クリーミーなタマゴコロッケ!昭和初期から受け継がれる味
惣菜の人気者といえば“コロッケ”。今や、多種多様なコロッケが登場しているが、昭和初期から受け継がれてきた創作コロッケを提供しているのが、神戸市にある「スミヨシヤ1932」である。アイデアが光る名物商品「タマゴコロッケ」を取材した。
阪神淡路大震災で被災し再出発
同店のルーツは、1932年創業の老舗精肉店「住吉屋」。公設市場にあった店舗が阪神淡路大震災で被災し、2003年にスーパー形式の共同店舗内の店として再出発した。その7年後、すぐそばにオープンしたのが同店。市場時代から提供していたコロッケや新たに開発した弁当を用意し、近隣住民の食卓を支えている。
「精肉店は兄が継いでおり、カツなどで提供する肉類は住吉屋のもの。フライなどもすべて昔からあるものなので、なじみの味を求めて来てくれる人が多いですね」と小南領二店主。また、弁当は約30種類を用意し、自家製焼豚をのせた「焼豚丼」(540円)など精肉店ならではの人気メニューも。古くからの客とともに、弁当需要での新たな客も獲得している。
レシピなしで全商品を手作り
フライは、一番人気の「ポテトコロッケ」(86円)をはじめ16種類。中でも、名物として認知されているのが「タマゴコロッケ」だ。姿はまん丸な球体だが、割ると中身はゆで卵という、驚きのある商品だ。
調理では、まずゆで卵を半分に切って黄身を取り出し、そのくぼみに、黄身と炒めた玉ネギやハムなどを合わせて調味した“タネ”を仕込む。原材料の黄身以上の分量で挟んで合体させるため、丸い形状になるというわけである。
クリーミーな食感とともに黄身の風味が広がる、スパイス控えめのやさしい味わいが特徴。カットするとあふれんばかりのイエローが出現する、オードブルの主役としても活躍する品だ。
同店では、商品により3種類のパン粉を使い分けており、タマゴコロッケは細目のパン粉を使用。衣付けの際に使用する粉も小麦粉ではないとか。いずれの商品もレシピはなく、創業時からの味や製法を知る人から次の世代へと、口伝や舌で受け継がれてきた。味が変わるため、使用する材料も固定されている。
「開発当時の話を聞ける人も今は亡く、自分が子供の頃から親しんだ味を確認しながら作っています。店の将来は分かりませんが、コロッケのファンが多いので、簡単にやめられませんね」と、まだ30代の小南さんは語る。すべてが手作りのため調理には苦労も多いと推察するが、今後もぜひ残してほしい味である。
●店舗情報
スミヨシヤ1932
所在地=神戸市灘区森後町3-5-1
開業=2010年12月
営業時間=10時~19時ごろ(売り切れ次第終了)。水曜休
平均客単価=700円
1日平均集客数=約80人
◇外食レストラン新聞の2019年1月7日号の記事を転載しました。
タブロイド判16~24頁・月刊・オールカラー。専門紙でありながらフリーペーパーという新聞業界初のコンセプトで外食専門紙トップの発行部数5万8000部を誇ります。広告効果も抜群。ぜひお試しください。
詳しくはこちら
コメント
記事コメント投稿サービス利用規約に同意の上ご利用ください。