京都出身で調味料研究家の松本葉子です。
物心ついた時から現在まで、1年の食生活のスタートは白味噌のお雑煮と決まっています。でもお正月だけでなく、白味噌のまろやかな味わいが大好きな私は普段の料理にも白味噌をよく使います。
京都以外では、あまりなじみのない白味噌(西京白味噌)ですが、実はその風味を生かしていろいろな楽しみ方ができるんです!今回は白味噌の多彩な味わい方とおいしく味わうコツをご紹介しようと思います。

京都の白味噌の特徴を知ろう

京都の白味噌は、西京味噌とも呼ばれる白に近いクリーム色の味噌です。1番の特徴は「甘いこと」。一般の味噌の塩分は10~12%程度が多いのですが、白味噌は5~7%。「極上」「特製」といわれるものでは塩分量を4%以下に抑えたものもあります。

白味噌の成分表示をみると、基本材料の米、大豆、塩のほかに、水飴や砂糖などの糖分が入っているものもありますが、はっきりいってこれはNG。原材料の米麹の割合を高くして、麹で甘味をだしている白味噌を選びましょう。

また、防腐剤としての酒精、色の調整のためのビタミンや次亜硫酸ナトリウムなどが加えられていることも多いのですが、これらも入っていないほうが自然なおいしさが楽しめます。

ただし、無添加の白味噌は保存性が悪いのが難点です。でも冷凍できるんです!味噌を冷凍?と思われるかもしれませんが、白味噌に限っては冷凍保存がおすすめです。

白味噌の掟 ~決してケチるべからず~

初めて京都のお雑煮を食べた方はその濃厚さに驚かれるようですが、お雑煮に限らず白味噌を汁物に使うときは思い切って大量に使うことがポイントです。

大量というのは……「ポタージュか?!」って自分につっこみたくなるぐらいとろりと仕上げるのがコツ。上質の白味噌ならそれくらい濃く作っても塩辛さやくどさはないので安心してください。

お雑煮以外の味噌汁だと、具は豆腐や里芋、大根などが合います。冷やし白味噌汁もおいしいですよ。吸い口には柚子のほか溶き辛子もよく合います。溶き辛子をポツっと垂らせば割烹風ですね。

京料理やおばんざいにも白味噌は必須

味噌汁のほか、田楽味噌として、また木の芽和え、ぬたなどにも白味噌は欠かせません。白味噌はみりんや酢、だしなどでのばして使うほか、田楽味噌のように焼いて仕上げるものには卵黄を混ぜ込むのもおすすめです。

濃い目に溶きのばしたものをドレッシングにしたり、ゆで野菜にディップ風に添えてみるのもよいでしょう。和食に使う時、白味噌と混ぜて相性が良い薬味は、柚子、木の芽、和辛子、ごまなどです。

写真は、ごく簡単に作れる白味噌を使った料理の例。柚子味噌をかけた豆腐田楽と、ホタルイカに九条ネギのぬたを添えたものです。

このほか、白味噌にくぼみをつけた中に生卵黄を入れ、上にも白味噌をかぶせて冷蔵庫で数日おくと卵黄が黄金色に固まって酒肴にぴったりの珍味になります。
魚の味噌漬けもいいですね。これはいわゆる西京漬で、サワラなどがよく合います。白味噌は塩分が低いので、普通の味噌漬けよりずっとまろやかに仕上がりますよ。

スイーツも白味噌におまかせ!

白味噌はその風雅な甘さを生かして、和菓子にもよく使われています。
例えば京都の柏餅。普通の餡と味噌餡の2種類があることをご存じでしょうか?
京都では味噌餡の柏餅しか食べない人もいるほどですが、この味噌餡のベースも白味噌です。また、白味噌を混ぜ込んだ味噌松風という和の焼き菓子も銘菓として知られています。
家庭で本格的な和菓子を作るのは難しいですが、レンジでチンしたサツマイモをつぶして甘煮リンゴと白味噌を混ぜて茶巾絞りにしたこんなお菓子ならカンタン!

あるいは、蒸しパンやホットケーキを作る時、生地に白味噌を少し混ぜこんでみてください。ふんわり香る味噌の風味が格別ですよ。
白味噌を混ぜ込んだカップケーキに、白味噌とクリームを合わせたソースと季節のフルーツを添えればちょっとしたおもてなしにも。

もっと簡単にアイスクリームに白味噌を混ぜるのもおすすめ。
写真ではリンゴを加えていますが、すりごまを加えてごまアイスにするのもいいですね。

白味噌ライフ、はじめてみませんか?

このようにいろいろな食べ方ができる白味噌。
でも、「せっかく買ったから使い切らなくちゃ!」とがんばって白味噌だけを使わなくても大丈夫。普段お使いの味噌に白味噌を混ぜて使うのもおすすめです。味噌汁も味噌鍋も味噌煮込みもぐっと味わいが深まりますよ。

気軽においしく、白味噌を楽しんでみましょう!