世界中で日本料理が人気を集める中、国内外で日本料理を学ぶ外国人が増えています。服部津貴子さんが主宰する「HATTORIキュイジーヌクラブ ルナラパン」の日本料理クラブには、日本に駐在する各国大使館の大使夫人たちが参加し、日本人と一緒に料理を楽しんでいます。このほど、和食の基本を日本語と英語で紹介した『What is 和食 WASHOKU?』も監修、食の国際交流を続ける服部津貴子さんに、インターナショナルな食の話を伺いました。

正しい日本料理を大使夫人から広めてほしい

服部栄養料理研究会として料理教室を始めてから40年たつのですが、最近は日本に駐在している大使夫人たちが大勢、日本料理のコースに来てくださっています。昔は食べられない方も大勢いたのですが、いまはみなさん日本料理が大好き。和食のスイーツも喜んで召し上がられます。

普段はシェフやメイドさんがいるので、お料理も後片付けをすることもないのですが、ここでは他の参加者と一緒にお皿洗いまで、きちんとされています。大使館付きのシェフをお連れになる方もいらっしゃいます。シェフに覚えていただくと、大使館に戻ってからも食べられますからね。

「食」で国際交流を続けてきましたが、最近、日本料理のステータスが上がったことを実感しています。昔は海外で日本料理はほとんど知られておらず、「これが日本料理?」と首をかしげたくなるような料理ばかりでした。正しい日本料理を、大使夫人たちからも広めていただければと思っています。

最近では日本に来られる外国人のお客さまも増えていますね。そんな方々にも正しい和食に触れていただきたいと、以前、食育シリーズで出版した本の中から「和食」の本を英文の対訳付きで出版しました。おかげさまで、外国のお客さまから好評です。日本料理はお寿司だけではないし、旬や行事、健康を大切にした料理であることを広く知ってほしいと思っています。

毎朝のグリーンスムージーで栄養のバランスを取っています

お伝えしたいのは料理だけではなくて、病気にならない食生活をしてほしいということです。そのためには、バランスですね。

特に野菜は必要ですが、仕事をしているとなかなか取れないので、私は毎日、グリーンスムージーをつくって飲んでいます。小松菜や春菊、ブロッコリー、水菜など緑の野菜5種類くらいに、フルーツを入れて飲みやすくしています。野菜もフルーツも旬のもの、できれば地元のものを使っていただくのが一番自分の身体に合って良いですよ。

スムージーは生のものなので、できればつくって30分以内に飲むのがおすすめです。すぐに飲めない場合はできるだけ早めに冷蔵庫に入れて、必ずその日のうちに飲んでください。

いま、おすすめしたい野菜はブロッコリーのスーパースプラウト。これもスムージーに入れることができます。あと、日常生活で特におすすめしたいのがきのこ類です。中でも乾しいたけは、生のしいたけより食物繊維、カリウム、ビタミン、葉酸などの栄養素が驚くほど多いのです。

子どもの成長にも良く、大人には生活習慣病予防に効果が高いので、ぜひ食べていただきたいですね。少し時間がたった乾しいたけは、食べる前に少し天日に干すと栄養価が増しますよ。

遺伝子によって食べ物にも合う・合わないがある

バランスと同様に大切なのが、遺伝子によって、合う食べ物、合わない食べ物があるということです。自分の遺伝子に合うものを食べることで、より健康になれます。遺伝子は簡単には調べられませんが、血液型である程度の判断ができます。

例えば、アメリカはO型の比率が多いのですが、これは狩猟民族型。昔から狩りをして獲物を取り、肉をたくさん食べてきました。だからO型の人は肉が身体に合います。ヨーロッパや中東はB型が多いですね。これは遊牧民族型です。乳製品や羊の肉などが中心の食生活です。

日本を含む東洋はA型が多いですね。こちらは農耕民族型。長い歴史の中で米や野菜を主食にして身体をつくってきました。

ただ、どのタイプの民族にしても、自分の食を得るために身体をものすごく動かしてきました。特に狩猟民族は獲物を追いかけてどこまでも走り続けなければなりませんでした。いまは、ラクして食べ物が手に入る時代です。運動をしないと健康にはなれず、肥満の傾向が出てきてしまいます。どのタイプであっても、私たちは運動を必要とすることに間違いはありません。

自分の血液型だけではなく、両親の血液型や、過去に遡って先祖の遺伝子によるものですから、単純に、A型だから、O型だからという判断はできません。でも、このような考え方があるということも知っておくと、より健康になれるのではないでしょうか。

<プロフィール>
はっとり・つきこ 服部栄養料理研究会会長・服部栄養専門学校理事・校長代理。兄の服部幸應氏とともに食育の普及活動を行う。有名料理人から料理を学ぶ、一般向けの料理教室「HATTORIキュイジーヌクラブ ルナラパン」も主宰。服部幸應氏と共著で食育の本を多数出版、子どもたちへの食育の指導書となっている。

『What is 和食 WASHOKU?』ミネルヴァ書房
服部幸應・服部津貴子監修 こどもくらぶ編 B5版、160ページ 定価:本体2,000円(税別)

◇百菜元気新聞の2018年1月1日号の記事を転載しました。

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