はじめまして、タイ料理研究家のサクライチエリです。タイで8年間、料理に関わる仕事を経験し、帰国後は横浜市にて、主にタイ料理教室を主宰しております。
今年流行ったインフルエンザで、ご自身が感染して辛い思いをしたり、ご家族の看病に腐心された方も多いと思います。病気で弱っている時に頂く代表的な料理の「お粥」。日本では「The・病人食!」な立ち位置ですが、タイや他のアジアの国々では朝ごはんの定番です。家族が病気でお粥を作る時に、健康な家族も一緒にヘルシーお粥を楽しんでみてはいかがでしょうか。

冷ご飯で簡単・おいしいお粥の作り方

生米からお粥を作るとなると、お鍋でじっくりコトコト、吹きこぼれないようにと、病人のためとはいうものの作るのに気が重いですよね。炊飯器で作るにも量が出来すぎて、しかも時間がかかる。その点、冷やご飯があれば、作りたい量だけ手軽にお粥が作れます。

では、作ってみましょう。

【材料】(2人分)
冷ご飯 約200g(お茶碗で軽く1杯分)
水 約600cc(お茶碗で軽く3杯分)

【作り方】
1.まず、鍋に冷ご飯と水を入れ、ご飯が潰れない程度にほぐしてから中火にかけます。

1人分のお粥を作るために必要な冷ご飯は お茶碗に軽く1杯分。重量にしたら、だいたい100gくらいが目安です。

お水の量はご飯の量の3倍量が目安です。計量する必要も、特にないです。お茶碗でそのまま計ってしまいましょう。

火にかけたら、ほどよくご飯がお鍋の中を対流する程度に泳がせてください。混ぜるのは時々、鍋底にご飯がくっつきそうな時。底からすくってあげる感じに混ぜてください。

2.10分から15分、もしお水が足りなくなったらさし水をしつつ、お好みの柔らかさのお粥に仕上がったら、白粥の出来上がりです。

ご病気の方には白粥に梅干を添えたりしてお出ししましょう。お茶碗で軽く1杯分のご飯で、白粥は同じお茶碗2杯分が仕上がります。

この白粥にちょい足ししてタイのお粥「カオトム」に仕立てます。

タイのお粥「カオトム」は、ハーブとガーリックの香りでいただきます

タイ語で「カオ」は「ご飯」の意味。「トム」は「煮る」です。言葉通り「煮るご飯」。これに、お肉やシーフードを一緒に煮て旨みをお粥に移し、さらにハーブやガーリックの香りでサクサクいただくのが、タイのお粥「カオトム」です。

今回は、この白粥にエビを加えた「カオトム・クン」を作ります。

【材料】1人分
白粥 1人分 (冷やご飯100g+水300ccで煮込んだもの)
剥きエビ 4~5尾
ニンニク 1片
サラダ油 大さじ4
セロリ 根元から4cm分ほど
万能ネギ 1本
パクチーの葉 適量
ナンプラーまたはお醤油 適量

【作り方】
1.万能ネギは小口切り、パクチーは葉を摘んでおきます。セロリは筋を取って5mm厚ほどの薄切り、ニンニクは粗めのみじん切りにします。

2.出来上がった白粥に、背ワタを取った剥きエビを加えて火を通します。

エビはあまり加熱すると固く小さく縮んでしまうので、色が変わったら火を止めます。

3.次にフライドガーリックを作ります。フライパンにニンニクとサラダ油を入れてから弱火にかけ、きつね色になる手前で火を止めて、余熱できれいなきつね色に仕上げます。

フライドガーリックは、油に漬けた状態で1週間くらい持ちますので、多めに作っておいて、炒め物などにも使えます。

4.お粥を器によそい、フライドガーリックをトッピングし、ナンプラーをまわしかけます。

ナンプラーが苦手な方はお醤油をたらしてもOKです。

5.その上にセロリ、万能ネギ、パクチーをトッピングしたら、出来上がりです。

セロリは日本人にとって「意外な組み合わせだけどおいしい!」と好評です。

ほんのりエビの風味が移った白粥にプリプリのエビ、かりかりのフライドガーリックと、セロリのしゃきしゃきした食感と香り。

これにネギとパクチーが加わると、「梅干と合わせるのがマスト」と思い込んでいたお粥のイメージが、がらりと変わります。

お粥は病気の時に食べるだけにとどめるのはもったいない。ハーブやガーリックの香りをトッピングすると、健康な人でも満足する味に仕上がります。

おいしいお粥で体を温めて、風邪を引きがちな寒い冬場を元気に乗り切りましょう。

超時短メニューもあるタイ料理

タイ料理というと、手の込んだ宮廷料理や、スパイスやハーブが複雑にブレンドされた、「外で食べる料理」をイメージされる方も多いかもしれません。一方で、中華鍋1つでランチタイムに何十人前も提供する屋台のおばちゃんが作るお料理など、超速時短メニューも存在します。

たべぷろ記事では、ぱぱっと作れてしかもヘルシーでおいしい、タイ料理の世界を知っていただけると嬉しいです。