「アスレチックフード」ブームの兆し 手軽にとれる高タンパク食が人気
食品市場で健康や美容に対するニーズが一段と高まる中、18年は高タンパク質を切り口にした「アスレチックフード」が注目を集めそうだ。仕掛けたのは伊藤忠食品で、ボディーメークに励む若い女性や健康意識の高いアクティブシニアをメーンターゲットに訴求。卸の商品調達力や売場提案機能を通じ、よりカジュアルに高タンパク質が摂取できるMD(商品施策)を展開し、ヘルス&ビューティー(H&B)市場における新たな需要創造を狙う。
プロテイン(タンパク質)といえばアスリートや筋トレマニアのためのものというイメージが強かったが、昨今は求める層が拡大。若い女性を中心にトレンドとなっているパワー系ジムやヨガなどに通う人たちが増えたのをはじめ、タンパク質の不足しがちな食習慣を持つシニア層などの注目度が急上昇している。
需要層の拡大を裏付けるように、昨年はCVS(コンビニエンスストア)などが販売する「サラダチキン」が市場倍増となるヒットを飛ばしたほか、フィットネスジムが提供する高機能な「ジム飯」が話題を呼んだ。年末には、2017年を代表するメニューとして「鶏むね肉料理」が選ばれる動きもあり、今年も高タンパク食のブームは一段と広がるものとみられている。
伊藤忠食品ではそうした市場トレンドをいち早くキャッチし、今年の本格展開へ向けて高タンパク質を切り口にしたMD戦略に着手。日々の食事や間食として手軽にタンパク質を補給できる含有量の多い商材やジャーキー、プロテイン全粒粉ブレッドなどの商品群を「アスレチックフード」と名付け、卸の調達力・編集力を生かして小売業に売場提案を始めた。
主な推奨商品としてシーザサンの「ZENMEAT」(大豆と玄米を原料とする植物肉)、ソライナ「ソライナ・プロテイン」(エンドウ豆とコメ由来のタンパク質を配合したプロテイン)、イート・ラボ「スリムシークレット」(大豆のプロテインバー)などがある。
これらの商品は高機能で専門性の強い商品としてジムなどの特定ルートで販売されていたものもあるが、伊藤忠食品の調達力を通じて小売市場へも販路を拡大することになる。
また、大豆に強みを持つマルコメが新たに立ち上げた「ダイズラボ 大豆プロテインスイーツ」、味の素社の「クノール・たんぱく質がしっかり摂れるスープ」といった商品もアスレチックフードの専用コーナー提案に組み込むため、既発売のNB商品にも店頭露出度が高まるメリットもありそうだ。
伊藤忠食品のH&B事業は年間目標の10億円をすでに達成するペースで推移しており、今期はアスレチックフードやオーガニックの日本酒などの新分野の上乗せによって、通期では約15億円(前年比80%増)の売上げを見込む。
なお1月24~25日、同社がポートメッセなごや(名古屋市)で開催する「東海営業本部・総合食品展示会」では、アスレチックフードの提案を披露。具体的な売場展開例のほか、大豆肉を使った「アスリート丼」などのメニューを多数紹介し、来場する小売業にH&B市場の新たなトレンドとして認知度を広げたい狙いだ。
◇日本食糧新聞の2018年1月24日号の記事を転載しました。
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