とある日の保育園の献立を見てびっくり。「揚」「炒」「煮」に加えて「和え」「スープ」とあらゆる調理法が使われ、品数も7品と多め! こんなに多彩な献立を提供している保育園はあまり見ないかも・・・。
そしてこの中に「納豆」を使ったメニューがありました。納豆を好んで食べる子どもって意外と多いですよね。栄養価も高い納豆を『おかず』として、おいしくたっぷり食べてもらうメニューを教えていただきました!

バラエティーに富んだメニューで「食」に興味を持たせる

訪問したのは西東京市にある「西原保育園」。同園では、子どもたちに食に興味を持ってもらうために調理法を駆使して、特徴ある給食を提供しています。
この日のメニューは「酵母ロール」「岩石揚げ」「スタミナサラダ」「いんげん人参ソテー」「さつま芋の重ね煮」「冬瓜と木耳のスープ」「くだもの(スイカ)」の全7品と品数も豊富。

納豆は「岩石揚げ」に使われていました。納豆と豚ひき肉のタネに、玉ネギ・長ネギ・コーンが入り彩り豊かでそれぞれの食感も楽しめます。そしてふわっふわの食感がおいしい!これは子どもが絶対に喜ぶ~! 納豆はご飯と合わせるだけでなく、おかずとして使うこともできますね。

それにママとして嬉しいのが、納豆特有の“ねば~っ”があちらこちらに飛び散らないこと(笑)。“自分で食べたい”時期のコレはとっても厄介です。こうした調理法でたくさん食べさせてあげられるのは嬉しい!

「岩石揚げ」の混ぜ合わせたタネ。これを一口大程度の大きさに揚げていきます

「冬瓜と木耳のスープ」は、まるでレストランで味わえるかのような本格派。おだしが効いていて、子どもたちが食べやすいようにと千切りにされた野菜もたっぷり。このしっかりとしたおだしの正体は何かというと・・・「鶏の手羽元」でした。かつお昆布だしに加えて、鶏手羽元からもうまみエキスがにじみ出ていました。お肉も食べられるので、単なるスープでなく、まさに「食べるスープ」です。

箸休めの役割も果たす「さつま芋の重ね煮」は、さつま芋とリンゴの甘~い味わいに子どもたちも夢中! おやつにも最適です。作り方は、①それぞれ材料を切って、②鍋に交互に重ねて入れ、③砂糖(さつま芋1本・リンゴ1個なら大1程度)・塩(ひとつまみ)をふりかけ、④弱火で煮るだけ!

納豆たっぷり「岩石揚げ」

<材料(大人2人、子ども2人分)>
A・・・・・・・・・・・
・納豆 100g
・豚ひき肉 150g
・ネギ 1本
・玉ネギ 1個
・ホールコーン 1缶(約100g)
・卵 1個(※なくても可)

B・・・・・・・・・・・
パン粉 30g
小麦粉 20g
塩 小1
醤油 大1
酒 大1

<作り方>

  1. ネギは小口切り、玉ネギは1cm角に切る
  2. ボールにAの材料を全て入れて、ふわふわとよくかき混ぜる
  3. ②のBを入れてさらによく混ぜる
  4. ③をスプーンですくって形を作り、中温の油(170~180℃)で揚げる
    ※フライパンで揚げ焼きにしてもOK! その際には1cm程度の厚みで

食べるスープ「冬瓜と木耳のスープ」

<材料>
・冬瓜 300g
・人参 1/2本
・しめじ 1/2袋
・木耳 お好みで
・手羽元 4本
・ごま油 大1/2

・水(だし汁) 800cc
・塩 小1
・醤油 小1

<作り方>

  1. 冬瓜は皮をむき種を取って一口大に切る
  2. 人参・しめじ・水でもどした木耳は千切りにする
  3. 鍋にごま油を熱し、手羽元を入れて表面の色が変わるまで焼き、冬瓜を加えて軽く炒め、水を加える
  4. ③に②を加えて中火~弱火で20分煮る。最後に塩、醤油で味をととのえる
    ※野菜はお好みで変えてください

食べることは楽しい!と教えてもらった子は、比較的何でも食べる

子どもに食べてもらいたいがために、つい子どもの好きな料理ばかり作ってしまう。メニューもワンパターンになりがち。品数もそんなに作れない・・・。よく聞く悩みですよね。小さい頃から色んな料理や素材に触れさせてあげることは、その子の成長にプラスにもなると栄養士の田守先生は唱えます。

そして何よりも、食べる楽しみを教えてあげる――親がおいしそうに食べる様子を見て、子どもは自分も食べてみよう!と意欲がかき立てられます。楽しい食事の思い出は、その後の心の糧となり勇気にも繋がる大切なことだと教えていただきました。

さらに食に興味を持たせるために、料理にかかわらせてあげることも大切。こちらの園では『料理保育』として3~5歳児がカレー作りに挑戦しています。そこで使われたのが「ガラス鍋」。ガラス製なので横からでも鍋の中の様子が見て取れます。ぐつぐつと煮え立つ様子に子どもたちは釘付けだったそう!

料理保育で使用の透明ガラス鍋。中身が見えて子どもの興味をかき立てます

おいしく食べてもらうために大切なこと。それは、離乳食期からの取り組み

特に離乳食時期は、せっかく作った料理を子どもが食べてくれないと気落ちしますね。今日は食べてくれるかな?と恐れてしまう。子どもたちはこうした保護者の気持ちを敏感に察して、食べなくなってしまうそうです。でもこの「食べてくれない」には、子どもなりにちゃんと理由があるのです。

特に目から鱗だったのは、「食べやすいようにと小さく切ってから煮ると、味も落ちて子どもが食べにくいからダメ。大きく切ってふっくら仕上げ、それを成長期にあわせて潰してあげるとおいしさも保たれる」ということ。・・・しまった、やっていました、『小さく切ってから煮る』料理! 確かに野菜の味が飛んでしまっていたけど、こんなものかな?思ってました(汗)

さらに、手づかみ食べをさせて、自分で食べることを促し、前歯で噛みきることを覚えさせるのも成長に不可欠だと学びました。もっと早くに知りたかった~!

離乳食については、レシピも含めて別途ご紹介しますので、参考になさってくださいね。

*****
日々の献立を考えたり、せっかく作った料理を食べてくれないのは、ママたちが抱える悩みのひとつ。しかし食のプロが使う“ちょっとしたコツ”を知れば、そんなストレスも改善されるかも!
本コーナーでは、子供たちの大好きなメニューを知るプロの皆さんに、家庭でもできるコツを伺います。