滋賀県在住の調味料研究家・松本葉子です。琵琶湖には美味な魚介がたくさん生息しているのですが、そのひとつがセタシジミです。
おりしも4月23日は、「シジミの日」。宍道湖を擁する島根県松江市の日本シジミ研究所が、シジミが優れた食材であると同時に環境保全にも役立つ存在であることをアピールするために登録した食の記念日です。
今回は日本人が古くから食べてきた貝・シジミの和食以外のおいしい食べ方をご紹介します!

にっぽんの滋養食材・シジミには3種類ある

日本には古来3種類のシジミが生息しています。まずは淡水と海水が混じった河川の河口や汽水湖などに生息しているヤマトシジミ。現在日本で流通しているシジミのほとんどはヤマトシジミです。

このほか、昔は田んぼや小さな流れに生息していたけれど今は激減しているマシジミ、そして琵琶湖原産のセタシジミがいます。

また、「シジミは体に良い」といわれる理由についてですが、そのひとつは、遊離アミノ酸のオルニチンや、アラニンなどのアミノ酸、ビタミンB12など肝臓の健康に役立つ成分を多く含んでいるから。

「お酒を飲む人に」「二日酔いに」と、なんとなく男性向き?なイメージがあるシジミ効果ですが、実はシジミには貧血気味の女性にうれしい鉄や妊婦さんが積極的にとりたい葉酸なども多く含まれているんですよ。

<出典>
日本食品標準成分表2015年版(七訂)
妊婦さんに大切なビタミン、葉酸(農林水産省)
日本シジミ研究所

ぜひ体験してほしいセタシジミのおいしさ

さて、今回は滋賀県での食べ方ということでセタシジミをピックアップしてみます。

セタシジミは元々琵琶湖水系のみに生息する固有種です。昭和40年代頃まではとてもたくさん採れていて、滋賀にはしじみの佃煮を売る店やしじみ飯の専門店なども多かったのですが、その後漁獲量が激減。現在は結構な貴重品で、滋賀県と京都市内以外ではほとんどお目にかかることはありません。

味が良いということでも知られるセタシジミですが、残念ながら現在では滋賀県内でもスーパーに常時並んでいるということはなく、手に入れたいと思えば漁協や県産品の直売所に出向いた方が確実です。

上の写真は琵琶湖の幸をアピールするイベントでの漁連の直販。1合升山盛りで300円はお買い得価格ですね。

セタシジミはヤマトシジミに比べると貝の膨らみが高くて表面の筋もはっきりしています。砂地のところに生息していたものは殻の色が飴色なので「べっこうしじみ」と呼ばれることも。

漁連の直販で買ったセタシジミ。思いっきり大小混合でしたー。

<出典>
2月の特集 セタシジミ 滋賀のおいしいセレクション(滋賀県農政水産部 食のブランド推進課)

おすすめシジミの食べ方!朝・昼・晩 味噌汁だけじゃもったいない

シジミといえば味噌汁か炊き込みご飯が人気-というか定番レシピですが、ほかにもおいしい食べ方があります。昔、セタシジミが大量に安価で出回っていた頃、我が家で登場した料理を元にしたレシピをご紹介したいと思います。

ちなみに!セタシジミは淡水種なので、砂抜きは真水で行ってください。塩水だと死んじゃいます。逆にヤマトシジミは塩水で砂抜きした方が味がよくなるという研究結果があります。

パワー朝食にぴったりの【シジミのミルクスープ】

チャウダーにしてもいいのですが、もっと簡単にミルクスープに。砂抜きしたシジミを牛乳に加えて、殻が開くまで煮て、塩で味を調えれば完成。

健康ランチにおすすめの【シジミヌードル】

シジミうどんやシジミにゅうめんもおいしいですが、ラーメンを作る時にシジミをいれると俄然うま味が増します。味噌味とは特に相性がいいですね。

夜はがっつり【シジミのスタミナ炒め】

大粒のシジミが手に入ったらぜひ作ってみて欲しい一品です。

1)フライパンにごま油と刻みにんにくをいれて熱し、香りが立ってきたら砂抜きしたシジミをいれる

2)日本酒か紹興酒大さじ2~3程度を加えて炒め、シジミの殻が開きかけたら醤油と鷹の爪を加えて味を調え、刻みネギをちらせば完成。

思わず無言になって一粒一粒食べてしまうはず。皿に残ったお汁はご飯にかけるとおいしいですよ~。

<出典>
セタシジミの砂抜きと簡単むき身の作り方(by滋賀県)

元気な毎日を送るためにもシジミを食卓に

セタシジミは「寒しじみ」といわれて寒い時期からがシーズンですが、禁漁になる産卵期の前の3月、4月は味がぐっとよくなります。

最近ではネットで直販しているところもでてきましたので検索してみてください。砂抜きしたシジミは冷凍保存してもおいしく味わえます(使う時は冷凍のまま加熱を)。

小さな貝殻の中に栄養とうま味がぎゅっと詰まったシジミ。ぜひいろいろな料理に使ってみてください。