和菓子を手で食べるなら簡単ですが、美しく和菓子をいただくのって意外に難しいものです。あるアンケートでは、「春になると和菓子がおいしく感じられる人が7割」というデータもあり、ひなまつり、お彼岸、花見と団子、茶会など、和菓子に接するシーンもたくさんありますね。
和菓子をいただくときに使う楊枝「黒文字」を使って美しく!和菓子を楽しんでみませんか。

道明寺は桜の葉がポイントです

まずは春の和菓子の定番、桜餅。黒文字を使ったとき、食べ方が難しいお菓子のひとつです。桜餅は米の粒々食感がそのまま楽しめる道明寺と、クレープ生地に餡子をはさんだ桜餅の2種類があります。本来は関西の道明寺と関東の桜餅に分けているのですが、最近では関東でも道明寺のほうが多く売られているくらいです。

道明寺は、桜の葉でくるまれています。桜の葉、食べますか? 残しますか? 塩漬けされた桜の風味も一緒にいただくことで、餡子の甘さが一層引き立ち、「品の良い味」になるんです。是非一緒にいただきましょう。

黒文字を使いこなしましょう

黒文字の持ち方は、フォークとは違います。人差し指で押し付けるように握るのではなくて、ふんわりと持つのが和食の美しい持ち方です。

一口大に切りながら、少しずつ食べ進めます。上から下へ一気に切らないのがコツ。ちょっとずつ上から下へ黒文字を下げていきましょう。黒文字は黒い部分を汚さないように切っていくのが作法なんです。

難しいのが葉脈です

黒文字で道明寺を切るとき、難しいのが葉脈です。黒文字を葉脈に対して直角に切るようにゆっくりと。焦ると余分な力が入ってしまいます。ゆっくり切ると、「ぷちっ」と葉脈がしっかりと切れてくれますよ。

餡子だけがお皿にべっとり残らないように気をつけながら、優しく黒文字で切っていきましょう。しつこいですが、「優しく」がポイントなの。料理には食べる人の気持ちが不思議と伝わるものなんですよ。

道明寺の次は草餅をいただきます

草餅は、道明寺よりも「お餅らしいのび方」をします。切ったつもりなのに、黒文字にお餅がひっついて離れなくて、困った経験はありませんか。

黒文字でつぶさない。ここに気をつけてみてください。お餅をおしつぶすように切るとお餅がつぶれて、中の餡子がぶにょっと出て汚くなってしまいます。黒文字で切ったら、ス~ッと手前に黒文字を引いていくと、引くとともにお餅が切れていき、ひっつくことも軽減されるのです。一口大に切ったらいただきます。

和菓子文化をお子様にも

和菓子は季節や祭りや行事などとともにあります。和菓子を通して家族や親戚が集まったり、先祖を敬ったり、神様に感謝したり。ただ食べるだけのものではない役目をもつ日本の食文化です。「最近食べてないなあ」と言う方や、お子様にも是非食べさせてあげてくださいね。文化を次世代に伝えていきましょう。春のひととき、楽しんでくださいね。