こんにちは!ロンドン在住の菜食ライター平野由香里です。今回はイギリスの朝食について紹介します。海外の朝食はオシャレに見えますが、実は手抜き…?ということに気がつきました。
働くママにとって大きな課題の1つである“朝食”。子供のために腹持ちがよく栄養バランスがとれた朝食を用意したくても、睡眠時間を確保したうえでお弁当を用意し、さらにきちんとした朝食を作るのは大変ですよね。
日本とヨーロッパでは、朝食にどのような違いがあるでしょうか。朝ごはんのアイデアを発見し、忙しい朝を乗り切るための参考にしていただければうれしいです。

歴史あるイギリスの朝食「イングリッシュ・ブレックファスト」

イギリスの朝食といえば「イングリッシュ・ブレックファスト」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。観光用のガイドブックや雑誌に載っていることが多く、イギリス人の定番の朝ごはんとして取り上げられています。

しかし、イングリッシュ・ブレックファストは労働者のための食事という歴史的背景があるため、現在のイギリスの家庭ではほとんど食べられていません。

それもそのはず、イングリッシュ・ブレックファストは日本で言う一汁三菜のようなものなので、働く女性が多いイギリスの一般家庭ではこれだけ手間のかかる朝食を準備する習慣がないのです。

ロンドンのレストランで食べるイングリッシュ・ブレックファスト

参考までに、イングリッシュ・ブレックファストがどんなものか見ていきましょう。写真を見ると分かる通り、すぐエネルギーに変わる食材が多いですよね。

焼いたトマトとマッシュルーム、卵料理、ソーセージ、ベーコン、トースト。ここにはありませんが、豆の煮込みを添えるのが定番です。

こちらには、お皿の中央に「ブラック・プディング」という豚の血を入れたソーセージがあります。これもイギリスの伝統的な料理のひとつ。

その下には「バブル・アンド・スクイーズ」といい、野菜とじゃがいもを混ぜて焼いたものが添えられています。元々は前日の残り野菜を使う料理であり、イギリスの伝統的な料理のひとつです。

いかがでしょうか? イングリッシュ・ブレックファストがいかに時間と手間がかかる朝食であることが分かったと思います。

「時間がないから朝食は簡単に済ませるわ」というイギリス人に対し、寝る間も惜しんで早起きし、何品ものおかずをつくる日本の働くママたち。もっと自信を持って、自分を褒めてあげてほしいですね!

現在のイギリスの家庭ではどんな朝食を食べる?

そんなイギリスの家庭ではどんな朝食を食べているのかというと、思ったよりもシンプルで簡単なもので軽く済ませるケースがほとんど。

というのも、イギリスでは昔から女性も当たり前のように働いているので、朝ごはんは簡単に済ませるというのが一般化しているからです。

現在のイギリス人はトーストにバターやジャムを塗ったものや「ポリッジ」というオーツ麦のおかゆ、ヨーグルト、シリアル類を食べます。朝はとにかく時間がないので、すぐに食べられてエネルギー源となるものを選ぶんですね。

ロンドンのスーパーのパンコーナー

さすがパンが主食な国なだけあって、パン売り場がとても大きく、日本とは比べものにならないほど種類が豊富です。このお店の売り場はかなり小さい方ですが、それでも角を曲がった先5mくらいにズラッとパンが並びます。

白い食パンに全粒粉やライ麦のパン、パンプキンシードなどの種が入っているパン、チャバタ、バゲット、クロワッサン、マフィン、パンケーキ、ピタ、フォカッチャ、ロールパン、ベーグルなどなど。

移民が多い国ということもあり、日本では見たこともないような世界各国のパンが売られています。朝はこのようなパンを焼いて、バターとジャムを塗って食べる人が多いですね。

また、ロンドンのスーパーのシリアル売り場も、日本のそれよりもはるかに広くてたくさんの種類があります。

グラノーラやミューズリーに牛乳やヨーグルトをかけて食べるのも定番です。もちろん、日本のようにコーンフレークもありますが、穀物ベースでナッツやフルーツが入っているグラノーラやミューズリーの方が好まれています。

「ポリッジ」はオーツ麦を牛乳や水で煮込み、おかゆ状にしたイギリスの伝統的な定番メニューです。はちみつやメープルシロップ、バナナなどを添えると食べやすくなりますが、日本人の味覚には合わないことも多いようですね…

ポリッジにバナナとピーナッツバターを添えた朝食

とはいえ、ポリッジは簡単に短時間で作れて栄養もたっぷりなので、時間がない朝の食事としてぴったり。ファーストフードやコーヒーチェーン店で持ち帰りしている人もよく見かけますよ。

日本の働くママたちは世界で絶賛されている!

度々ニュースなどで話題に取り上げられている通り、日本の働くママたちは海外では絶賛の声を浴びています。忙しい朝から何種類ものおかずを用意したり、誰よりも早起きして朝食を用意したりすることが評価されているんです。

海外では共働きが基本で、それぞれの家庭のライフスタイルに合わせて家事を分担するので、男性が料理をするのも当たり前。とはいっても、男性も女性も時間をかけずに作れるメニューを選びます。

イギリス人がイングリッシュ・ブレックファストのような栄養満点でボリュームがある朝食を用意することがないように、日本の働くママだって仕事の前にしっかりとした朝食をつくるのは大変ですよね。

働いているのだから、トーストだけやおにぎりだけという朝があってもいいんです。わたしは今、自分で朝食を作る立場になったからこそ、自分の母が偉大であることをひしひしと感じています。

メニューが変わり映えしなくて悩んだり、手抜きになってしまったかな?と落ち込んだりする朝もあると思います。しかし、日本の働くママは本当にすごいんです!自信を持って、楽しい毎日を送れますように。