こんにちは! 日本酒学講師の大越智華子です。皆さまには残暑お見舞い申し上げます。今夏の異常な暑さは立秋を過ぎてなお、衰える様子がありませんね。毎日毎日、相当な体力が消耗されお疲れの方も多いと思います。そんなときにお薦めなのが、日本酒同様にアミノ酸たっぷりの「甘酒」です!
今回は疲労回復にバツグンの効果があり、しかも美容効果もある「甘酒」についてご紹介します。地方出張が多かったこの夏、甘酒を飲む機会が多かったのですが、まったくの疲れ知らず。しかも髪の毛にツヤがでてきたようなのです! ぜひ夏の疲れを秋に持ち越さないよう、甘酒で体力回復しませんか?

江戸時代、栄養補給食品として重宝された「甘酒」

なんとなく冬のイメージがありますが、俳句では“夏”を季語に持つ甘酒。

甘酒の始まりは日本書紀にも登場する「天の美酒」を意である「天甜酒(あまのたむざけ)」やコノハナサクヤヒメが新嘗祭のためにつくった「お米の酒」などと諸説あり、いずれもお米から造られた神様に捧げるお酒とされています。

平安時代には貴族たちが宴で楽しみ、江戸時代には栄養が高い飲み物として、甘酒売りが登場するほど一般庶民まで広く親しまれていました。

江戸時代後期に発行された喜田川守貞による『近世風俗志=守貞漫稿(全35巻)』に描かれた江戸時代の甘酒売りの様子

現代では「飲む点滴」ともいわれていますが、まだ医療も発達していない時代から栄養補給飲料だったのですね。

また、上の甘酒売りのイラスト右手には火鉢があります。日本酒のお燗と同じように温めたものは体によいとされていたこの時代、甘酒も温めて飲用されていたのですね。

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日本酒で割る甘酒!? 楽しみ方はいろいろあります!

とろとろした美味しい甘酒ですが、ちょっと甘すぎるなぁと感じる方も多いはず。私もそんな一人です。そこで!お酒好きさんにちょっと贅沢な楽しみ方、「日本酒と甘酒」のハーフ&ハーフをお薦めします。

甘酒が甘いので日本酒はさっぱりとした味わいがオススメです

同じお米と麹から造られていますから合わないわけがありません。甘い甘酒がすっきりとした感覚でしかも日本酒の味わいも楽しめます。割合はご自身でちょうどいい加減のお好みでOK。日本酒が苦手な方でもこれなら飲める! と好評です。

また、これまた栄養効果のあるヨーグルトに甘酒を1:1で混ぜ合わせた甘酒デザートもぜひお薦めです。なめらかな口当たりで甘酒の天然な甘さとヨーグルトの酸味がよく合います。

お米と麹でつくるあなただけの甘酒はいかがですか?

甘酒には、酒粕から造られたアルコール入りのものとお米と麹から造られるノンアルコールの甘酒、雑穀米や赤米から造る甘酒などいろいろ種類がありますね。どれも麹パワーがありますので健康&美容効果があります。

昨今の甘酒人気でスーパーなどにも甘酒の種類が増えてきましたので入手しやすくなりました。このたくさんの効果が期待できる甘酒ですが、お店で購入されるときは原材料表記を確認しましょう。せっかくの栄養&健康効果が高いものなのに、廉価な甘酒には果糖などいろいろな添加物が入っていることが多いのです。

また、お米と麹さえあれば、ご自分でノンアルコール甘酒を造ることもできますよ!

酒粕から造る甘酒は、酒粕が出回る冬場にならないと酒粕が入手できませんが、お米と麹から造る甘酒はご自宅の炊飯器でいつでも造ることができます。

<お米と麹の甘酒の作り方>
(1)お米1合に対し米麹300gにします。
(2)炊飯器に米を入れてお水を多めにしてお粥を炊きます。
(3)炊きあがったお粥を60度くらいに冷ましたら、米麹を入れてゆっくり混ぜ合わせます。
(4)50度前後を保ちながら6時間ほど保温します。
(5)とろとろとしてきたらできあがり。