こんにちは。天ぷら職人の鈴木章一郎です。突然ですが世界一堅い食材ってなんだか知っていますか? それは日本が誇る“鰹節”です! イギリスのギネスブックにも認定されていて、純金やパールと同じくらいの硬さがあります。今回はそんな鰹節から取れる美味しいダシの取り方をお伝えしていきますね。

<基本編>調味料も使えば簡単

ダシは鰹節のみで取るより、昆布と一緒に取ることが多いと思います。これにはきちんと理由がありまして、動物性の鰹から取れるダシはイノシン酸が入っており、植物性の昆布から取れるダシにはグルタミン酸が入っています。

この2つのアミノ酸はとても相性が良く、相乗効果でとても美味しくなります。1+1=3になる料理法ですね。ここで、手抜き料理のオススメ方程式を教えちゃいます。

・ほんだし=イノシン酸=鰹節
・味の素=グルタミン酸=昆布

こんな方程式がありますので、ご自宅に鰹節しかない時には味の素を、昆布しか見当たらない時はほんだしを入れると、簡単に味が引き締まりますよ。

<初級編>薄切りの鰹節に熱湯を注ぐだけ

薄切りの鰹節と網ザルや茶こしを用意します。鰹節を入れて上から熱湯を注ぐだけ。これが一番失敗しないダシの取り方です。

もう少し濃いダシを取りたい場合は鍋にお湯を沸かし、火を止めてから鰹節を投入します。鰹節が底に沈むまで3〜5分ほど待って、網ザルや茶こしで濾しますと色味や香りが強いダシが取れます。

普段、スーパーで見かける鰹節で、そのまま食べられる物を薄切りと呼びます。その他に“中薄切り”“厚切り”などありますが築地市場や漁港、専門店などで購入できます。

<中級編>昆布も使って混合ダシ

昆布と鰹の混合ダシを取ってみましょう。昆布はサッと拭きます。付着している白い粉はマンニトールという美味しい成分なので、拭き取らないようにしましょう。

できれば水に数時間ほど浸しておきたいですが時間がない時は昆布に切れ目を入れて煮出します。

煮すぎるとエグ味が出ますので、沸騰する前に取り出しましょう。これで美味しい昆布ダシが出来ました。

そのまま昆布ダシを沸騰させ、初級編を参考に混合ダシを作りましょう。ちなみに軟水を使用するとさらに美味しく取れますよ!

<上級編>濃いダシを取るには…

上級編では、人気ラーメン屋さんで使われるとっても濃いダシを取る方法、中薄切りや厚切りの鰹節を使ったダシの取り方をお伝えしようと思いましたが、一口に厚切りと言っても厚みは0.2mm〜1.0cm、鰹の種類も宗田鰹や血合い抜き、荒節(あらぶし)や本枯れ節、雄節、雌節と種類が豊富になってしまいます。

また技術的にも習得に数年掛かりますので、これは購入の際にお店の方から料理の目的に合わせてアドバイスを頂くのが良いと思います。

<番外編>電子レンジやお茶用パックも活用

ダシを取るのは面倒!でも化学調味料は使いたくない!という時に簡単に作れる、ダシのアイデアです。

・電子レンジを使う
耐熱の容器に水と昆布と鰹節を入れ、ラップをして加熱します。家庭用レンジ(600w)で2〜3分。その後数分置いたら完成です。

・お茶用パックを使う
麦茶等を煮出しする時に使うお茶用パック。この中に鰹節を入れてお湯の中に入れるだけ。濾す手間もなくおすすめです。

いかがでしたか? 日本が誇る世界一堅い食材“鰹節”。様々な方法でダシを抽出し、優しいご家庭の味を演出して下さい。