もち米リキュール「本みりん」のおいしい飲み方【11月30日は、本みりんの日】
こんにちは!日本酒学講師の大越です。今回のテーマは「飲むみりん」です。え?みりんを飲むの?と思われる方が多いかもしれませんが、みりんは五百年もの歴史を持つれっきとしたお酒なのです。実はいま「もち米リキュール」しても注目を浴びています。私が使うみりんは、お料理にはもちろん、アイスクリームにかけたりジンジャーエールで割ったり、お砂糖代わりに紅茶に入れたりあらゆるシーンで楽めるんです。今回は11月30日の「本みりんの日」にちなんで、伝統ある“みりん”についてお話ししたいと思います。
女性や下戸の人に飲まれていた甘い高級なお酒が“みりん”でした
時は戦国時代、中国から「蜜淋(ミイリン)」という甘い酒が伝わったという説に加え、古くから日本に存在した「練酒(ねりざけ)」や「白酒(しろざけ)」の腐敗防止のために焼酎が加えられた記述も残っています。
当時の日本酒はいまのような洗練された味わいではなかったのでしょう。 室町時代には女性や下戸の人たちも楽しめるまろやかで甘い高級なお酒として発達しました。江戸時代になると製法が確立され、この甘みを隠し味として鰻のたれやそばつゆに使われはじめます。
そう、これが 調味料としての“みりん”の始まりだったのです。その効果は高く、明治から昭和初期は高級な日本料理店で使用され始めますが、税金が高くまだまだ贅沢品であったことから一般家庭に調味料として普及し定着されたのは昭和30年頃からです。
お料理をよりおいしくするために!本みりんと類似調味料の違いを知っておこう!
近年、本みりん以外にも「みりん風調味料」や「発酵調味料」などみりんに類似したものを見かけますが、決定的な違いは原材料による甘さです。本みりんの甘さは、原料のもち米の甘さを麹の力で時間をかけて引き出す、ふくよかでまろやかな“自然の甘さ”です。
加えて、熟成中にアミノ酸や有機酸が生成され、本みりん特有の芳醇な香りと深いコクも生み出します。この甘みとコクが隠し味として調理にバツグンの効果をもたらすのです。残念ながら、類似みりんの甘さはブドウ糖などさまざまな添加物で調合されていますので調理効果にも大きな違いがでてしまいます。
私は調理にほとんどお砂糖を使いません。本みりんの自然な甘みだけで十分だからです。もちろん「飲むみりん」もこの本みりんに限りますね。
楽しみ方いろいろ! “本みりん”は伝統文化も継承するすばらしきお酒です
さあ、自然の甘みを持つ“本みりん”を飲んでみましょう。寒くなるこれからの季節、ホットジンジャーに本みりんで甘さを加えたり、ビタミンC補給にレモンを絞って同量の本みりんを加え炭酸で割るのもオススメです。ミルクコーヒーに本みりんをプラスするみりんカルーアミルクも優しい甘みで女性に人気がありました!
もうひとつ忘れてならないのが、お正月にいただくお屠蘇です。古来よりお屠蘇には甘い本みりんに薬草などを配合した“屠蘇散”を漬け込んでいただく方法が用いられてきました。
お屠蘇はお酒の好きな方から、普段お酒を飲まない方に至るまで家族そろって飲む祝い酒のため、口当たりの良い甘い本みりんが適していたのです。ぜひ新年を迎えるお屠蘇を本みりんでつくってみませんか?
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