日本一小さな山脈「櫛形山脈大峰山」の守り人として地域に貢献する板垣一寿(かずとし)氏。山好きが高じて大峰山の麓に「山岳手打ちそば一寿」を開店、ダッタンそばやその含有成分ルチンの機能性の紹介に注力する。

板垣氏は大手機械加工メーカーの自己再開発制度を利用して早期退職、妻の出身地新潟に戻ると決めた。大峰山に山小屋を建てて登山者の憩いの場を提供したいと考えたが、規制があり願い叶わず。それならばと、そば打ち修業を経て新潟県新発田市下小中山の中古物件を購入・改築。そばの魅力を伝える伝道師として活躍することとなった。

板垣一寿店主

そば道場や子供会そば打ち、地元の新金塚小学校6年生のそばづくりなどイベントにも注力。そのくったくのない笑顔と丸々とした風貌は、テレビ朝日の人気番組「人生の楽園」やグルメ漫画「そばもん」(ビックコミック)に登場。知る人ぞ知る有名人に。

店内で提供するそばメニューにダッタンそばを用いるだけでなく、新潟県内産大豆にダッタンそば粉をコーティングした菓子、新発田産の生乳とダッタンそば粉をブレンドし、上品な味わいを実現し新発田ブランド認証商品に選定された「ダッタンそばジェラート 花の口どけ」など商品開発でも多彩な才能を見せている。

2種のそばが味わえる「いちじゅセット岩魚(愛もり)」

大妻女子大学の松本憲一教授の協力を得て日本食生活学会でダッタンそばに含有するルチンの特性や機能性について発表してきた。研究者としての横顔も持ち、ダッタンそばの産地づくりで生産農家を支援。地域活性化にも一役買っている。

ログハウス風の店舗は、1階には薪ストーブが赤々とした炎で客を暖め、2階の宴会場兼ギャラリーには、大峰山の桜や山野草、野鳥など自ら撮影した写真が並んでいる。板垣氏は、「大峰山に咲く桜は約100種類を超える。日本全国探してもこれほど魅力のある山は見つからない。この貴重な自然を見守りながら、おいしく体に良いそばを提供できることは望外の喜び。これからもそばの魅力を多くの人に伝えていきたい」と語る。

◇日本食糧新聞の2018年2月5日号の記事を転載しました。