お酒の中でも、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラというと「アルコール度数が高いお酒」「強くて飲みにくい」というイメージがあるかと思います。
しかし実はこれら「蒸溜酒」というカテゴリーに分類されるお酒は、ビールやワインのような「醸造酒」と比べると“糖質0”という点がとてもヘルシーで魅力的です。
アルコール度数が高くて飲みにくいというイメージも、ソーダやジュースなどを混ぜてカクテルとして楽しめば、アルコール度数も低くなるので飲みやすくなります。
そして、カクテルで楽しむ時に1回に使うお酒の量は30ml程度ですので、1本(700ml)あれば何十杯ものカクテルを作ることができて、実はとっても経済的なのです。
そんなこれらの4大スピリッツと呼ばれるお酒、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラについて、その特徴や楽しみ方を、1つずつ順番にご紹介していきたいと思います。1回目の今回は、特に日本では人気の「ジン」です。

ジンとは?

歴史

ジンの発祥は17世紀のオランダで、もともとは熱病に効く薬として造られた利尿剤でした。ジンという名前の語源は、「ジュニエーヴル」(=ジュニパーベリーのフランス語)が変化していったものと言われています。オランダのウィリアム3世がイギリス国王として迎えられたことからイギリス国内にも普及し、その後、禁酒法時代のアメリカでカクテルのベースとして大流行し、世界中で楽しまれるお酒となっていきました。

現在ではヨーロッパを中心に生産され、主な生産国はイギリス、オランダ、ドイツです。

ジンの特徴は「ジュニパーベリー」の香り

特徴

ジンは、大麦やトウモロコシ、小麦などの穀物類などを蒸溜した「スピリッツ」に、「ジュニパーベリー(ネズの実)」を中心にボタニカルと呼ばれるハーブ、スパイスやフルーツの皮などの風味を加えた蒸溜酒です。ブランドや商品ごとに様々なフレーバーが加えられることがありますが、ジンを造る時に欠かせないのは最大の特徴であり、その名前の由来ともいわれる「ジュニパーベリー」のフレーバーなのです。

種類

ジンには製法や材料、加えるものによっていろいろな種類があります。有名なジンといえば、主な生産国であるイギリスの「ロンドン・ドライ・ジン」、オランダの「ジュネヴァ・ジン」、ドイツの「シュタインヘーガー」です。その他にイギリスでは、糖分を加えた「オールド・トム・ジン」、プリマス軍港で造られる「プリマス・ジン」などがあります。それぞれ製造方法に違いがあります。

そんな多種多様なジンですが、世界で飲まれているジンのほとんどは「ロンドン・ドライン・ジン」と「ジュネヴァ・ジン」の2種類といわれています。

ジンのおすすめブランド

世界各国で造られているジン。最近では今までにない材料を使ったり、新しい製法で造られたりするクラフト系のジンも多く誕生していますので、どれを選べばよいのか迷ってしまうと思います。そこで今回は「楽しみ方別」に私のおすすめブランドをご紹介しようと思います。シーンに合わせてチョイスしてみてください。

リーズナブルでカクテル向きなスタンダードジン

ビーフィーター ジン<イギリス>
市場価格:1,100円前後(700ml)
気軽に手に取りやすい価格が魅力で、ポケットサイズ(200ml)はコンビニでも買うことができるメジャーブランド。1820年の創業以来、変わらぬレシピを守り続け、ロンドン・ドライ・ジンのブランドとしてのこだわりから、現在もロンドンで蒸溜を行っています。爽やかな柑橘系の味わいが特徴。

ゴードン ロンドン ドライジン<イギリス>
市場価格:1,200円前後
世界で初めて“ジントニック”を生んだブランドといわれています。トニックウォーターと合わせるのに最適な風味を追求しており、高品質のジュニパーベリーを贅沢に使用しています。豊かな香りと爽快な後味が特徴です。

ワンランク上のプレミアジン

より高品質なジンは「プレミアジン」と呼ばれています。風味も複雑で豊かになっているものが多いので、ストレートで楽しむのもよいでしょう。

タンカレー ナンバーテン<イギリス>
市場価格:3,000円前後
オリジナル蒸溜器「TINY TEN(タイニーテン)」で造られたスピリッツを中心として、フレッシュな生のフルーツや手摘みのボタニカルなど厳選された素材を使用することで、深い香りとエレガントで繊細な味わいを引き出しています。

ボンベイ・サファイア<イギリス>
市場価格:1,450円前後
世界各国から厳選して集められた10種類のボタニカルを使用し、ヴェイパー・インフュージョンという独特な製法を採用。この製法が、ボンベイ・サファイア特有の深く華やかな香りと味わいを創り出しています。

