タケノコのおいしい食べ方!深川風若竹煮を作ってみた【レシピ付き】
今回は、タケノコのゆで方と伝統的なタケノコ料理、およびそれをアレンジしたオリジナル料理をご紹介します。
タケノコは竹の若芽です。若芽だからと言ってスプラウトとは呼びませんが、竹の生長するエネルギーの萌芽を感じさせる、春の喜びを感じさせる食材です。たんぱく質が多く、ビタミンB1、B2、C、E、カリウム、食物繊維を含みます。シュウ酸やホモゲンチジン酸などのアク成分が多いので、時間をかけてアク抜きする必要があります。
タケノコのゆで方
1.洗ったタケノコの穂先を斜めに切り落とし、根元のほうの赤いブツブツや底の汚れた部分はそぎ落とす。
2.縦に切り込みを入れ、皮を3〜4枚剥がす。
3.鍋に(2)と水を入れ、ぬかを一つかみ、ぬかがない場合は研ぐ前の生米(無洗米は不可)を1本あたり大さじ2入れ、火にかける。
4.ゆでこぼれないように火加減を見ながら1時間以上ゆで、根元の固い部分に竹串かつまようじを刺し、スッと通るくらいになったら火を止める。
5.そのまま半日置き、鍋からタケノコを取り出して皮をむき、洗ったら完成。
市販のゆでタケノコではなく、自分で最初からゆでると、でき上がったときの感動もあるし、愛着も湧きます。タケノコ料理作りにも気合いが入るというものです。
若竹煮の作り方
まずは、オーソドックスな若竹煮を作ってみましょう。
〈材料・4人分〉
タケノコ 中2本
生ワカメ 200g
だし汁(昆布、かつお節、さば節等) 2カップ
砂糖 大さじ1
酒 大さじ1
薄口しょうゆ 大さじ2
かつお節 2つまみ
〈作り方〉
1.タケノコの穂先はくし形に、根元の方は半月切りにする。
2.だし汁を作る。水に昆布を半日浸け、中火にかけて沸騰したら昆布を取り出し、厚削りのかつお節、混合厚削り節(さば節、煮干し、むろあじ節等)を入れてアクを取り、10分ほど弱火で煮込んだらざるで漉す。
3.(2)に(1)を加え中火にかけ、砂糖、酒、薄口しょうゆを加えて15分ほど煮込む。
4.生ワカメを食べやすい大きさにカットし(3)に加え、沸騰したら少し煮込んでワカメに火を通す。
5.器に盛り、かつお節を散らして完成。
春のワクワクする気持ちを盛り立ててくれるような、心を元気にしてくれる料理だと思います。ワカメは乾燥ものより生のほうがオススメです。
深川風若竹煮にアレンジ
タケノコがまだ余っているようなら、少しアレンジした料理「深川風若竹煮」はいかがでしょう。アサリと長ネギを加えたので「深川風」と名付けました。
〈材料・4人分〉
あさりむき身 1パック
生ワカメ 100g
タケノコ 中2分の1本
厚揚げ 2分の1丁
にんじん 2cm
ぎんなん 1パック
えのきだけ 2分の1房
長ねぎ 2分の1本
だし汁 2カップ
酒 大さじ1
薄口しょうゆ 大さじ1
砂糖 大さじ2分の1
〈作り方〉
- タケノコ、厚揚げ、にんじん、長ねぎを厚めの薄切り、えのきだけは石づきを取って2等分にする。生ワカメは食べやすい大きさにカットする。
- だし汁を煮立て、あさり、(1)、ぎんなんを加え、酒、薄口しょうゆ、砂糖で調味し、材料に火が通ったら完成。
にんじんとぎんなんで彩りがよくなりました。あさりの代わりに貝殻つきのはまぐりを用いたら、来年のひな祭りの料理にもぴったりだと思います。
いかがでしょう。タケノコ料理には、ほかにも土佐煮やタケノコご飯、酢味噌和え、青椒肉絲などがあります。旬の食材をいろいろとお試しください。
家庭料理はコア・コンピタンスの宝庫
企業における、競合他社が容易にマネできない独自の能力のことを、経営学では「コア・コンピタンス」と言います。「胸を張って誇れる、うちだけの財産」のことです。それはマニュアルを入手して従っただけではマネできないものです。
社内の社員・従業員が長い経験のなかで開発し、身につけ、積み重ね、受け継がれていく能力。例えば「下町ロケット」や「陸王」に登場する、社長も従業員も一つの「家族」となって働く下町の町工場のようなところに、よそにはマネできない宝があるわけです。
そういった技術は商品として切り売りも交換もしにくいもので、大切だけれど値段がつけられません。資本の論理からすれば、数値化できないものは価値とは呼べないものなのかもしれないけれど、それこそが利益を生み出す源であり、企業にとっては誇り、心の拠り所でもあります。
コア・コンピタンスは、正社員・終身雇用をベースとする、いわゆる「日本型資本主義」「日本的経営」において、保有・堅持しやすいと言えます。ヘッドハンティングやリストラが常態になる雇用形態では、せっかくの財産が流出してしまうというのです。
マニュアル化された査定システムでは見えない社員一人ひとりの努力がコア・コンピタンスという財産を生み出すと知ったとき、私は「専業主婦」のことを思い浮かべました。
食事を作ったり洗濯をしたりといった作業のほか、朝起きてから夜眠るまでのすべての行ないが家族にとって大きな意味を持つ彼女たちの働きを、金額という形で数値化するのは難しいし、無意味なことです。
しかしその働きは家族の幸福に重要な役割を果たす貴重な財産です。まさにコア・コンピタンスと言えると思います。
女性は結婚して専業主婦になるべきだ-と言っているわけではありません。「目に見える利益をどれだけ稼いでいるか」だけが人間の優劣を決めているのではないということ、見えない財産というものが存在すること、それをわかっていれば「誰の稼ぎで食わせてもらっているんだ」などという夫のセリフはありえません(今どきそんなことを言う人も少ないでしょうが)。
すべての命、人生には等しく価値があり、その価値は数字では表わせない。数字には見えないものを大切にすることが、財産になる。だから皆が自分に誇りを持ち、自分と異なる他者を尊重しよう。そう言いたいのです。
毎日無報酬で作られる家庭料理は、コア・コンピタンスの宝庫だと思います。たんにレシピに従って調理するだけでは済まない、在庫食材に合わせたレシピ決定や洗い物、家族の体調・空腹具合の観察等々、複雑な工程が有機的に組み合わさった作業を同時進行でスムーズに行なうことが必要で、臨機応変な対応も求められるのです。
たんにマニュアル通りに料理を作るだけにとどまらない複雑な工程は、まさにコア・コンピタンスです。そのためには料理の伝承技術をきちんと受け継ぐことも大事ですし、それをアレンジする工夫も大切です。
参考文献:
岩井克人「会社はこれからどうなるのか」(平凡社、2003年)
岩井克人「資本主義から市民主義へ」(ちくま文芸文庫、2014年)
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