熊本県熊本市在住のたべぷろ編集部員・涼野リノです。大分で生まれ育ち宮崎で学生時代を謳歌し、東京の荒波にもまれ、帰ってきた九州・熊本の地で感じた各地での「食文化のちがい」をご紹介します。今回は熊本といえばコレ!な「辛子レンコン」について。
見た目にもインパクト大、明るい黄色が目にも鮮やかな「辛子レンコン」。お酒好きな方へのお土産には最適です♪・・・とはいえ、辛子の塊がギッシリ詰まっているので、本っ当〜に辛いです(笑)辛いのが苦手!という方でも楽しめるような食べ方もご紹介します。

意外と歴史的な伝統食だった!400年前から伝わるレシピ

熊本のお土産として有名な辛子レンコン。実はとっても歴史の古い、伝統の味なんです。始まりはなんと寛永九年(1632年)まで遡ります。当時の細川家初代忠利公の虚弱体質を案じた和尚さまが増血剤の効果を期待してレンコンの摂取をすすめられたそうです。そこで藩の賄い係によって考案されたのが、辛子レンコン。

辛子レンコンを毎日食べるようになった忠利公はみるみる健康になられたのだとか。その結果辛子レンコンは肥後藩の珍味栄養食として重用されるようになり、なんと明治維新の頃まで門外不出のレシピだったようです。その間も製法は当時の賄い係から一子相伝で今日に至るまで代々受け継がれてきました。現在では様々な会社、お店で辛子レンコンの味を楽しめるようになっています。

ちなみに、辛子レンコンを輪切りにした時の切り口が細川家の家紋にそっくりだったため、より一層大切にされ門外不出だったのではないかという一説もあります。なんだかロマンがありますね。

シャキッとした歯ごたえの後、ツーンとくる辛さが魅力

辛子レンコン発祥のお店「森からし蓮根」さんで伺ってきたお話によりますと「2段階の味わい」が楽しめるのが辛子レンコンの魅力なのだとか。

まず最初にレンコンのシャキッとした歯ごたえを楽しんでいると、すぐさま追いかけてくる、辛子のツーンとした刺激!夏はビールに、冬は焼酎に、よく合います。あぁ、なんだか飲みたくなってきますねぇ。

さて、気になる外見の鮮やかな黄色の正体ですが、人工着色料などなかった時代からあるレシピなので、材料も熊本の食材。麦粉、肥後の空豆粉、卵の黄身(お店によっては+ウコン)を衣にまとわせ、菜種油で揚げることであの黄色を再現しているようです。

レンコンの穴に詰まっているのは、和辛子と熊本の麦味噌。(熊本は麦味噌も有名なんですよ。)

殺菌効果や酸化防止の作用もある辛子がギッシリ詰まった辛子レンコンですが、レンコンには変わりないので基本的に日持ちはしませんが、お店によっては未開封・要冷蔵で1週間〜10日ほど持つものも。お土産にも買えそうですね。

酒のつまみに、ごはんのお供に♪

辛いものが好きな筆者でも、実際に食べてみるとその強烈な辛さに涙が止まりませんでした・・・。しかし、「後をひく辛さ」とはまさにこのこと。辛子レンコン→他のおかず→ごはん→辛子レンコン→ループ・・・といった具合に、一度食べるともうひと口、と箸がのびてしまうのです。

「とは言っても辛子の塊でしょう!?」そんなあなたへご紹介したい食べ方が、マヨネーズと一緒に食べる!です。冒頭の写真左端のスプーンにのっているのはマヨネーズにすりゴマが混ざっているディップです。他にも、レンコンの挟み揚げ料理に使うという方法もあります。

ポイントは、油っぽい何かと一緒に食べること。油のコクや甘みが、辛子の「ツーん」を和らげてくれますよ。

さぁ、次回のちょっと特別な晩酌には「400年前から肥後の国で食されていたんだよ」なんてトリビアを肴に辛子レンコンを楽しんでみてはいかがですか?