ボンジョルノ!イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。今回は夏ならではのくだもの、いちじくのイタリア流の美味しい食べ方をご紹介します。
いちじくは傷みやすく流通に向かないために、出回る量が少なく、夏の間のひと時だけ食べることができる貴重なくだものですね。地中海沿岸が起源とされるいちじくですから、イタリアではいちじくの木があちこちに自生していて、とても身近な果物です。初夏から9月ごろまで、いろんな食べ方を楽しみます。

旬のいちじくの一番美味しい食べ方!皮はどうむく?

たくさんの食べ方があるいちじくですが、一番おいしい食べ方は、新鮮なもぎたてのいちじくを、そのまま生で食べるのが最高です。もちろん、もぎたてでなくても、ちょうどよい頃合いに熟れたいちじくであれば、絶対生で食べるのがおすすめです。

食べ方は、いちじくの実を水で洗って、縦に2つか4つに切って、皮ごとそのまま食べてしまいます。イタリアのいちじくは日本のものより皮が薄いので、そのまま一緒に食べてしまう人もいます!

皮をむく場合は、とがった先端からバナナの皮のようにむいていきます。むくのが面倒だけど皮は食べたくない場合は、半分に切って中身をスプーンなどで繰り出して食べてもいいですね。ちょっと小腹が空いたときの健康的なおやつとして最適です。

地中海沿岸では、いちじくの皮は健康に良いと言われていて、はるか昔には、中身ではなくの皮の部分だけを食べていたという地方もあるそうです。今でも、むいたいちじくの皮の両面に砂糖をまぶして、2、3日、天日干しをして、乾燥いちじくの皮を作る地方もあります。簡単にできる安心な子供のおやつです。

いちじくを使った美味しい料理は?

そのまま食べても、もちろんおいしいいちじくですが、料理というと、一番のおすすめは生ハムといちじくの前菜です。

生ハムはメロンと組み合わせた前菜が有名ですが、実はイタリアでは、生ハムと完熟したいちじくの組み合わせのほうが、珍重されます。いちじく独特のねっとりとした甘みが、生ハムの塩味とちょうどよいハーモニーを奏でます。いちじくの種のプチプチした食感も楽しいですね。

フォッカチャと呼ばれるピザ生地でできたパンに、いちじくと生ハムを挟んだパニーノも、夏ならではの食べ方として人気があります。また、青カビで有名な癖のあるゴルゴンゾーラチーズとの相性もぴったり。くるみなどと一緒にサラダにするのも美味しい食べ方です。

いちじくジャムは、チーズにピッタリ!

いちじくは傷みやすく日持ちがしないので、たくさん生のいちじくが手に入ったら、煮てジャムにするのが一番美味しい食べ方です。イタリアでは、ジャムにするときは皮が付いたまま作るので、とっても簡単。

【材料】
・ いちじく 400グラム
・ 砂糖 100グラム
・ レモン 1/2個

【作り方】

  1. いちじくをきれいに水洗いして、上のとがった部分を切り取り、縦に4等分にする。
  2. いちじくにレモン汁をかけて、30分くらいマリネする。
  3. いちじくを厚手の鍋に入れて、砂糖も加え、中火で約30分煮る。
  4. きれいに洗った瓶に入れて、できあがり。
    ※お好みで、煮詰める途中で、ラムなどの洋酒や白ワインを少し加えると香りがよく仕上がります。

このいちじくジャムは、パンにつけて食べるほか、お菓子の材料にしたり、またチーズにもよく合います。

イタリアではジャムを作るのと同じ要領ですが、マスタードのエッセンシャルオイルを加えて、いちじくのマスタードも作ります。甘くてピリッとした感じが癖になる味で、塩分のあるチーズと組み合わせます。

この他、いちじくを乾燥したものも、ワインのお供に、手軽なおやつに、人気の食材です。ケーキやパンに入れて焼くなどといった美味しい食べ方もできるので、台所に常備しておくと便利です。

いろんな食べ方ができるいちじくですが、新鮮ないちじくが食べられるのは、ほんのひと時です。この夏は旬のいちじくを逃さず、夏の味覚のおいしい食べ方、いろいろ楽しんでみてください。

イタリアのいちじくは完熟しても緑色!

地中海沿岸が起源とされるいちじく。旧約聖書のアダムとイブが、禁断の果物を食べたあと、裸を隠すためにいちじくの葉を身に着けた言われるほど、古くからあるイチジクの木。古代ローマ人たちは、豊穣や生命、知恵の果物のシンボルとして大切にしてきました。

今でもイタリアでは、あちこちにイチジクの木が自生していて、夏に野山を歩いていると、どこからかいちじく特有の甘い香りが漂ってくることがよくあります。

いちじくには、たくさんの種類がありますが、イタリアで一般的な品種は皮が緑色のまま熟します。日本のような濃い紫色のいちじくは、夏の終わりに登場します。

日本よりずっと気候が乾燥しているからか、イタリアのいちじくは日本のものより水っぽさが少なく、甘みがギュッと濃縮しています。