京都出身で調味料研究家の松本葉子です。毎月24日は、2=「ふ」、4=「し」の語呂合わせで、「削り節の日」とのこと。
今回は、だしの原料として、またおひたしや麺類のトッピングなどで日本料理に欠かすことができない「削り節」のおいしい使い方&食べ方をご紹介したいと思います。

削り節=かつお節じゃないんです!

削り節ってかつお節のことだと認識されている方も多いのですが、実は削り節にはかつお節以外にもたくさんの種類があります。

削り節の原料になる魚は、かつおの他にソウダガツオ、サバ、ムロアジ、イワシ、トビウオなど多彩。また、原魚の違う削り節を何種類か混合した「混合ぶし」というものもあります。

そして、かつお節でも削り方によっていろいろな種類があります。
上の写真でいうと、
左上「花かつお」だしをとるほか、トッピングなどにも使う
左下「破砕・粉砕」花かつおを砕いたもので箸にからみにくくトッピングに適している
右上「厚削り」煮出して濃厚なだしをとる時に用いる
右下「糸削り」主にトッピング用

ミニパックのかつお節に多い「破砕」は、使いやすいのですが、できれば異なる削り方のものも常備しておくと、料理の幅がぐんとひろがりますよ!

「まぐろ節」と「血合い抜き」でプロの味を目指そう

“日本料理の要はだし“というだけに、プロの料理人はだしにはとても気を遣います。クオリティの高い料理になればなるほどだしは重要になってくるのです。

では、香り高く澄んだ上品なだしをとるにはどうしたら良いのでしょうか?
だしの取り方についてはネットや本でわかりやすく解説されているものも多いのでここでは触れません。その代わりに、誰でも簡単にプロの味に近づける「削り節を変える」という方法をご紹介します!

その1 まぐろ節を使う

上の写真は両方とも糸削りですが、左はかつお節、右はまぐろ節の糸削りです。ずいぶん色が違うでしょう?

京都の有名料亭ではだしをとるのにかつお節ではなくまぐろ節を使うところも結構あります。キハダマグロが原料のまぐろ節は、色も淡く極めて上品なだしがとれるので、吸い物など、だしを味わう繊細な料理にぴったりです。

お家でもぜひ一度まぐろ節を使ってみてください。まぐろ節はだしをとるだけではなく、トッピングに使ってもはんなりしたおいしさですよ。

その2 血合い抜きの削り節を使う 

かつお節に「血合い抜き」があるのをご存じでしょうか。商品名としては「極上削り節」として売られていることもあります。

上の写真は同じ本枯節の花かつおですが、左は通常の花かつお、右が血合い抜きです。通常の花かつおのほうが風味が強く、血合い抜きの方はすっきりした味わいです。かつおの味をあまり強く感じさせたくないトッピングにも血合い抜きの削り節がおすすめです。

料理店では、だしの味を重視する料理、素材の色を活かしたい料理には血合い抜きの削り節でだしをとります。血合い抜きの削り節を使うと、家庭でも割烹の味に近づけることができるので試してみてくださいね。

ちなみに、削り節の血合いの部分というのは、下の写真でみるとわかる端の色の濃いところです。普通の削り節でもこの部分が少ないところを使ってだしをとればすっきりした味わいになります。

削り節はすぐれもの。だしとりだけじゃもったいない!

削り節は、旨みと香りが素晴らしいだけではなく、必須アミノ酸、DHA、カルシウム、リン、鉄、各種ビタミンなども含まれていてとってもヘルシーな食材なんです。料理に取り入れたりご飯にかけたり、育ち盛りの子どものおやつにもいいですね。

そして、濃厚なだしがとれる厚削りを常備しておけば、クイック酒肴にも役立ちますよ。噛むほどに旨みがしみだして後を引くおいしさです。

ユネスコ無形文化遺産「和食」を支える削り節。もっともっと楽しんでみませんか?

身近な削り節、この機会に見直して何種類か揃えてみませんか? 個性を生かして使い分けたり自分好みのミックス削り節を作るのも楽しいですよ。

袋の底に残った粉も捨てずに瓶にいれておいて味噌汁の仕上げにほんの少し加えてみてください。驚くほどコクが増しますよ! だしをとった後の削り節も、醤油、酒、みりんなどを加えて煎り煮に。仕上げにごまを加えれば絶品ふりかけになります。

奥が深い削り節ワールド、楽しんでみてください。