こんにちは、ベジフルボディデザイナーmoccoです。「私の食卓」は、美と健康維持をモットーに自分らしく生きる美健女子の物語を小説風にお届けいたします。
第9話では、寒くなると古里の旧友から届く長崎“かんぼこ”とあごダシを中心に、長崎名物おでんが連日続く丸井家の食卓をご紹介しました。竜宮城のような土鍋に、かんぼこや牛スジ、大根を食べては足し、足しては食べる長崎おでんの日々…。

第9話はこちら
土鍋の中は竜宮城? 長崎おでんシーズン到来!【小説・私の食卓:9】

【月曜日】冷めても美味!ダシがしみ込んだ「おでん弁当」

「今日の弁当“も”おいしかったです!」

「なに?その丁寧語…」

「いや~正直、弁当箱の蓋を開けた時は“ゲゲッ”って一瞬引いたよ」

「なんで~?」

「だって、弁当のおかずにおでんを入れるぅ~?」

大根、ジャガイモ、こんにゃく、ちくわ、かんぼこ、ハトシロール、茹で卵、牛スジ、卵焼き、キュウリ、柿、プチトマト

「え~?美味しかったでしょ?」

「か・な・り、うまかった!次々とつぎ足したおでんのダシが浸み込んでて贅沢なランチだったよ」

「でしょう?卵焼きもおでんのダシ汁と“かんぼこ”だけで作ったから、か・な・り!簡単」

*黄色い卵焼きのアクセントに赤ピーマンを使用

「そうそう!変わったのが入ってたよ?」

「長崎一番の『ハトシロール』のこと?」

「すり身を食パンでクルクルって巻いて揚げた感じ」

「そう。卓袱料理の“蝦多士(ハトシ)”をヒントに、長崎の美味しい鮮魚を食卓に届けたい!ってお友達が考案したの」

「凄いね!おでん同様、冷めても美味しい逸品だったよ」

「和華蘭(ワカラン)文化の長崎らしい発想よね」

「ハトシロールも竜宮城入りしたらいいのに…」

「アナタの発想は、よ~わからん!」

【水曜日】風邪の2人の救世主は“冷凍おでんダシ”

―――ピピッ、ピピッ、ピピーーーッ

「何度あった~?」

「ん…7度5分」

「俺は、6度9分…。だけど全身がゾゴゾゴするなぁ~」

「しょうがない。今日は丸井家臨時休業にしよ………」

………………………………………

「調子どう?丸井家特製うどん、食べない?」

「もしかして、晩御飯を作ってくれたの?ありがとう~。………チュルルルルゥ~………美味しい~! どうやったの?」

「この前のおでんの残り汁を冷凍してたじゃん。それを温めて、五島うどんを茹でただけ」

「出来るじゃん!おでんダシと五島うどんの細麺がよ~く合ってて元気出る~」

「隠し味に柚子胡椒をチョっといれて、三減かまぼこを上にのっけてみた」

「このかんぼこは優しい味ね~。今の私にピッタリかも」

「俺は平熱になったから、元気がでるカレーうどんにしよ~っと」

「出来るの…?」

「固形カレーないよね?カレーパウダーを混ぜてみようかな」

「グットな発想ね!やればできるじゃん!!明日もお願いね~(笑) 」

【金曜日】男料理に重宝する冷凍おでんダシ

「お疲れ~、病み上がりのお仕事ご苦労様でした」

「…ありがとう。おや…今日も?」

「なんか癖になってさ、今晩も作っちゃったよ…。えへへっ」

「ひゃ~感激。実はまだ胃の調子がわるくて」

「だと思って。今日は冷凍おでんの残り汁でおじやを作ってみた」

*おじや:長崎おでん残り汁、美食同玄米入りご飯、昆布、卵、チーズ、三減かまぼこ

「ほんと~?!嬉しい~」

「ミニ土鍋の中に冷蔵庫にあった食材を並べて==グツグツ==」

「繰り返し足していった具のうま味が重なり合った残り汁って、二度と出せない味よね~」

「冷凍庫のおでんダシを使い切ったから、今週末はまた長崎おでんつくってね。それと…ご褒美“熱燗“も」

「長崎おでんは了解!!!熱燗は、ん~考えときます!」

―――トホホーーー

第11話は、丸井家のクリスマス!ブロッコリーを使った食べられる“ブロッコツリー”をご紹介します。お楽しみに!

長崎おでんの“残り汁”は海と山の幸を重ねた“うま味”

長崎おでんのうま味は、なんといっても地場の新鮮な鮮魚を贅沢に使った“かんぼこ”! そして、ベースのあごダシです。

海と山に囲まれた食材の豊かさ、異人と共に食卓を囲んできた和華蘭文化の長崎人の知恵と工夫が詰まった長崎おでんの土鍋の中は、まさに竜宮城です。

長崎おでんの“残り汁”は、「残り物に福がある」という言葉以上に、私たちのココロとカラダに口福をもたらしてくれるのではないでしょうか。各家庭の好みの食材やダシで作り上げるおでんの残り汁を、余すことなくお楽しみください。茶碗蒸し、丼物、スパゲッティなどにも活用できます。

*ハトシロール…【第50回農林水産祭 内閣総理大臣賞受賞】長崎県魚の鯵を主原料にすり身を食パンで挟みロール状して油で揚げたもの

*ながさき三減かまぼこ…長崎発の特許技術で美味しさそのまま体に気になる3つの要素(食塩、糖質、りん)を50%カット

*五島手延べうどん…「幻のうどん」と言われ、細く腰が強い面は椿油を使った滑らかな舌触りが特徴

かんぼこ、柚子胡椒ハトシロール、三減かまぼこ提供:長崎蒲鉾有限会社(長崎一番)

ベジフルボディデザイナーmoccoレシピのワンポイント

<おでん弁当>
・おでんダシがしみ込んだネタは、いったん皿に移して汁気をきった後に箱詰めしてください。
・シンプルカラーのおでんに野菜、果物を使って間切りすると彩豊かなお弁当になります。
・卵焼きに使うおでんダシは常温以下の冷めた汁を使ってください。
・ハトシロールは、フライパンかオーブンで焦げ目がつく程度に温めるとパリッと香ばしくなります。

*ウチおでんの時、温めたハトシロールを食べる直前におでんに入れると食パンにダシがしみ込み一味違った食べ方が出来ます。

大根、ジャガイモ、こんにゃく、ちくわ、かんぼこ、ハトシロール、茹で卵、牛スジ、卵焼き、キュウリ、柿、プチトマト、赤ピーマン

<おでんダシうどん>
・つぎ足した残り汁は濃厚なので濃さをお好みに加減して下さい。
・カレーパウダーは1人前うどんに対して大さじ1(残り汁のうま味とのバランス)

<おでんダシおじや>
・土鍋に食材を入れた後に残り汁を足します。
・残り汁は煮詰めると濃くなりすぎるため中火から弱火で作ります。