イタリア、ローマ在住のたべぷろ編集部員・鈴木ココです。小さい国土ながら、現在ブドウの生産量が世界2位というブドウの国イタリアは、何千年も前から野生のブドウが自生していて、紀元前8世紀にはブドウの栽培をしていたという長い歴史を持つ国です。ここでは、ヨーロッパのブドウの食べ方についてご紹介します。

ブドウは健康と豊穣のシンボル

甘くて栄養がたっぷりなブドウは、古代ローマ時代も、その後のキリスト教の時代でも、健康と豊穣のシンボルとして大切にされてきました。イタリア語で、ブドウの木のことを「生命の木」というほどです。

ブドウは、ワイン用と食卓用と大きく2つに分かれます。ワイン用のブドウは、熟したブドウを皮も種もそのまま丸ごと絞って、取り出した果汁を天然の酵母によって発酵させます。今でも、基本的に紀元前からの方法で作られるワインは、ヨーロッパでは食事に欠かせない大切なものです。

食卓用のブドウも夏から秋にかけてのフルーツとして、そのままフレッシュで頻繁に食べます。

ブドウのおいしさを丸ごとエレガントに

ブドウはおいしいけれど、日本では果物の種や皮を食べる習慣があまりないので、種のあるブドウは食べるのが面倒くさいのが難点です。種のあるブドウの実を、一つ一つ皮を剥いて種を取っていると、ブドウの水分で、まわりをベチャベチャにしてしまう場合が多いでしょう。種無しブドウでも、皮まで食べる人はあまりいないので、その都度口から出すのが一般的な習慣ですね。

ヨーロッパでは、種無しブドウは少なく、ブドウといえば種があるのが一般的です。ところが、ヨーロッパでは、ブドウの皮を剥かずに、ポイっと丸ごと口に放り込んで、種までパクパク食べてしまいます。その食べ方はエレガント。

ヨーロッパでは、一度口に入れたものを出す習慣がないうえに、果物の種も皮も、果物の一部として捉えています。皮や種を食べてしまうことに心理的な抵抗がありません。

特に、夏から秋にかけて大量に食べるブドウ。そのため、小さなブドウの実を一つ一つ剥くという習慣がまったくありません。余計な手間をかけずに、洗っただけで道具要らずに食べられるのがブドウのいいところなのです。

イタリア人に、皮も種も食べられないというと、逆に驚かれてしまいます。思い切って皮ごと口に含んで皮を噛んでみると、濃縮されたブドウの甘みが口いっぱいに広がります。

皮にも種にも栄養がたっぷり!

ブドウには、その名のとおりブドウ糖がたくさん含まれています。すぐにエネルギーに変わって疲れを癒してくれるので、夏の疲労回復にぴったりです。

また、貴重な栄養素ポリフェノールが主に皮や種に含まれているのです。特にブドウの種は、グレープシードオイルがわざわざ作られているくらいですから、栄養豊富なのは有名ですね。捨ててしまってはもったい!

ヨーロッパのように、皮も種も丸ごと口に入れるのは、理にかなった食べ方なのです。

ブドウの皮には、時々白い粉がついていることがあります。農薬のように見えますが、実はブドウ自体が作り出している蝋のような自然な物質です。細菌などから実を守り、鮮度を保つ役割をしているのです。逆に白い粉がついていれば、新鮮なのは保証済みです。

この秋、ヨーロッパ風に、ぜひ丸ごとブドウのおいしさを味わってみませんか。