『アイゴを食べて藻場(もば)を守ろう』。東京海洋大学・品川キャンパスの生協売店ではアイゴのフライを販売し続ける。アイゴはバリやイタイタなどの別名を持ち、全身にあるトゲには毒がある魚だ。藻類をエサにしていて、大量に発生すると、多くの魚が産卵する藻場の減少にもつながる。

アイゴは西日本の一部では上品な味の白身の魚として流通しているが、関東以北ではあまり食べられていない。東京海洋大学生協はアイゴをフライで食べることで、環境保全につながると訴える。
アイゴを持ち込んだのは海洋大学の大学院生。2014年の秋から販売開始。長崎県対馬市の峰町東部漁協から入手する。藻場を守るためにもアイゴを減らさなければならないが、産業育成もしなければならない。

アイゴを食用にするためには毒のあるトゲをていねいに抜き、藻類を食べているため磯臭さをなくすために内臓をしっかりとることが必要だ。漁協がトゲを抜いてフィレの状態で送ってくる。海洋大生協はそれを調理するだけだ。帳合は漁協と直接やりとりする。

フライは1個90円と同じ店舗で扱うフライドチキンやコロッケに比べて少し高い。1日に50~60個売れる日もあるが、平均すると20~30個。漁獲量によって販売できる量も変わってくるが、コンビニエンスストアとの差別化になることから通年で売り続ける。

新入生の交流会にも提供して「生協ならでは」「東京海洋大学ならでは」の商品として定番になっている。

◇日本食糧新聞の2017年4月19日号の記事を転載しました。