石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。金沢のお雑煮は角餅で、すまし仕立て、具も三つ葉かセリ、かまぼこのみのシンプルなものです。シンプルすぎるため、実はお餅選びが重要になってきます。金沢のお雑煮を作り、アレンジとして鰹節をかけたり、紅白なますと一緒に味わってみます。

石川県は各地でお雑煮が違います

我が家は両親が金沢出身のため、角餅のお雑煮を食べていますが、石川県でも、能登地方と加賀方面は丸餅のお雑煮を作ります。

元々「丸」は神の象徴を表し、お餅は丸いものが主流でした。しかし、金沢は武家社会の影響で四角いお餅が広がっていきました。城下町である金沢では、犀川と浅ノ川の間の地域で四角いお餅を食べる人が多いようです。

金沢のお雑煮は焼かない角餅を使い、具も三つ葉かセリ、かまぼこを乗せるのみです。汁は醤油味のすまし汁です。お餅を煮込むので、ドロドロになりやすく、それだけにお餅の質が大切になってきます。

金沢には和菓子店が多くあり、老舗の大きな店だけではなく、小さな和菓子店も町の人に愛されています。饅頭や赤飯などを和菓子店で買って、自分の好みのお店が見つかった時に、お餅も注文してみるとおいしいお餅に出会えることがあります。

金沢の雑煮のレシピ

<材料・2人分>
・白餅 小4個(1個 50gくらい)
・水 420㏄
・だし昆布 10㎝角
・醤油 大さじ2
・酒 大さじ 1
・顆粒だしの素 小さじ1/2
・三つ葉(またはセリ) 1/2束
・かまぼこ 1/2本

<アレンジの具材として>
・鰹節 少々

※紅白なますの材料の大根、人参、油揚げ、白ごまも写真に載せてあります。

<作り方>
1.だし昆布と水を鍋に入れて、一晩つけておきます。

2.三つ葉は3㎝くらいに、かまぼこは5mmくらいに切ります。

3.鍋を火にかけ、顆粒だしの素、醤油、酒を入れます。お餅を入れ、軟らかくなるまで煮ます。だし昆布の上にお餅を乗せると、鍋にくっつかないので鍋を洗う時に便利です。

4.お椀に盛りつけて、三つ葉とかまぼこを乗せたら出来上がりです。

鰹節をかけて味わってみよう!

お雑煮をお椀に盛りつけたら、まずはそのままで味わってみます。しっかりとついたお餅は煮ても崩れることがなく、歯ごたえがある硬さです。三つ葉の鮮やかな緑色と、紅白のかまぼこで目でも楽しめるお雑煮になりました。

お餅の弾力性と、三つ葉のシャキシャキ感を交互に楽しむと飽きることがなく、食べ進められます。時折、かまぼこを食べるとお正月らしさを感じますね。汁は濃いめの味付けですが、お雑煮自体がシンプルなので、白餅とよく合っています。

鰹節をかけて味わってみました。鰹節の塩味がアクセントになって、さらに食べやすくなりました。三つ葉の爽やかな香りと、鰹節の香ばしい香りで、シンプルなお雑煮の味が広がりました。

また、鰹節からだしが出て、汁の味に深みが出たように感じます。軟らかいお餅に鰹節や三つ葉が絡んで、シンプルな白餅から、磯の風味や三つ葉のすがすがしい味を楽しむことができました。

お正月の定番料理・紅白なますと一緒に食べてみよう!

前日に紅白なますも作っておいたので、お雑煮と一緒に味わってみることにしました。紅白なますは、お正月料理として作る家庭も多いでしょう。

紅白なますの作り方は、①まず、大根と人参を千切りにして塩もみしておきます。②それに、サッと湯通しした油揚げの千切りを加え、③酢と砂糖で味をつけて白ごまをふります。

今回のお雑煮はコクのある味付けなので、お雑煮を食べて口の中をサッパリさせたい時は、箸休めに紅白なますを食べると非常に合います。紅白なますの酸味が更に食欲を湧かせてくれますね。紅白なますと一緒に食べると、お雑煮の後味がリフレッシュされて、お雑煮をお代わりしたくなります。

金沢の雑煮のコツは、お餅そのものの味を楽しむこと!

金沢のお雑煮は全国の中でも、かなりシンプルな方でしょう。私は鶏肉や野菜をたくさん入れたお雑煮に憧れて作ったこともありますが、結局はこの味に戻ってきました。金沢のお雑煮は、だし昆布の旨味をベースに、お餅そのものを味わうことがコツですね。

皆さんももし、「いつもと違うお雑煮を作りたい」と思った場合は、金沢のお雑煮にチャレンジしてみてください。