みなさんは「ボロボロジューシー」という沖縄料理を知っていますか? 耳馴染みのない不思議な語感が気になってしまうと思いますが、肌寒くなってくる今の時期に沖縄県民が食べたくなる、温かくて身体にやさしい食べ物なんです。

いったいどんな食べ物?

冷たい北風が吹き始めるこの時期は、温かい食べ物や飲み物が恋しくなりますね。今回は、沖縄でこれからのシーズンに食べる機会が増えてくる、身体と心にやさしい食べ物をご紹介します。

その名は、「ボロボロジューシー」。ボロボロ? ジューシー?? 沖縄料理に詳しくない人にとっては、このネーミングからはどんな料理か想像もつかないと思いますが、簡単に言えば「雑炊」や「おじや」のような、柔らかく炊いたごはんにいろいろな具材を混ぜ込んだものです。

沖縄のことばで、【ボロボロ=やわらかい様子】、【ジューシー=炊き込みご飯、混ぜご飯】なので、「ボロボロジューシー」と呼ばれています。反対に「クファジューシー」といえば【クファ=堅い】なので、よく沖縄そばとセットで提供される、いわゆる炊き込みご飯のことを指します。単に「ジューシー」とだけ呼ぶのが一般的です。

基本的には家庭料理のため、飲食店のメニューとしてよく見かけるというわけではありませんが、一部の沖縄そば屋や食堂などで食べることができます。聞けば、「子どもの頃に風邪を引いたら、よく母親が作ってくれていた」というウチナーンチュ(沖縄人)も多いようです。ほっこり、身体と心を温めてくれる食べ物として、DNAに刻まれているのかもしれません。

ボロボロジューシーにはどんな具が入ってる?

ボロボロジューシーには、沖縄料理に欠かせない豚肉をはじめ、にんじん、しいたけ、こんにゃく、ひじきなどの具材がふんだんに入っており栄養豊富です。消化がよく胃腸にもやさしいので、お酒を飲みすぎた翌日のランチはこれ、と決めている人も多いようです。

そんなボロボロジューシーに欠かせない影の主役が、ヨモギ。沖縄ではフーチバーと呼ばれ、生のまま沖縄そばに入れたり、山羊汁に入れたりと、本土と比べて年中日常的に食されています。

本土で雑炊といえばあっさりしたイメージですが、ボロボロジューシーはというと、沖縄そばのだしで炊き込まれたものが多く、見た目以上に食べごたえのあるしっかりとした味つけ。だからこそ、ヨモギ独特の青臭い風味が絶妙にマッチするのです。

最後まで飽きずに美味しく食べるコツ

写真のとおり、1人用の鍋などに入ってボリュームたっぷりで提供されることが多いボロボロジューシーですが、味が単調なので途中で飽きてくることも。そんなときに、最後まで美味しく食べられるアレンジをご紹介します。

<1>まずはそのまま
まずはアツアツのうちに、そのままの味わいを楽しみます。店によって味付けや具材が違うので、お気に入りの店を見つけるのも一興です。

<2>生卵&バターを投入
3分の1ぐらいを食べ終えたら、付属の生卵とバターを投入します。ボロボロジューシーを注文すると、ほぼ必ずといっていいほど付いてくるのが生卵とバター。これをアツアツの鍋に入れると、玉子の白身がほんのり半熟状態に。バターもとろけて、とてもまろやかな味わいに変化するのです。

ただし、バターは塩気が強いため、ボロボロジューシーが少ないと全体的に塩辛くなってしまうことも。量はお好みで加減しましょう。

<3>卓上調味料などでアレンジを
最後は、沖縄の食堂ならば必ずといっていいほど卓上に置いてある「コーレーグース」(島唐辛子の泡盛漬け)でピリ辛に。ほんの数滴でじゅうぶんなので、入れ過ぎは禁物です。

また、たくあんなどの香の物をまぜても。食感に変化が出るので、最後まで飽きずに美味しく食べられますよ。

というわけで、冬に食べたくなる沖縄の家庭料理、ボロボロジューシーをご紹介しました。お店で食べるのももちろんいいですが、市販のそばだしを使えばご家庭でも簡単に作れます。この冬チャレンジしてみてはいかがでしょうか。その際は是非、ヨモギを入れるのをお忘れなく。一気に“沖縄の味”になりますよ。