行楽の季節です。お弁当で頭を悩ませている方、パスタ弁当はいかがでしょうか? キャラ弁など芸術的な弁当が流行っていますが、出かけるときの忙しい朝に支度をするのは大変ですよね。美食の国イタリアでは、日本のように凝った弁当を作る習慣がありません。イタリアの子どもにも大人にも人気があって、簡単でおいしいのはパスタ弁当です。
今回はイタリア在住フードライターの鈴木奈保子が、本場イタリアのレシピの他、パスタどうしがくっつかない秘訣などおいしく作るコツを合わせてご紹介します。

パスタが好きなイタリア人に人気の弁当は、やっぱりパスタ弁当!

イタリア人にとって、家から外へ持っていく料理といえば、パンにハムやチーズを挟んだだけのパニーノが定番。「外で食べるのだから簡単なものでいい」という考えなので、日本人の作るようなお弁当を見かけることはありません。

そんなイタリア人がパニーノ以外に作る弁当は、まさにパスタを使ったパスタ弁当です。とはいっても、単に忙しいときのお助けメニュー、作り置きパスタを容器に詰めるだけ。

いつもの出来立てを食べる温かいアルデンテのパスタではなく、茹でたパスタを具で和えたあと冷蔵庫で味を馴染ませるパスタサラダのような冷たいパスタです。

前日の夜に作って冷蔵庫へ入れておき、翌朝、持ち運び用の容器に入れ替えれば、パスタ弁当の出来上がりなのですから、いたって簡単。しかも保温する必要もないので、持ち運びも楽ちんです。

ボリュームたっぷりだから、おかずがいらない!

イタリア人にとって、パスタ弁当はイタリア料理のプリモピアットに当たります。外で食べるのだから、食べるのも簡単にプリモピアットのみ。好みでフルーツなどを持っていくこともあるけれど、基本的に冷たいパスタだけで弁当が出来上がりです。

そのかわり、パスタに和える具はボリュームたっぷりが基本です。ハムやソーセージ、モッツァレッラチーズ、エビなどの魚介類など、おかずになるようなものをベースに、トマトなどの野菜もバランスよく組み合わせます。

特に子どもには、好みに合わせて自由自在にアレンジすれば、喜ばれること間違いなしです。日本でも簡単に手に入るツナとトマトとコーンは、イタリアの子供にも人気のレシピです。

ツナとトマトとコーンの冷たいパスタ

【材料】4人分
お好みの形のショートパスタ 320g
ツナの缶詰 120g
ミニトマト 60g
コーンの缶詰 60g
バジルの葉 4~5枚
エキストラヴァージンオリーブオイル 適量
塩 適量

【作り方】

  1. 大きな鍋に水をたっぷり入れて火にかけて、沸いたらパスタと塩を入れて、袋に書いてある通りのゆで時間より、1分短めにゆでる。
  2. パスタをゆでている間に、ミニトマトを4分の1のサイズに切って、バジルを手でちぎってボウルに入れる。
  3. ツナ缶とコーンの缶詰を(2)のボウルに入れて、エキストラヴァージンオリーブオイルと塩で味を調え、冷蔵庫に入れて冷やしておく。
  4. パスタがゆであがったら、ざるに開けて水気を切り、(3)のボウルに入れて和える。さらにエキストラヴァージンオリーブオイルを少々かけて出来上がり。

本場流パスタ弁当を美味しく作る3つのコツ

簡単な冷たいパスタですが、イタリア人に教えてもらった大事なコツを3つご紹介します。これさえ守れば、おいしくできること請け合いです。

まず、必ずショートパスタを使うこと。スパゲッティを使うと、食べにくいことこの上なし。マカロニサラダと同じで、短いパスタを使います。

2つ目は、パスタのゆで方です。パスタが伸びすぎないように、硬めにゆでます。そして、絶対に水で洗わないこと。洗うと、パスタの味が洗い流されてしまいます。

最後の大事なコツは、パスタ同士が引っ付いて団子にならないようにするためには、茹で上がったパスタにすぐエキストラヴァージンオリーブオイルを多めにかけることです。

イタリア人は、日本人が見るとびっくりするほどたくさん使いますが、良質なエキストラヴァージンオリーブオイルは、油ギトギトにはなりません。かえって独特の風味も加わって、一層美味しくなります。

びっくりするほど簡単なイタリア流パスタ弁当。買い置きの材料で作り置きもできるので、忙しい時には特に嬉しいレシピです。季節のフルーツを添えれば、充実度がさらにアップしますね。ぜひ気軽に作ってみてください。