にんにくも黒にんにくも大好きな調味料研究家・松本葉子です。私のようなにんにく好きはあの臭いもおいしさのうちと思ってしまいますが、とにかくにおいが苦手という方も多いでしょう。そんな方でも食べやすいのが黒にんにく。
最近では手に入りやすくなり、また自分で作る方も増えているという黒にんにくを調味料的に使ってみませんか?
そのまま食べるのはもう飽きちゃったという方にもおすすめの、おいしくおしゃれな黒にんにくの食べ方をご紹介します!

熟成で真っ黒になる黒にんにく

黒にんにくとは、生のにんにくを高温・高湿の環境に置いて熟成させたもの。

生のにんにくの球根(鱗茎=りんけい)の皮の内部は白色で水分を含んでいますが、黒にんにくになると真っ黒でねっとりとした質感に変化しています。

球根(鱗茎)丸ごと熟成させた黒にんにくを一片ずつにばらすとこんな感じ。

手で押すとへこむくらい柔らかな真っ黒の片を切ると、水分も含まれていることがわかります。中にはもっと柔らかく八丁味噌の小さな塊のような感じのものもあったり。

黒くなるのは、「メイラード反応」によるものだと考えられていて、黒にんにくになるとにんにく特有の刺激臭はほとんど感じません。

食べてみると甘酸っぱくてドライフルーツのよう。同じにんにくとは思えないほど食べやすくなっています。

そして気になる黒にんにくの効能ですが、機能性成分でいうとS-アリルシステイン、シクロアリイン、ピログルタミン酸などが生のにんにくより豊富に含まれているのが特徴。

この中のS-アリルシステインは、認知症や成人病、大腸がんの予防効果が期待され、研究が続けられている注目の成分です。また黒にんにくは生にんにくに比べ抗酸化力が強いという研究結果もあります。

参照サイト:
黒にんにくとは? 協同組合青森県黒にんにく協会

黒にんにくの食べ方としては、そのまま食べるというのが一般的。とはいえ、たくさん食べれば効果があがるというものではありませんし、いくら刺激が少ないからといって食べ過ぎは禁物。

だからこそ調味料として料理に使い、少しずつ継続して摂るという食べ方を試してみるのも良いのではないでしょうか。

にんにくの名産地といえば青森県。田子町やおいらせ町が有名です。今回は田子産の黒にんにくを使ってみました。

【黒にんにくドレッシング】和・洋・中それぞれおいしい

みじん切りにしてドレッシングに加えるのは、黒にんにくの食べ方としてかなりおすすめの方法。食感と味のアクセントになるだけでなく、彩りも魅力です。「黒」が入ることで料理のビジュアルがひきしまりますよ。

みじん切りにした黒にんにくは、

和風:サラダオイル、純米酢、醤油
洋風:オリーブオイル、ワインビネガー、塩、コショウ
中国風:ごま油、純米酢、醤油

といった、どんな組み合わせのドレッシングにもよく合います。

ヘルシー志向の方に人気が高い亜麻仁油やヘンプ油、エゴマ油などの少しクセのあるオイルともよく合いますよ。

上の写真は、ごま油、純米酢、唐辛子、醤油で作った中国風ドレッシングに黒にんにくのみじん切りを加えて、きゅうりの薄切りにかけたもの。

黒にんにくの甘みがきゅうりによく合い、食感は発酵調味料のトウチを思わせます。

【黒にんにくのディップ】ワインとの相性も抜群

黒にんにくの食べ方として「すりつぶす」こともレパートリーに入れてみてください。

すりつぶした黒にんにくをバターや生クリーム、サワークリーム、クリームチーズなどと練り合わせて作るディップは、パンやクラッカーに塗るだけでなく、カレーやシチューなどがひと味足りない時のお助け調味料としても効果大。

フランスパンにディップすれば、ワインによく合うオードブルに。

盛り付けに華やぎが欲しい時には、パセリなどの香草を添えるか、玉ねぎ、ラディッシュ、トマトなどの野菜の薄切りをトッピングするとよいでしょう。

【黒にんにくのソース】肉や魚のうま味をひきたてる

黒にんにくを使ったソースは肉にも魚にも野菜にも合います。

上の写真のソースは、フォン・ド・ボーに少量の生クリームを合わせて、すりつぶした黒にんにくを加えたものですが、もっと簡単にマヨネーズや生クリーム、プレーンヨーグルトに黒にんにくを加えるだけでも奥行きのある味わいのソースが作れますよ。

黒にんにくは完全にすりつぶしてペースト状にして加えても、少し形を残して加えてもよいでしょう。
黒にんにくを買ったけれど、食べきれずに残ってしまったという時にも、調味料としての食べ方はお役立ち。

手持ちの調味料に加えるだけでも簡単に自家製黒にんにく調味料が作れるので、ぜひ試してみてくださいね。