岐阜県産の野菜・肉料理が楽しめる古民家レストラン「ビストロ・エスカリエ」(岐阜県瑞浪市)を営業するのが、「農業生産法人 株式会社Highland Farm東濃」だ。同社は昨年から資源循環型の農業構築を目的とした「シロアシエビの閉鎖循環式陸上養殖」をスタート。今秋には養殖場の増設などで年間200万尾の出荷が可能となる。
現在、同店ではそのシロアシエビを「きよら美濃エビ」ブランドとして期間限定で提供するとともに、さまざまな地域食材を使用した料理が楽しめる店として人気を集めている。

「より安全で安心な商品をお客さまに」

同社の齋塲直樹社長は「私はもともと名古屋駅前でフレンチの洋食レストランを経営していましたが、そのときに疑問を感じていたのが食材に関して青果は青果、鮮魚は鮮魚、畜肉は畜肉とそれぞれを別ルートで仕入れしていたことです。現在の物流機能としてこれは常識ではありますが、それを一括で仕入れる仕組みがあれば、まずは単純に物流コストの削減につながるのではと考えました。また、さらにその食材自体を自分たちの手で育てることができれば、より安全で安心な商品をお客さまに提供できると。それらを実現するため、2010(平成22)年に有志で立ち上げたのが現在の農業生産法人『HighlandFarm東濃』です」という。

特に「シロアシエビの閉鎖循環式陸上養殖」は、大手量販店とのタイアップ事業と、資源循環型の農業構築を目的とした6次産業化・地産地消に基づく事業計画として認定されているものだ。

ジビエの狩猟も自分たちで

 「ビストロ・エスカリエ」(約30席)は、養殖施設に隣接した形で昨年オープン。1912(明治45)年に養蚕農家として建築された築百余年の文化財級の古民家をそのまま使用。

食材には独自養殖の「きよら美濃エビ」をはじめ、農薬不散布の自然土壌で育てたクレソンやセリ、ハーブなど有機西洋野菜(約30種類以上自家栽培)を中心に、鹿やイノシシ、鴨などのジビエも自ら狩猟して使用するなど、まさに地元岐阜県産の食材をふんだんに使用した、「究極の地産地消料理」(内藤達雄6次産業化レストラン総括シェフ)となっている。

ランチコースは1200円から。またディナーコースは3500円から。なお、平日ディナーは完全予約制となる。

今後の展開において店舗を運営する齋塲社長は、「現代社会は正しく作られ、あるいは育てられた安全で安心な食材を探すことが非常に困難となっています。こういった中、当社・当店ではこれからも買い付けなどに頼らず、目の行き届く農水産業を自社で率先して行い、その食材(惣菜)をユーザーさま・一般顧客に提供することで、お客さまの健康維持や食育に少しでも貢献できれば幸い」としている。

「ビストロ・エスカリエ」=▽岐阜県瑞浪市明世町戸狩351-2▽電話・FAX(0572-68-7708)

◇日本食糧新聞の2018年5月29日号の記事を転載しました。