“幻のお茶”政所茶を守ろう…新茶を使ったデザート
たねやグループのクラブハリエは、滋賀県東近江市の「クラブハリエ 八日市の杜」で同市永源寺地区特産のお茶「政所茶(まんどころちゃ)」の新茶を使ったデザートの提供を16日から開始する。「お菓子を通して政所茶を多くの人に知ってもらえたら」という同店の小野林範統括シェフの思いが実現した。
同店では1月のオープン以来、洋菓子の世界大会で優勝経験を持つシェフが、来店者の目の前でオリジナルデザートコースを提供する「シェフズカウンター」で、地元特産の素材を使ったデザートを提供してきた。
今回は、メーンデザートをはじめ、よりふんだんに「政所茶」を使用し、政所の煎茶・宇治の抹茶・土山のほうじ茶が比べられる菓子など、お茶の新たな魅力を表現した内容となっている。和の素材である「お茶」とクラブハリエの「洋菓子」という和洋の新たなコラボレーションを提案する。
小野林シェフと同店スタッフが、5月中旬に、政所茶を守り次世代に伝える活動をする団体「政所茶縁の会」と茶摘み行った際に、政所茶の歴史や生産者が減り続けている現状、そして何より全て手作業で育て収穫するお茶農家の苦労を知ったことで今回の商品が生まれた。
政所茶は、滋賀県東近江市永源寺東部の政所地域で栽培されているお茶で、その起源は室町時代にさかのぼるとされる。政所は、鈴鹿山脈を源流とする愛知川の豊かな水に恵まれ、古くは「宇治は茶所、茶は政所」とうたわれるほど、全国に名の知れたお茶の産地。
厳しい気象条件の下で栽培され、香りがよく苦みの中にほのかな甘みがある政所茶は今なお昔ながらの手摘みで生産されているが、戦後は生産量が減少。生産者の高齢化も深刻で、現在は希少な「幻のお茶」ともいわれている。
◇日本食糧新聞の2017年6月9日号の記事を転載しました。
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