イタリア在住フードライターの鈴木奈保子です。さて、今回は「毎月11日はめんの日」にちなんで、イタリア料理に欠かせない手打ちの生パスタの話題です。「めんの日」とは、生めん類の製造業者団体である全国製麺共同連合組合会が、11という数字がめんのイメージであることから制定しました。イタリアには「めんの日」はありませんが、日常的に家庭で楽しまれている手作り生パスタの簡単な作り方をご紹介します。

本格的な生パスタは、イタリアのママの味!

もちもちした食感が人気の生パスタは、高級なイタリア料理レストランで、プロのシェフが作ることができるというイメージがありますが、イタリアでは、普通のお母さんが家庭で作る手作りの味です。

本格的な生パスタといっても、材料はどこの家庭にもある小麦粉、卵だけ。地方によっては、卵なしの小麦粉と水しか必要のない「うどん」のような生パスタだってあるくらいです。これらの安い材料を混ぜ合わせて、麺棒で伸ばすだけ。

伸ばし方も、少しぐらい厚みにムラがあっても、味に変化がでて手作りならではの味が楽しめるので、全然難しくありません。

生パスタの材料は、セモリナ粉がないとダメなの?

生パスタの味を決める大切な素材、小麦粉。乾燥スパゲッティは、デュラム小麦のセモリナ粉を使いますが、生パスタの場合は、普通の小麦粉があれば十分です。

セモリナ粉は、粒が固く水分の吸収が少ない硬質小麦をあらびきにしたものなので、長期保存が目的である乾麺には最も適しています。

一方、でき立てをすぐに食べる家庭の生パスタは、水分を多く吸収して手でこねやすい普通の小麦粉を使うと簡単です。薄力粉でもいいですが、強力粉を使うとよりモチモチ感やコシがアップします。

手打ちパスタを作るために必要な道具は、麺棒と台です。台は木製だとパスタの水分を吸収してくれますが、広くて平らなものであれば十分。特別なパスタマシーンは必要ありません。

上手に作るコツは、10分くらい台の上でしっかりこねて、小麦粉のグルテンを刺激すること。生地にコシがでます。また、伸ばす前に30分から2時間くらい生地を寝かせると、グルテンが落ち着くので、生地が簡単に伸ばせます。

手打ち生パスタの作り方

【材料】4人分
・小麦粉 300グラム
・たまご 3個
・打ち粉 適量

【作り方】

  1. ボウルに小麦粉を入れ、中央を大きくくぼませて、卵を割り入れる。
  2. フォークで泡立てるように卵をよくほぐし、少しづつ周りの粉の壁を壊しながら、粉と混ぜていく。
  3. 粉の壁が壊れたら手でひとまとめにして、すべて台の上に移す。
  4. 表面が滑らかになるまで、約10分ほど軽く手のひらでこねて丸くまとめる。
  5. 表面が乾かないようにラップなどで覆って、最低30分くらい寝かせておく。
  6. パスタ生地を3等分くらいにして、打ち粉をふった台の上に置いて、麺棒でのばしていく。
  7. 1ミリくらいの厚さまで伸ばしたら、打ち粉をふりながら、包丁で好みの幅に切り分ける。切ったそばから打ち粉をまぶして、パスタ同士がひっつかないように丸めておく。

幅が1cmくらいのきしめん状のものはタリアテッレやフェットチーネ、それより細いとタリオリーニ、太いとパッパルデッラと呼ばれます。材料が同じでも、幅の広さによって、食感や味わいが違ってくるのが楽しいですね。

生パスタの茹で方

3000ccほどのお湯に大さじ2弱の塩を入れて沸騰させたら、手打ちパスタの粉をはらって、ほぐしながら一気にいれます。再びお湯が沸騰してから、約1,2分ぐらいで生パスタが上がってくれば、でき上がりです。乾燥パスタよりずっとゆで時間が早いという特徴があります。

ゆであがったら、熱いうちにソースや具をからめていただきます。

生パスタと相性のいいお勧めソースは?

イタリアで生パスタと合わせるソースは、お肉とトマトで作るミートソースやえびのトマトソースなどトマトをベースにしたものや、生クリームを使ったポルチーニ茸のクリームソースなど、しっかりと濃厚なソースのレシピが定番です。

またトマト缶で作るシンプルなトマトソースも手作り生パスタと合わせると、ワンランク上の本格的なイタリアンの味に変身します。

このほか、パスタの生地にホウレンソウなどの茹でた野菜を加えてカラフルにしたり、唐辛子などのスパイス類を加えたり、オリジナルなアレンジが自由自在に楽しめます。

意外に簡単な生パスタですから、毎月11日のめんの日は生パスタ作りに挑戦して、モチモチのめんを味わってください。