2月3日は節分、今年は日曜日ですね。豆まきに使う大豆は、一般的にまいたあとそのまま食べられる炒り豆のことが多いです。そこで、まく大豆を乾燥したままの豆にして、まいたあとに拾った豆を精進だしに使ってはどうだろうかと思いつきました。大豆を弱火でじっくり炒りつけて作る精進だしは、小さなお子さんのいる家庭では、食育に使えるのではないかと思ったのです。
そこで、今回は、大豆を使った精進だしの作り方と、そのだしを使ったけんちん汁、だしに使った大豆で作る料理(煮豆とお好み焼き)をご紹介します。

精進だしの作り方

精進だしとは、鰹節や煮干しなどを使わず、植物性の材料だけでとっただしのことです。ですから、材料も作り方も千差万別です。ここでは、いろんな作り方を参照にした、私流の作り方をご紹介します。

【材料】
大豆(乾) 1/2カップ
昆布(乾) 10cm程度のものを2枚
水 4カップ

【作り方】
1.昆布を水に浸け、半日ほど冷蔵庫に入れておく。
2.水で洗った大豆をフライパンに入れ、弱火にかけ、揺すったり木べらで混ぜたりしながら、焦がさないようにじっくり5〜10分ほど炒る。

3.(1)の昆布と水を鍋に入れて火にかける。

4.(2)の大豆の表面の皮が割れ、ほんのり色づき、ややふっくらしてきたら火を止める。

5.沸騰した(3)の中に(4)を入れ、火を止め、3時間〜1日浸けたままにする。時間がない場合は火を止めずに蓋をして30分程度弱火でゆでる(この場合は大豆を入れる際に昆布を取り出す)。

6.(5)から大豆と昆布をざるで漉して取り除いたら、精進だしの完成。

フライパンでじっくり炒った大豆を鍋の中に入れるまでの工程を、ぜひお子さんに見せてあげましょう。フライパンの中でカラカラと転がる大豆とその変化は、きっと見ていて楽しいはずです。もしその子が興味を持たれた場合は、炒るのを少し手伝わせてあげてはいかがでしょう。

「火のそばに近づけるのは危険」「コンロや包丁のある危険なキッチンに、子どもが興味を持たせるのは避けたい」などというお考えの方もいらっしゃると思います。お子さんの教育方針は、それぞれの家族がお考えになって、臨機応変にされるのが良いと思います。

ただ、近づけないのも危険回避だと思いますが、近づけて危険であることをわからせるのも危険回避になると思います。「食べること」だけでなく「作ること」まで含めてトータルに食と接することは、お子さんにとって有意義な「食育」だと思いますが、いかがでしょう。

「食育」という言葉は、私が編集をしていた「食生活」という雑誌を明治40年に創刊した石塚左玄が考えたものです。食を学ぶことが体の健康にとって欠かせないもので、知育や徳育、体育と並んで大切なものであるという石塚の考えは、平成17(2005)年に「食育基本法」として国の法律になりました。国民一人ひとりが、食を大切に考えるようになることを願ってやみません。

精進だしのけんちん汁

精進だしのうまみを生かしたけんちん汁をご紹介します。

【材料】
木綿豆腐 1/3丁
里芋 2個
しいたけ 2枚
大根 1cm
にんじん 1cm
こんにゃく 1cm
ごぼう 3cm
長ねぎ 3cm
薄口醤油 大さじ1
酒 大さじ1
塩 適宜(味を見て調整)
精進だし 3カップ

【作り方】
1.野菜をカットする。
2.鍋に入れた精進だし(4カップの水で作った精進だしは、大豆が水分を吸うので3カップほどの量になる)に(1)を加えて強火にかけ、煮立ったらアクを取って中火にし、材料が柔らかくなるまで煮る。

3.(2)にさいの目切り、あるいは手でちぎった豆腐を加え、薄口醤油と酒を入れる。味を見て薄かったら塩で調整する。器に盛って完成。

昆布と大豆の煮物

精進だしに使った大豆と昆布を煮豆にしてみましょう。炒ってあるため水煮大豆のような柔らかさはありませんが、おもしろい食感でそれなりにおいしくいただけます。

【材料】
大豆 精進だしに使ったもの
昆布 精進だしに使ったもの
砂糖 小さじ2
醤油 大さじ1
水 1カップ

【作り方】
1.昆布を大豆の長さに合わせて角切りにする。
2.鍋に大豆と(1)と水を入れて中火にかけ、砂糖と醤油を加え、煮汁がなくなるくらいまで煮て、器に盛って完成。

大豆と昆布入りお好み焼き

精進だしに使った大豆と昆布を使った料理をもう一パターン。今度はお好み焼きにしてみましょう。

【材料】
大豆 精進だしに使ったもの
昆布 精進だしに使ったもの
豚切り落とし肉 50g
キャベツ 2枚程度
切りいか 1つまみ
干しえび 1つまみ
揚げ玉 1つまみ
お好み焼き粉 1/2カップ
卵 1個
水 1/2カップ
油 大さじ1
ソース 適宜
かつお節 適宜
青のり 適宜

【作り方】
1.昆布とキャベツを大豆の長さに合わせて四角く切る。
2.ボウルにお好み焼き粉と卵と水を入れ、泡立て器でダマがなくなるまでよく混ぜ、(1)と切りいか、干しえび、揚げ玉を入れて混ぜ合わせる。

3.油を敷いたフライパンに(2)を丸く流し込み、豚肉をのせ、中火で両面きつね色になるまで焼く。

4.器に盛り、ソース、かつお節、青のりをかけて完成(好みでマヨネーズをかける)。

いかがでしょう。精進だしを食育に使った節分が、お子さんにとって思い出に残るものになったら幸いです。

節分について

最近全国に広まりつつある「恵方巻」の習慣は、もともと関西のごく一部の地域でしか行われていなかったものですが、1989年に某コンビニチェーンのある店舗がこれに目をつけ、商品として売り出したことをきっかけに、2000年ごろから急速に広まったものだそうです。

私は子どもの頃に関西に住んでいたことがありますが、恵方巻という言葉を聞いたことがありませんでした。ですから近年、節分終了後に恵方巻が大量廃棄されるという噂も聞くこの習慣には、少し違和感を覚えています。

一方、豆まきは古くから日本全国で行われてきた伝統の風習です。地域によっては殻付きの落花生をまくところもあったり、「鬼は外、福は内」の掛け声も地域差があるそうですが、いずれにせよ、大切にしたい伝統行事です。