マンゴーやパインアップルなどのトロピカルフルーツが旬に向かうこの季節、沖縄の公設市場周辺では、あまりなじみのない黄色いフルーツ、カニステルが並んでいるのを見かけることがあります。フルーツなのに、ゆでたまごやかぼちゃのようなホクホクとした摩訶不思議な食感で、意外な栄養素も含まれているのだとか。食べごろの見極め方も含めてご紹介します。

その不思議な味わいに、カニ捨てる?金捨てる?

この時期、那覇市の牧志公設市場付近を歩けば、色とりどりのフルーツが並び目を楽しませてくれます。沖縄のフルーツといえばマンゴーやパインアップルなどが有名ですが、今回はちょっと変わりだねをご紹介したいと思います。それがこちら、カニステル。

アカテツ科の常緑樹の果実で、一見すると黄色い洋梨のようなレモンのような、ツンととがったかたち。別名エッグフルーツやくだものたまごとも呼ばれており、その名のとおりゆでたまごの黄身のようなホクホクとした独特の食感をもつなんとも不思議な果実なのです。

栽培してもほとんど売り物にならないため、農家のあいだでは、「カニ捨てる」「金捨てる」と揶揄されるほど人気のないフルーツだそうで、沖縄県内でもあまり見かけることがありません。しかし、ポリフェノールが多く含有されており、実は非常に栄養価の高い果物とのこと。今回カニステルを購入したお店の方も「アンチエイジングを意識している女性におすすめよ」とニッコリ。

甘さを引き出すためにはじっくり追熟。早く食べたいときにはこんな裏ワザも

カニステルは未熟なまま食べると青臭くてエグみが強いため、おいしく食べるにはしっかり追熟させることが肝心。熟したかどうかの見極め方をお店の方に伺ったところ、手で果実を包み込むように持ち、ぐっと力を入れて少し柔らかく感じたら食べごろだそう。また外見的には、色が濃く、表皮のツヤがなくなりうっすら茶色い模様が浮き出ていればOK。

なにも特別なことをしなくても常温で置いておけば追熟していきますが、状態によっては購入してから熟すまで何週間も待たなければいけない場合もあります。でも、はやく食べたい!そんなときは、ヘタの部分に塩をおいて水で湿らせ、乾かないようにラップをしておけば、だいたい2〜3日ぐらいで食べごろになるという裏ワザがあります。

実際にやってみたところ、まだ固かった果実が約2日で柔らかくなりました

また、皮が自然にめくれてくるまで置いておけば超完熟。すぐに食べるのであれば、その状態まで置いておくのもおすすめです。

ほんのり甘いホクホク食感。きれいな黄色を活かしてお菓子にも

こちらが熟した状態のカニステル。序盤の写真と比べ、表皮のツヤがなくなっているのが分かるでしょうか。

包丁でふたつに割ると鮮やかな黄色の果肉が現れ、ツヤのある大きめの種がごろりと入っています。

完熟した果肉はスプーンで簡単にすくえるほど柔らかく、まさにゆでたまごのようなホクホクとした食感。甘みはほんのりと感じる程度で、ふかし芋やかぼちゃにも似たクセのないおいしさです。

ちなみに超完熟したものは、ネットリとした食感に変わるそうです。お好きな方はそのまま食べてもいいですが、砂糖を加えてスイートポテトやクッキーなどのお菓子やジャムに、またスープにしてもおいしく食べられるそうです。

わが家の二歳児はカニステルの素朴な味わいが気に入ったようで、もっと食べる!とスプーンですくってそのままパクパク食べていました。

フルーツとは思えない不思議な食感と味わいながら、非常に栄養価が高く、料理やお菓子にもアレンジしやすいカニステル。あなたのお気に入りの食べ方を見つけてくださいね。