おすすめのジン

そのまま楽しみたい個性派ジン

ジンは独自の特徴を出すために原材料や作り方で差別化することが多くあります。今までにはない発想で造られる個性的なジンも増えています。ベースとなる蒸溜酒の原料を変えたり、その土地ならではのボタニカルを加えたりしています。独自の風味を楽しむためには、ストレートでゆっくりと香りと味わいを愉しむことをおすすめします。

季の美<日本>
市場価格:4,500円前後
日本初、ジン専門の京都蒸溜所で、京都・伏見の伏流水を使用して造られているジャパニーズクラフトジン。 その特徴は、お米からつくるライススピリッツをベースに、加えるボタニカルは、玉露や柚子、檜や山椒など日本ならではの素材を使っています。

ル・ジン クリスチャン・ドルーアン<フランス>
市場価格:5,100円前後
カルヴァドス「クール・ド・リヨン」を製造するカルヴァドス・クリスチャン・ドルーアン社が造ったジン。自社果樹園で栽培されている30種類ものりんごをベースとし、8つのアロマ(ジュニパーベリー、ジンジャー、バニラ、レモン、カルダモン、シナモン、アーモンド、ローズ)をそれぞれ別々に漬け込んで個々に蒸溜した後にブレンドして作られています。

キュロ ナプエ フィンランド ジン<フィンランド>
市場価格:3,600円前後(500ml)
ライ麦スピリッツをベースに、地元で収穫されたシモツケソウ、白樺の葉、シーバックソーン、クランベリーなどフィンランドの豊かな自然をたっぷりと含んだボタニカルをキーとして使用しています。ハーブ感が強く、舌にライ麦の軽い刺激が残る後味が特徴です。

ザ・ボタニスト<イギリス>
市場価格:3,500円前後(700ml)
イギリス・スコットランドのアイラ島のブルックラディ蒸溜所で造られているアイラ島唯一のジン。使用している31種類のボタニカルの内、アイラ島原生のジュニパーを含む22種類がアイラ島で採取したもの。

ジンで作る王道カクテル

ジンをベースにしたスタンダードカクテル、その中でもご家庭で気軽に作ることができるものをご紹介します。プロが使う道具がなくても、気軽に楽しむことができます!

※家庭にある道具を使った作り方は下記を参考にしてください。

【シェーク】シェーカーを使い、撹拌ししながら材料を撹拌混ぜ合わせる技法です、家庭にある道具でシェークする方法についてはこちらをご覧ください。

カクテルがタッパーでできる!?プロが教える簡単カクテル

【ステア】飲むグラスと別の容器で材料を混ぜ合わせ、冷やす技法です。タッパーや大き目のグラスがあれば作ることができます。

<ステアで作るカクテルの作り方>

  1. 大き目の容器に氷と材料を入れて、バースプーンやマドラーで混ぜ合わせます。
  2. 氷がグラスに入らないようにお箸やストレーナなどを使い蓋をしてグラスに注ぎます。
ジンを気軽に楽しみましょう

マティーニ <ステアで作るカクテル>

“カクテルの王様”と呼ばれるカクテル。使うジンの種類を変えると全く違った味わいに。

【材料】カクテルグラス(90ml)の場合
・ジン 45ml
・ドライ・ベルモット 15ml
・オリーブ

【作り方】

  1. グラスに氷と材料を入れて、バースプーン(又は)マドラーでグラスが白くなるまで冷やす。
  2. カクテルグラスに注ぎ、オリーブを入れます。
    ★「ドライ・マティーニ」とはベルモットの量を減らした甘みの少ないマティーニです。

ジンフィズ<シェークで作るカクテル>

ソーダの爽快感と、レモンのすっきり感で飲みやすいカクテルです。

【材料】グラス(300ml)の場合
・ジン 30ml
・レモンジュース 15ml
・ソーダ水 適量

【作り方】

  1. シェーカーに氷と材料と入れてシェークします。
  2. グラスに注ぎ、氷を加え、冷やしたソーダを静かに注ぎます。

ギムレット<シェークで作るカクテル>

【材料】カクテルグラス(90ml)の場合
・ジン 45ml
・ライムコーディアル 15ml

【作り方】

  1. シェーカーに氷と材料と入れてシェークします。
  2. カクテルグラスに注ぎます。

ジンバック<ビルドで作るカクテル>

「ビルド」とは飲むグラスにそのまま材料を入れて作るカクテルです。ちょっとしたコツでとっても美味しくなりますので、こちらも参考にしてくださいね。

自宅でもできる「究極に美味しいハイボールの作り方」

【材料】グラス(300ml)の場合
・ジン 45ml
・レモンジュース 20ml
・ジンジャーエール 適量

【作り方】

  1. グラスに氷を入れ、ジンを入れます。
  2. マドラーで混ぜ合わせてグラスが白くなるまで冷やします。
  3. 静かに冷やしたジンジャーエール注いで出来上がり。