3児のママ、スポーツ栄養士の馬明真梨子です。尾道高校ラグビー部の食事サポートをしています! 年末年始は、高校ラガーマンにとって特別な時期。県予選で勝ち上がってきたチームが聖地・花園で試合をします。3年生にとっては最後の大会。興奮や緊張、不安がある中で、「“食事の時間は楽しく”を大切にしようね!」と話をしています。

緊張や不安、興奮が招く胃腸力の低下

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花園常連校の部員は配膳もキレイ!高校ラガーマンから学ぶ食意識の大切さ

試合前になると食欲が落ちる選手が身近にいませんか?

本番を迎えると緊張や不安、興奮などにより食欲が低下したり、逆に亢進したり、と気づいていなくとも普段と調子が変わる選手がほとんどです。食べ物の消化吸収を担う胃腸の力も低下し、普段と同じものを食べていても胃もたれや下痢、便秘などを引き起こすことがあります。

胃腸の力が低下しているところに「喝!」を入れるために「トンカツ」などの揚げ物を食べる選手もいますが、基本的に試合前には避けたい食べ物です。(試合開始時間や試合時間によっては揚げ物もOKな場合もあります)

胃腸の不調は、お腹の調子だけでなく、消化吸収力にも影響を与えるので、食べた物がエネルギー源として発揮されるかどうかも左右します。

寮食にお鍋も出してもらっています。みんなでワイワイと食べます!

食事の時間が楽しいと良いこといっぱい!

尾道高校ラグビー部の選手には「食事時間は楽しく!が大事よ」と日頃から話をしています。

消化吸収が活発な時は、副交感神経が優位な状態です。副交感神経が優位にするためには「リラックス」した状態が必要です。食事時間にピリピリと無言で食べたり監視されたりするチームもありますが、それは選手の力を減退させてしまいます。

また食事時間が楽しくリラックスした状態であれば、だ液の分泌が活発になります。だ液には消化酵素も含まれており、胃腸の消化吸収を助けます。さらに、成長ホルモンの一種も含まれているので、疲労回復効果もあります。

免疫力を上げる効果も期待できるので、試合前の体調を万全にしたい時こそ、食事の時間をどのように過ごすのかにも目を向けてほしいなと思います。

カメラを向けるとキメ顔?! 食べている時は賑やかです!

食で育むコミュニケーションとチーム力

チームスポーツは個々の力も大切ですが、高校生はチームワークやチームとして同じ気持ちを持っているかが結果に大きな影響を与えます。

ラグビーは監督の采配ももちろんありますが、チームワークが非常に重要なスポーツです。また試合に出ている選手だけでなく、控え選手や応援の選手とのチームワークも大切だと私自身の経験(高校時代はソフトボール部)や選手を見ていて感じています。

フィールドでのチームワークは、日ごろのコミュニケーションや信頼関係が現れます。いろんな選手がいる中で同じ土俵でフラットに接することができる時間は食事だけではないでしょうか。この食事時間をチームとして大切にできているのか、選手が意識できているのかで、チーム力は必ず変わりますよ!