーニ茸。もらったことがある方も多いのではないでしょうか?また、最近では大手の食料品店なら、比較的簡単に手に入りますね。

日本では乾燥ポルチーニ茸の食べ方といえば、リゾットが有名ですが、本場イタリアのリゾットは、アルデンテという少し硬めのお米の炊き方で、家庭で美味しく作るのはそれなりの調理技術が必要です。

簡単に美味しく乾燥のポルチーニを食べるのなら、おすすめなのがパスタです。他にそろえる材料は、にんにくとスパゲッティ、オリーブオイル。パルミジャーノ・レジャーのチーズがあれば、さらに本場の味になること請け合いです。もし、手に入らない場合は、オリーブオイルの代わりに、バターを使ってもコクがでます。

ポルチーニ茸のパスタ

<材料(4人分)>
乾燥ポルチーニ茸 50グラム
にんにく 1かけ
エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1杯
スパゲッティ 360グラム
岩塩(パスタをゆでる用) 1握り
パルミジャーノ・レジャーノチーズ 適量

<作り方>

  1.  乾燥ポルチーニ茸をぬるま湯に浸して十分に柔らかくしたら、冷たい水ですすいで絞る。
  2.  パスタ用にたっぷり湯を沸かし、沸騰したら、岩塩とパスタを入れて指示通りの時間茹でる。
  3.  フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、つぶしたにんにくを1かけ入れて香りを出す。
  4.  乾燥ポルチーニ茸も入れてさっと炒め、パスタのゆで汁を少し加え、5分ほど弱火で炒める。
  5.  にんにくを忘れずに取りのぞき、茸のソースをパスタと絡めてお皿に移し、パルミジャーノチーズをたっぷりかけていただきます。

お好みで、トウガラシやイタリアンパセリを加えてもいいでしょう。また、スパゲッティの代わりに、少し幅広の手打ち風の麺を使えば、さらに本格的なイタリア料理になります。

イタリアの乾燥茸の使い方で、日本と違うところは、戻したゆで汁を捨ててしまうところです。イタリアでは、「茸はスポンジのように何でも吸収するので、空気中の汚染されたものも取り込んでしまっている」と考えられています。

ゆで汁を加えなくても、しっかりとした味わいが楽しめる乾燥ポルチーニ茸。ぜひ、イタリアの秋の味覚、パスタで楽しんでみてはいかがでしょうか?