ここ数年、全国的にかき氷が大ブーム。フレッシュフルーツから作った自家製シロップや、氷自体にこだわったものなど、さまざまな趣向を凝らしたかき氷が人気ですが、ここ沖縄の夏の定番スイーツといえばやっぱりぜんざい。暑さをひととき忘れさせてくれるさっぱりと優しい味わいです。

沖縄の夏には冷たいぜんざい

沖縄ぜんざいを知らない方が聞くと、「え?この暑い夏にぜんざい?」と首をかしげてしまうと思いますが、沖縄で「ぜんざい」といえば基本的に「冷やしぜんざい」のこと。

店によってスタイルはまちまちですが、金時豆を黒糖でふっくら軟らかく煮たものを冷やし、上にかき氷を乗せたものが定番。アレンジとして白玉が入ったりアイスクリームが乗ったり、上から黒糖シロップや練乳、抹茶などがかかったものも。ベースが金時豆なので和風のアレンジがぴったり合うのですね。

甘すぎない黒糖の上品な風味が、湿度が高くムシムシとした沖縄の夏の気候と絶妙にマッチしており、小さな子どもからご年配まで沖縄にはぜんざい大好きという方が多い印象です。

外で食べる以外に家で作るという人も多く、県内のスーパーなどでは金時豆が「ぜんざい豆」という名称で売られていたりします。

那覇でぜんざいを食べるならここ

那覇市内でぜんざいが食べられる店を訪ねると、まっ先に名前があがるであろう店が那覇市久米にある「千日(せんにち)」。創業45年以上の老舗で、ぜんざいといえばここ! という人も多い、根強い人気を誇るお店です。

店内は昭和の面影を残したホッと懐かしくなる雰囲気。沖縄の飲食店では珍しくクーラーのない店内では何台もの扇風機がフル稼働し、暑さを和らげてくれています。

常連さんによると「最後までぜんざいをおいしく食べられるように、あえてクーラーはつけないらしいよ」とのこと。たしかに冷たいものを食べると最後のほうには身体が冷えて寒くなってしまう経験、誰にでもありますよね。

沖縄のぜんざいで驚くのがテイクアウトができるということ。氷菓なのに大丈夫!?と心配してしまいますが、上のかき氷部分が絶妙に固められていて、多少の時間なら問題なく持ち運ぶことができるのです。この日も職場への差し入れなのか、大量のぜんざいを持ち帰る男性を見かけました。

シンプル・イズ・ベストなアイスぜんざい

千日のかき氷には「ミルク金時」や「いちご金時」などいくつかのバリエーションがあるのですが、今回はいちばんシンプルな「アイスぜんざい」を注文。白玉も上からシロップもかかっていない「ザ・沖縄ぜんざい」と呼びたくなるような定番タイプです。300円というお値段もさることながら、驚くべきはその大きさ。

ゆうに20cmはあるでしょうか。円錐形に美しく盛りつけられたかき氷部分に思わず見惚れてしまいます。

氷部分にスプーンを入れてみると、とても軽くてサクサクふんわり。器の下のほうには、とろりと煮詰められたもっちり食感の金時豆がたっぷり入っています。

上の氷部分に味はついていないので、バランスに注意しながら下のほうから崩していき、金時豆シロップと混ぜながら食べていくのがおすすめ。

まろやかな黒糖のコクを感じつつも、さっぱりとした甘さが楽しめます。はじめは氷の高さに食べ切れるか不安になりましたが、最終的には一人でぺろり完食です。

最後のひと口を食べ終える頃には、ついさっきまで滝のように流れ出ていた汗がすっと引いていました。

最近ではコンビニエンスストアで有名ぜんざい店とコラボレーションしたぜんざいアイスバーが出ていたり、全国チェーンのサーティワンアイスクリームで沖縄限定メニューのアイスぜんざいが発売されていたりとさまざまなバリエーションが楽しめるようになってきました。

沖縄の夏の定番スイーツ、ぜんざい。ぜひあなたもお試しあれ。

千日
沖縄県那覇市久米1-7-14
TEL 098-868-5387
【定休日】月曜、祝日の場合は翌日休