前回、前々回とベルギーのお話だったので、今回は一旦オランダへ戻ろうと思います。今回は、夏のフルーツ最盛期のオランダで、今だから(今だけ)おいしく食べられるサクランボの「Vlaai(フラーイ)」をご紹介しますね。

ケーキというか、タルトというか…微妙な食べ物Vlaaiとは??

みなさん、「そもそも、Vlaaiって何?」と思っていらっしゃることでしょう。Vlaaiは、オランダ南部のリンブルグ州とベルギー北部で作られるケーキです。ケーキというか、タルトというか…かなり微妙な食べ物です。

というのも、ケーキといわれて想像するのはふわふわ生地にクリームやフルーツ、チョコレートが乗ったもの。タルトはクッキー生地の上にクリームやフルーツなどが乗り、しっかり噛み締めていただくイメージです。ところが、このVlaaiは「ケーキ」「タルト」どちらにも属しているようであり、どちらにも属していないようでもあるのです。

Vlaaiは28-30cmの丸型ケーキ型に生地を入れ、その上にクリームや果物を乗せて焼き上げるのですが、一番の特徴は生地を膨らませるのにイーストを使うこと。このイーストのおかげで、スポンジケーキより歯応えがあり、バターケーキほど生地が重くなく、タルトのように生地がもろくない-という独特の食感が生まれます。

ちなみに、このVlaaiで使われる主なフルーツは、リンゴ、アンズ、プラム、サクランボ、そして甘く炊いたお米。お米と聞いて、「えっ??」と思われるかもしれませんが、ライスプディングのようなものを想像していただけたら分かりやすいかと思います。正式には、生クリームは添えないようです。

今回は、今の時季限定のサクランボで作りました!

Vlaaiの作り方

それでは早速、この不思議な食感のケーキを作ってみましょう!

<材料>

生地(30cm丸型)
小麦粉:300g
ドライイースト:3.5g
砂糖:小さじ1杯
牛乳(室温):100ml
バター:25g
白糖:25g
卵:1個(溶いておく)
塩:小さじ1.5杯

フィリング
牛乳:250ml
バニラエッセンス:数滴
卵:2個(溶いておく)
グラニュー糖:50g
コーンスターチ:25g

トッピング
フルーツ(リンゴ、アンズ、プラム、サクランボ等):500~800g
砂糖 :50g

つや出し
果汁:150g
砂糖:大さじ1

<作り方>
1. 生地用の粉類を振るい、全ての生地用材料を混ぜ合わせてこねる。
生地が一つにまとまったらボウルなどに移し、濡れふきんなどで蓋をして室温で発酵させる(約1時間)。

生地がまとまったところ

2. 生地を寝かせている間に、オーブンを200℃に温め始める。
生地が発酵したら、バター(分量外)を塗った(もしくはベーキングペーパーを敷いた)丸型に生地をのばして敷き詰める。
型に敷き詰めたら、フォークで生地をひっかき、生地を15分休ませる。

生地をフォークでひっかいたところ

3. 生地を寝かせている間にフィリングを作る。
卵と砂糖、コーンスターチを混ぜ、牛乳を50ml加えて卵液を作り、一度茶こしなどでこす。
牛乳200mlを人肌程度に温めて、その中にこした卵液をゆっくり加えて温める。
最後にバニラエッセンスを加えてカスタードクリームを作り、人肌程度まで冷ます。

4. フルーツの下準備(種をとる、皮をむく)をする。
下準備をしたフルーツに砂糖をかけてしばらく置き、出てきた果汁は取り分けておく。

5. 発酵させた生地にカスタードクリームを流し込み、フルーツを乗せる。
お好みで砂糖(分量外)をふりかけ、温めたオーブンで30~35分焼き上げる。

6. 焼きあがったら、冷ます。
(4)で取り分けた果汁とツヤ出し用の砂糖を煮詰め、焼きあがったVlaaiに塗って切り分ける。

切り分けたVlaai

私は甘すぎるのが苦手なのでつや出しをしていませんが、切り分けるとこんな感じです。使用するフルーツは、お好みでどうぞ!