こんにちは、ベジフルボディデザイナーmoccoです。「私の食卓」は、美と健康維持をモットーに自分らしく生きる美健女子の物語を小説風にお届けいたします。
第15話では、丸井家の夫がインフルエンザでダウン。熱っぽい体にひんやり甘酸っぱいリンゴのパワーが効果あり! さらに、すりリンゴの昔懐かしい母の味に癒され回復の兆しが…。

第15話はこちら
風邪の回復食にリンゴ湯豆腐【小説・私の食卓:15】

【土曜日】ゆうこうを器にして肉詰め…皮ごと食べられる!

「インフルから復活してから、食欲がとまんないよ~」

「お腹すいたってこと?」

「さっきから爽~やかな香りと肉肉しい香りが俺を呼ぶんだけど」

「ほんと、美味しい香りには敏感よね」

「この爽~やかな香りは?」

「長崎市内の2か所に実生する香酸(こうさん)柑橘のゆうこうよ」

「へぇー、実生って自然に生えてるってことだよね?」

「そう、人の手がかかってないってこと」

「その“ゆうこう”を器にした肉詰め?」

ゆうこうハンバーグよ。実生果実だから皮ごと食べてみて」

「え?!皮ごと食べるの?」

「……どう?美味しいでしょう(笑)」

「なにこれ!うんま過ぎ」

「ゆうこうの皮のまろやかな酸味と肉汁で、口の中に唾液が溢れてくるでしょ?」

「噛めば噛むほど柑橘の香りも深まってウマ過ぎ~!」

「どう?参った?」

「香酸に、こうさん!」

【水曜日】ゆうこうを堪能する食べ方が続々…種は女性に嬉しい使い道も

「週の中日は疲れる~」

「そうかと思って、今晩は精力がつく食材のオンパレードよ」

「す…凄いね」

「長崎でよくお正月にナマコを食べるでしょ? 今日はゆうこう汁と皮で和えてみたの」

「ゆうこうの皮とナマコのコリコリ食感に昆布のうま味か…。一杯欲しいな~」

「はい、一杯。牡蠣汁は自然塩だけで味付けしてるから、ゆうこうを絞ってね」

「うわ~海のミルクと酸味が胃に染みる~」

「メインのステーキは牡蠣汁に絞ったゆうこうの皮と一緒に食べてみて」

「…なんか、肉の脂身がトロ~っとなって美味しい」

「そうなの、ゆうこうって脂味をマイルドにして残り香でリラックスさせてくれる優しい果実なのよね」

「すて~きだね」

「はいはい…。あと、種は捨てないでね。化粧水にいれるから」

ゆうこうの種を?」

「そう、化粧水がトロ~っとなって、つけた翌朝はお肌がふんわりなるから、最後まで有効(ゆうこう)に使いたいの」*敏感肌の方のご使用はお控えください

【土曜日】ゆうこうカステラは長崎の歴史の味

「ん~、優しい香りで目覚めるって、俺、幸せ~」

「カステラ焼いてるの」

ゆうこうのカステラ?」

「そう、ゆうこうとはちみつを贅沢に使って共立てしたカステ~ラ」

「こっちは?」

「それは、卵黄と卵白を別々に泡立てたゆうこうシフォンケーキ」

「上にのってるのは、ゆうこうとリンゴ?」

「そう、隠れキリシタンゆかりの地に実生するゆうこうと母の愛の味のリンゴ(第15話)をコラボさせた長崎らしい味」

「それってどんな味?」

「長崎に渡来してきた舶来食品と隠れキリシタンの想いと平和を祈る…和華蘭文化の味」

「要するに優しい味と香りのフワフワ~なカステラってことね」

「そう(笑)。名付けて“慈しみ友交(ゆうこう)カステラ”」

「ゆうこうってユズに似てるし、カステラ食べた人たちの友交の架け橋だね」

「ココロとカラダに優しい味ね」

第17話は、オレンジカラーで元気!春を待つココロとカラダにニンジンのパワーをお届けします。お楽しみに

ゆうこうは愛と平和の架け橋 ベジフルボディデザイナーmocco

ゆうこうは長崎市内2か所(土井首〈どいのくび〉地区、外海〈そとめ〉地区)に実生する在来香酸柑橘です。2008年10月にスローフード協会から食の世界遺産「味の箱舟」に認定されています。

ゆうこう(皮、果肉、汁、種)は、脂質代謝を改善する効果や中性脂肪を低下させる作用が期待されるヘスペリジンとナリルチンを豊富に含有する機能性食品です。成熟すると鮮やかな黄色になり、ユズやザボンに似た優しい香りと味が特長です(長崎県立大学成分分析)。

脂質や糖質の多い食材と合わせて食べると、マイルドな酸味、優しい香りが楽しめるとともに体内改善効果なども期待できる、美健女子にお勧めの実生柑橘です。
*実生:自然のままの成り立ちで生育してきた生物種

外海町山奥に実生するゆうこう

ゆうこうは2001年頃、土井首地区の「殿様道」を調べに山に入った長崎市役所職員が発見。その後、農研機構研究部とともに調査し外海地区にも実生していることが判明しました。両地区は江戸時代に隠れキリシタの集落があったことから、その関連性を指摘する説もあります(現在では、佐賀県馬渡島、上五島町など、外海からの流れキリシタンが住み着いた地でも発見されています)。

外海地区は遠藤周作著「沈黙」の舞台となった地であり、キリスト教宣教師のド・ロ神父が貧困の女性のために救助院を建て、生活向上のためにそうめん作りなどの授産事業を行って、女性たちの自立支援に尽力された地です。

私が外海地区のゆうこうの実生地を訪れた際、深い山奥でゆうこうの木々が生い茂る光景を見て、長崎の歴史と生き繋いだ女性のたくましさを感じました。和華蘭文化・長崎で実生するゆうこうの優しい味と香りは、愛と平和の架け橋だと思います

協力:
特定非営利活動法人NPO夕陽が丘そとめ 平夫妻

参考リンク:
ながさきの「食」 伝統柑橘ゆうこう(長崎市)
旧出津救助院(きゅうしつきゅうじょいん)公式ホームページ
ゆうこう | 道の駅 夕陽が丘そとめ|長崎市

ベジフルボディデザイナーmocco レシピ【ゆうこうとリンゴのコンポート】

ゆうこうカステラに使用しているコンポートの作り方をご紹介します。

  1. ゆうこう2分の1個は皮を厚むきしたのち、千切りにする。
  2. リンゴ1個は皮をむき、一口サイズにカットする。
  3. (1)(2)を水(200cc)、砂糖(20g)、自然塩(ひとつまみ)と煮詰める

*リンゴの皮は色付け用に入れて煮込みます。コンポートを作った後に取り出したリンゴの皮は、肉などと一緒に炒めるとみりん代わりに使えます。肉料理で一緒に炒めると肉にコクと照りが出ます。

<お知らせ>
ベジフルボディデザイナーmoccoが2月21日~25日に東京都世田谷区祖師谷で「Café de mocco」を開きます。小説に登場するお料理も食べられますよ詳しくはこちらをご覧ください