元居酒屋女将の料理家・ちはるさん。自身が親になって料理への向き合い方が一変し、たどり着いたのが「だけメシ」だったそう。SNSで大人気の「だけメシ」をつくる秘訣や冬野菜を使ったレシピ、クリスマスにぴったりな料理も教えてもらいました。

豚こま、豆腐、卵、たまねぎのスタメン四天王食材を常備

もともと、小さな居酒屋を1人で営んでいたのですが、結婚・妊娠し、お腹がつっかえてカウンターに立てなくなったこともあって、店から退きました。子どもが生まれてからは、時間に追われる毎日。それまでは自分のペースで楽しくできていた料理が、やらなければいけないことに変わり、苦痛にさえ感じるようになったんです。子どもがいてもステキなごはんをつくっている方のSNSを見て「なんで私だけできないんだろう…」と劣等感を抱いたことも。そんな中で、自分自身を助けるレシピを試行錯誤した結果、たどり着いたのが「だけメシ」でした。

だけメシとは、その名の通り「〇〇だけ」でつくれるレシピのこと。新刊では食材2つだけに絞っていますが、普段は身近な食材や調味料を使って「5分だけでできる」「塩だけの味つけ」など、できるだけ下ごしらえや難しい作業を減らしたレシピをSNSで発信しています。

だけメシを考える時に頼りになるのが、「豚こま肉(または豚バラ肉)、豆腐、卵、たまねぎ」のスタメン四天王食材。これさえ冷蔵庫に常備しておけば、なんとかなります。豚こま肉は、安くて変幻自在ですし、包丁を使わなくていいので、便利なんですよね。

「ツナ缶・キムチ・塩昆布・チーズ・焼き肉のたれ」は、困った時の強い味方です。ツナは、ほどよい塩気やコクが簡単にプラスでき、キムチはあえるだけで1品料理に。チーズはえぐみがあって食べにくい野菜に加え、味つけが考えられない時は焼き肉のたれをからめておけば、間違いないですから(笑)。

チンゲン菜とトマトは相性抜群甘酢あえがおすすめ!

メインのおかずをつくるだけでも大変なので、副菜はあえるだけ、レンジ調理だけでもいいと思っています。冷蔵庫に余っている食材だけで、パパッとできたら、つくる気にもなりますよね。

冬野菜の一つ、チンゲン菜のレシピの中でも、大好きでよくつくるのは「チンゲン菜とトマトの甘酢和え」。レンジで加熱して下ゆでしたチンゲン菜を、砂糖・しょうゆ・酢などの調味料であえ、トマトを加えればできあがり。チンゲン菜とトマトは相性抜群で、甘酸っぱく、爽やかなおいしさが味わえます。「小松菜を子どもが初めて食べてくれた!」「お酒のあてにぴったり」など、たくさんのコメントをいただいたのが「小松菜チヂミ風」。小松菜を一袋使うのですが、口当たりは軽く、チーズを加えているので味はしっかりついているし、食べ応えもあります。

れんこん料理のレパートリーが少ないという声が多かったこともあって、最近、よくSNSに投稿しているのが、れんこんのレシピ。時短でつくりたい時は「れんこんの青のりバター」がおすすめです。薄めのいちょう切りにしたれんこんをバターで炒め、めんつゆと青のりを加えるだけなので、5分もあればつくれますよ。

キッチンアイテムは、基本的に最初は100均で購入。使いづらいなと感じたら、口コミなどを頼りにもう少しお高めのものを買ってみて、自分に合うものは使い続けています。これまでピーラーは100均のものしか使っていなかったのですが、刃物メーカーさんのピーラーを購入したら、無駄な力を一切かけず、なでるだけで大根の皮がむけてびっくり。もっと早く知りたかったです。

甘酸っぱく、爽やかなおいしさの「チンゲン菜とトマトの甘酢和え」

「うちの定番」をつくっておくと日々のごはんづくりの助けに

オイルでじっくりと煮るコンフィ料理は、難しそう…と思う方もいますよね。でも、私が考案した「骨付きチキンのコンフィ風」なら、食材は手羽先だけ。オイルは通常レシピの半分ほどしか使わず、塩、粗びきこしょう、おろしにんにくだけでつくれます。お肉がホロッと崩れるから、子どもも食べやすいんですよね。いろいろなお肉でアレンジできるので、クリスマスに骨付き鶏もも肉でつくるのもおすすめです。また、パーティー料理としても大活躍するのがチキンステーキ。ミニトマトやブロッコリーを使って特製ソースをつくれば、より華やかなに仕上がります。

日々、ごはんをつくっていると「もう、何をつくっていいか考えられない…」という時ってありませんか?そんな日のためにも、世間一般ではなく「うちの定番」をつくっておくといいと思います。ちなみに、最初にうちの定番にしたのは、焼きそば。息子は偏食なのですが、肉と野菜を細く切って麺に混ぜるとすすんで食べてくれるんですよね。夫も私も大好きなので、週に1回はつくっています。うちの定番は、自分も好物であることが大事。好きなものを食べたら元気になれますから!

SNSで「本当に疲れた時、何をつくっていますか?」とよく質問されるのですが、決まって「つくりません」と答えています(笑)。冷凍餃子を焼く時もあれば、近所のうどん屋さんに食べに行くことも。育児と仕事で疲れがマックスの時は、無理をせず、頑張らなくてもいいと思っています。人と人をつなぐ場をつくりたいという思いもあって、平日の朝、インスタライブを配信しているんです。料理の楽しさを感じてもらうだけでなく、少しでも気楽に台所に立てるつながりができればいいなと思っています。

プロフィル

お酒が大好きな元居酒屋女将。4歳の子と柴犬、夫と暮らすアラフォーワーママ。飲食業歴20年以上。カウンターだけの小さな居酒屋を経営していたが、出産を機に売却。産後はカフェで働きつつ、SNSでレシピ発信を始める。〇〇だけでつくれる「だけメシ」が得意。Instagramのフォロワー数は15万人超(2023年10月現在)。YouTubeや人気の料理メディア「フーディストノート」でも活躍中。

NEW Book

『食材2品だけ!魅惑の「だけメシ」食堂』 ちはる著

 宝島社 定価:1,518円(税込)

「皮パリッ! ジューシーチキンステーキ」は、パーティー料理としてもおすすめ
小松菜を一袋使用し、食べ応えも十分な「小松菜チヂミ風」

◇◇百菜元気新聞の2023121日号の記事を転載しました。